13日の中日戦で圧巻のノーヒットピッチング

ここ数年、「菅野智之に次ぐ投手」の必要性が叫ばれている巨人投手陣。菅野は昨オフにポスティング申請しながらメジャー挑戦を断念したが、順調にいけば今シーズン中に海外FA権を取得する見込みだけに、次の大黒柱となるべき存在を見出すことは、常勝ジャイアンツを維持する上で大きな課題でもある。

そこで巨人のユニフォームを纏って2年目となるエンジェル・サンチェスに注目したい。来日初年度だった昨年は先発として8勝(4敗)を挙げるも、怪我による戦線離脱もあり15試合の登板に止まった。菅野(14勝)、戸郷(9勝)に次ぐ勝ち星を稼いだ昨年に続き、シーズンを通しての活躍が期待される。

今季はここまで3試合に先発している。初先発は3月30日の中日戦。敵地で7回を投げ自責点0と好投したものの白星はつかず、4月6日甲子園での阪神戦でも2回6失点で敗戦投手に。試合開始当初からの雨の影響もあって、打者以前にマウンド状態にも苦しんでいた(試合は7回降雨コールド)。

そして3度目の先発登板となった4月13日の中日戦。東京ドームのマウンドで7回1/3を被安打0、8奪三振(1失点)という圧巻のピッチングを展開し、今季初勝利を手にした。

打者を手玉に取った直球、変化球のキレや緩急

サンチェスの組み立ての中心は、投球のおよそ半分を占めるストレートと20%近いカットボール。13日もボールの球威で抑え込む場面が見られただけでなく、スプリットやカーブなど変化球のキレ、コントロールも際立っていた。

2回、四死球と内野ゴロで1点を許した場面では、ストレートの制球がやや乱れている。打者3人に与えた四死球はいずれも直球がコースに決まらず、この試合で最多となる打者6人と相対したイニングとなった。

だが、3回にはすぐさま立ち直りをみせ、先頭打者・大島洋平を内野フライに打ち取ると、続く三ツ俣大樹をカーブで仕留め、このゲーム最初の三振を奪う。高橋周平も最後はスプリットで連続三振と、フィニッシュに変化球を持ってくることで、この日の投球内容は一気に充実していった。

圧巻は7回。打者3人を全て三振に切って取り、この日のサンチェスの投球を象徴した場面となった。コースを真ん中から外寄りにまとめながら150キロに及ぶ直球で追い込み、最後はスプリット、カットボール、カーブと見事な緩急で、いずれも空振りで三振を奪っている。

3回以降、打者から奪ったアウト15個のうち、半分以上の8個が変化球での三振だったことは、投球の組み立ての巧さや対応力の証明だった。相手投手、エース大野雄大との投げ合いを制したことも含め、抜群の存在感を見せた。

柱となり得る存在感、適応力の高さも

昨年は8月に負傷離脱があったとはいえ、4つの貯金をチームにもたらしている。来日前に所属していた韓国リーグでは2シーズンで25勝13敗と白星が大きく先行しており、先発として負け数が少ない投手と言えるだろう。

韓国では2年目に最多勝(17勝)に輝いており、シーズンを追うごとにその国の野球に対応していくという印象も残している。昨年のソフトバンクとの日本シリーズ第3戦では、負け投手になったとはいえ6回1/3を3失点でゲームを作り、助っ人としての適応力を改めて感じさせた。

巨人では2017年まで在籍していたマイルズ・マイコラス(2015〜2017)以降、二桁勝利を挙げた外国人投手はいない。サンチェスがシーズンを通してローテーションを守り切れば、二桁勝利、さらには次のエースになり得る可能性もあるだろう。来季以降も見据え、サンチェスの今後に要注目だ。

【関連記事】
・MVPの巨人・菅野智之が埋めるべき最後のピースは「左打者のインハイ」
・巨人・秋広優人が大谷翔平に近付くための3つの課題と2人の共通点
・巨人・坂本勇人が今度こそ最年少記録を狙う通算400二塁打ランキング