ことごとく逃げ・先行の人気馬

今週は東京芝1600mを舞台に、3歳マイル王者を決めるNHKマイルCが行われる。朝日杯FSを好時計で制し、マイルGⅠ2勝目を目指すグレナディアガーズが抜けた人気になりそうだが、その他にも前哨戦をそれぞれ快勝したバスラットレオン、ホウオウアマゾン、ルークズネスト、弥生賞2着馬シュネルマイスターも虎視眈々と戴冠を狙う。例年同様予想の難しいメンバーが出揃った。

今年のレースの鍵になるのは先行争い。上記で紹介した有力馬5頭に、シンザン記念覇者、上位人気の一角を占めそうなピクシーナイトを加えた6頭はいずれも前走4角2番手以内。ここまで人気馬が前に固まる年は珍しく、ポジションをめぐって生まれたペースがレース結果を大きく左右しそうだ。

そこで今週は過去データの中から「前走先行馬が多かったレース」をピックアップ。展開と結果を振り返りつつ、的中のヒントを探っていこう。


狙いは「高速巡航能力」の持ち主

前走4角2番手以内が6頭以上いた年のNHKマイルCⒸSPAIA


<前走4角2番手以内が6頭以上いた年のNHKマイルC>
2001年:前半5F57.8/1着4角10番手/2着4角先頭/3着4角2番手
2003年:前半5F57.8/1着4角2番手/2着4角10番手/3着4角9番手
2006年:前半5F57.5/1着4角10番手/2着4角4番手/3着4角8番手
2009年:前半5F57.2/1着4角2番手/2着4角4番手/3着4角3番手
2019年:前半5F57.8/1着4角7番手/2着4角14番手/3着4角11番手

上位人気予想の6頭が全て4角2番手以内だったことを踏まえ、過去25回のNHKマイルCのうち、前走4角2番手以内通過の馬が6頭以上いた年の5レースを調べた。激流に飲み込まれて先行馬が軒並み沈んでいるかと思いきや十分通用しており、強い先行馬にキレ味自慢を添えるというスタンスで馬券を組み立てたい。

参考の5レースは前半5Fを57.2秒〜57.8秒で通過。2003年の馬場改修後、NHKマイルCの同平均58.12秒と比較するとかなり速いペースだ。残った先行勢が持ち合わせていたのは、きついラップを一定のリズムで刻み続ける、いわば「高速巡航能力」。古くはミホノブルボン、現役なら阪神JFや阪急杯で逃げてレコード勝ちしたレシステンシアがあてはまる。

例えば2009年勝ち馬ジョーカプチーノは序盤から11秒台連発のラップを前で受けながら、ラスト1Fも12.0秒でまとめてレッドスパーダの追撃を抑え、2003年勝ち馬ウインクリューガーは小雨降りしきる悪路を2番手から進み、他の先行勢が大崩れする中で粘り切った。

もう一つ、好走した先行馬の多くが短距離戦線にシフトしていったことも見逃せない。距離を延ばしても重賞で戦えた馬は2001年2着グラスエイコウオー(2003年AJCC2着)ぐらいで、2006年2着ファイングレインはのちに高松宮記念を勝ち、2009年のワンツースリーであるジョーカプチーノ(シルクロードS勝ち)・レッドスパーダ(京王杯SC勝ち)・グランプリエンゼル(函館スプリントS勝ち)もしかり。NHKマイルC後は凡走が続いてしまったウインクリューガーも以後重賞で馬券になったのは阪急杯とスワンSだった。

よって、今年のNHKマイルCで狙いたいのは短距離でも通用するレベルのスピードとそれを持続する力を兼備した馬。高速道路でも一定のスピードを保てば理想的な燃費で走るハイブリッドカーのように、府中1600mのサーキットを狂いなきハイラップで駆け抜ける馬こそが3歳マイル王にふさわしい。


中京芝1400m史上最速ラップで逃げ切り

◎ルークズネスト
未勝利脱出に3戦を要しながら、年明けGⅢ2戦をともに連対してGⅠに殴り込みをかけてきた馬。特に評価したいのが前走のファルコンSで、押し出されてのハナという形ながら、GⅠ馬グレナディアガーズ・GⅡ馬モントライゼと格高の相手を従えて逃げ切っている。

ファルコンSの前半3Fは33秒7、勝ちタイムは1分20秒1だったが、これは中京競馬場改修以後、同コースを逃げ切った馬の中でともに最速タイムだった。道中2番手を追走したグレナディアガーズのマークを受ける立場での横綱相撲は価値が高い。差しに回したシンザン記念でもバスラットレオンに先着しており、前・後ろどちらのポジションを選択しても好走が期待できそうだが、GⅠ馬を倒した前走のイメージと他馬との兼ね合いからある程度前の位置取りになるだろう。

ファルコンSからの臨戦は前年勝ち馬ラウダシオンと同様で、鞍上の幸英明騎手は2017年以降のGⅠ3着以内4回のうち、2回が東京芝1600mと相性のいいコース。遅れてきた大物がGⅠタイトルをつかむ最大のチャンスだ。

〇グレナディアガーズ
朝日杯FSを好時計で制したGⅠウィナー。未勝利戦は前半5F57.4秒を2番手から圧勝、朝日杯FSはさらに速い前半5F56.9秒を先行しての勝利と、高速巡航能力は疑いない。前走はルークズネストを捕まえ切れなかったものの、同馬との1kgの斤量差が響いた可能性が高く、評価を下げる点は全くなかった。

唯一の不安材料はフランケル産駒特有の気性難。昨年9月の未勝利戦では掛かり気味に進出しながらバテて4着に敗れ、コントロール不能になった際の脆さを露呈してしまった。高速ラップを燃費よく走る上で道中のスピード上下は禁物。川田将雅騎手がどのように気分よく走らせるかが焦点となるだろう。

▲ソングライン
人気薄の激走候補。1月の紅梅Sでは前半56.8秒の流れを4番手で追走、直線抜け出してからは差を広げる一方という圧勝劇を披露。初勝利を飾った東京の未勝利戦でも、スタートで後手を踏んで中団からの競馬になりながら、直線だけで3馬身差をつける文句なしのパフォーマンスだった。

負けた新馬戦は相手がフローラS勝ち馬クールキャット、前走の桜花賞は道中メイケイエールの斜行で致命的な不利を受け競馬にならず。走り慣れた左回り、紛れの少ない東京替わりはプラス材料しかない。巻き返しを期す池添謙一騎手は大舞台に滅法強く、アーモンドアイをグランアレグリアで破った安田記念と同じコースで再度の大物食いも十分あり得る。

以下、ニュージーランドトロフィー圧勝のバスラットレオン、左回りで一変が怖いランドオブリバティ、シンザン記念勝ち馬ピクシーナイト、アーリントンC組のホウオウアマゾン・リッケンバッカーまで押さえる。

弥生賞2着馬シュネルマイスターはひいらぎ賞の勝ちっぷりが見事だが、経験した3戦全てがスローペース、シャープコーナーの右回り。高速大箱左回りの東京芝1600mと何もかもが逆の条件である。さらにキングマン産駒が属するダンチヒ系は第1回NHKマイルCで2・3着に食い込んだものの、以降は14頭が挑戦して全て着外。そもそもキングマン産駒はJRAの左回り1600m以上のレースで馬券になったことがない。データを全てルメール騎手にねじ伏せられるかもしれないが、ここは消して馬券の威力を高めたい。

▽NHKマイルC予想▽
◎ルークズネスト
〇グレナディアガーズ
▲ソングライン
△バスラットレオン
×ランドオブリバティ
×ピクシーナイト
×ホウオウアマゾン
×リッケンバッカー

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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