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【▲ アイスランドで観測されたオーロラ(Credit: John A Davis/Shutterstock)】

多くの人が一度は見てみたいと思うオーロラ。

オーロラの魅惑的な光景は数え切れないくらいの画像や動画で紹介されていますが『オーロラの「音」を聴いたことはありますか?』『そもそもオーロラは人の耳に聞こえるような音(可聴音)を出すのでしょうか?』この疑問は、これまで多くの科学者を困惑させてきました。

オーロラは、太陽風によるプラズマと地球の大気を構成する分子の相互作用によって発生し、一般的に磁場の強い両極付近で見られる発光現象です。しかし、オーロラが音を出しているという報告はまれであり、歴史的に科学者によって却下されてきました。

ところが、2016年のフィンランドでの研究発表では、オーロラが実際に人間の耳に聞こえる音を生成することが確認されたと主張しています。研究者の一人によって行われた録音は、地上70メートルで、魅惑的な発光によって作られた音を捕らえたとしています。こちらの動画では、発光に伴って録音された音(拍手のような音)と観測方法が説明されています。

しかし、音の背後にある明確なメカニズムはいまだ解明されていません。

オーロラの音は、20世紀初頭の数十年間、特に活発な議論の対象でした。北半球の高緯度地域の集落からの報告によると、音が空の魅惑的な発光を伴うことがあるとされていました。それでも、科学界は、捉えどころのない音を聞いたと主張する西洋の探検家がほとんどいないことを考えると、確信が持てませんでした。

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【▲ 1930年にノルウェーで撮影されたオーロラの初期の写真。(Credit:Nasjonalbiblioteket, Norway)】

さらに、報告の信頼性は、オーロラの高度測定と密接に関連していました。オーロラは一般的には地上100 km以上で発生し、80km未満ではめったに発生しないことがわかってきたのです。これは、光から出る識別可能な音が、地球の表面に伝達されることは不可能であることを示唆しました。

著名なイギリスの物理学者は、心理的な現象や脳による錯覚かもしれないとコメントしました。同様に、気象学者は、低いオーロラの出現は、低い雲の干渉によって引き起こされた目の錯覚である可能性が高いと主張しました。

その後、最も支持を得た永続的な謎への答えが、1923年にカナダの有名な天文学者であるクラレンス・チャント(Clarence Augustus Chant、1865-1956)によって提案されました。

彼は、オーロラの動きが地球の磁場を変化させ、遠く離れた場所でも大気の帯電に変化をもたらすと主張しました。この帯電は、地表に近いところで物体に触れると、静電気のようなパチパチという音を発生させます。観測者の衣服やメガネ、あるいはモミの木や建物の金属で被覆された部分など、周囲の物体でも起こる可能性があります。

チャントの説は、オーロラの音に関する多くの証言とよく一致しており、また、オーロラ観測中にオゾンが火花のような金属臭を放つという報告が時々あることも裏付けています。

チャントの理論は今日の科学者に広く受け入れられていますが、オーロラが音を出す仕組みについては、いまだに議論が続いています。

はっきりしているのは、オーロラはごくまれに人間の耳に聞こえる音を出すということです。オーロラと一緒に聞こえてくる「パチパチ」「ヒューヒュー」「ブーン」といった不気味な音の報告は、幻想や想像ではなく、客観的な可聴体験を表わしているのです。

こちらでは、京都大学の学生による、オーロラの「音」の興味深い観測体験について紹介されています。

 

Video Credit: Aalto University
Image Credit: John A Davis/Shutterstock、Nasjonalbiblioteket, Norway
Source: The Conversation
文/吉田哲郎