様々な路線から集うNHKマイルCは、レースレベルの見極めが最重要

NHKマイルCは「3歳マイル王決定戦」の位置付けではあるが、桜花賞、皐月賞などのクラシック路線で通用しなかった馬の敗者復活戦といった側面もある。それだけに桜花賞、皐月賞やそれらのトライアルレースに出走していた馬、その手前で方向転換した前哨戦のファルコンS、アーリントンC、ニュージーランドTの上位馬など、様々な路線馬が出走してくるのが特徴。NHKマイルCを予想するにあたり、どのレースのレベルが高かったのかをしっかりと見極めたい。

NHKマイルC出走馬のPP指数,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


NHKマイルC出走馬が経由したレースで、もっとも決着指数が高かったのは、バスラットレオンが5馬身差で優勝したニュージーランドTで指数「-21」である。バスラットレオンは当然、ここで指数の能力値、最高値ともに1位となるが、これまでの3勝が全て逃げ切りであるように、前に行って持久力を生かしてこその馬。

しかし、同馬のテンはそこまで速くない。ホウオウライジン、ピクシーナイトなどの同型が外枠に入った上での、4番枠ということもあり今回はハナに行くことは難しくないかもしれない。それでも同型が多数出走となると、自分に都合のいいペースに持ち込めない可能性が高い。

また、同馬はタフな芝で結果を出してきた馬だけに、2012年のカレンブラックヒルが優勝した年のような時計の掛かる芝ならばともかく、超高速馬場での勝負になった場合に不安が残る。確かにここへ来て急成長しているとはいえ、前哨戦であそこまで強いレースをすれば余力はないだろう。

その他にレベルが高かったのは、指数「-17」で決着した朝日杯フューチュリティSと弥生賞ディープインパクト記念。前記2レースとニュージーランドTを経由している馬が有力となるが、もともと高い素質を持ちながらも、近走で能力を出し切れていない、後に紹介する穴馬もチョイスして馬券を組み立てたい。

その他、能力値1位〜5位を紹介

【能力値2位 グレナディアガーズ】
デビュー3戦目の未勝利戦を1勝クラスレベルの指数で快勝すると、その次走の朝日杯フューチュリティSでは、7番人気の低評価を覆しての優勝。モントライゼの大暴走により、かなり離された3列目の外からレースを運び、実質差しの競馬。かなりのハイペースで、展開には恵まれたが、同馬の内でレースを運んだショックアクションが13着まで失速したことを考えると、なかなか強い内容だ。

また、休養明けの前走ファルコンSでも、先行争いが激化した中で、2列目から3〜4角で逃げるルークズネストに外から並びかけて行く競馬で、最後は同馬との叩き合い。首の上げ下げでアタマ差2着に敗れたが、レースを一度使ったことで変わってくるだろう。今回は朝日杯フューチュリティS時ほどではないにせよ、ある程度ペースが速くなる可能性もあるだけに、ここも上位争いが濃厚だろう。

【能力値3位 ルークズネスト】
前々走のシンザン記念では、ピクシーナイトがこれまでのレースぶりから一転し、外枠から好発を切って淡々と逃げてやや速い流れとなった中、やや出負けから無理せず、中団内でレースを運んだ。3〜4角で外目に誘導し、ラスト1Fでしぶとく粘るバスラットレオンを捕らえて2着。

休養明けの前走ファルコンSでも、最内枠からやや出負けしたものの、そこから押して先行争いを制して逃げ。かなりハイペースになったが、最後に外から並びかけてくるグレナディアガーズを振り切って優勝。ここへ来て地力をつけているのは間違いない。自在性のある脚質も魅力だが、始動戦の前走で消耗度の高いレースをしているだけに、余力の面で不安が残る。

【能力値4位 シュネルマイスター】
デビュー2戦目のひいらぎ賞は、前半こそ速い流れではあったものの、向正面下り坂で極端にペースが緩んで前からでも押し切れる流れ。それをほぼ最後まで減速せず、2着馬を3馬身引き離して快勝したのは優秀。また、弥生賞は「前残りだった」というコメントを散見するが、そうでもない。確かに前半は極端なスローペースではあったが、逃げたタイトルホルダーがタフな馬場状態の中、4角手前から本仕掛けをして、後続を振り切る勝負に出ているからだ。

シュネルマイスターは弥生賞時、距離に不安があったようで、鞍上がおっかなびっくり前に出して行ってはいるが、最後にタイトルホルダーに離されなかったのは立派なものだ。また、同馬は皐月賞出走権を手にしながらも、満を持してここに出走してくるのも好ましく、この中間は軽く仕掛けた程度で併走馬を煽って先着している。調教師が自信を持つのも無理もなく、重い印を打ちたい馬だ。

【能力値5位 ホウオウアマゾン】
前々走の朝日杯フューチュリティSでは、レース中にトモの跛行を発症し、初めて連対を外した。しかし、立て直された前走のアーリントンCでは、成長力も見せつける復活のV。逃げるピクシーナイトの2番手でレースを運び、4角出口でじわっと仕掛けて直線序盤で一気に加速して先頭。外から食らいつくリッケンバッカーを1馬身4分の1差ほど、余裕を持って振り切った。

同馬の未勝利勝ちも重馬場だったことから、時計の掛かる馬場でしぶとさを生かす競馬は向いているのだろう。そうなると超高速馬場への疑問は、少なからずともある。また、始動戦で一気に指数を上昇させた馬というのは、次走での反動が怖いもの。その上、今回は先行馬がそれなり揃っており、ペースが上がる可能性もあるので割り引きたい。

穴馬は暴れ馬のランドオブリバティ

デビュー2戦目の芙蓉Sは、秋の中山最終日の力の要る馬場を2番手でレースを運び、4角では馬なりで位置を押し上げ、直線入り口で先頭に立つと、直線ではさらに差を広げて、2着馬に3馬身半差で完勝。最後は流す余裕もあった。その走りが評価され、ホープフルSでは2番人気に支持されたが、スタート後の接触でスイッチオン。がむしゃらに先頭に立ち、3角の外から他馬に絡まれ、それを振り切りにかかったら、まさかの4角逆手前で逸走。多くの競馬ファンが悲鳴を上げる結果となった。

調教審査明けとなったその次走のきさらぎ賞は、陣営にとって一番の課題は無事にゴールすること。しかし、中京芝1800mは急坂スタートということもあり、出負けしてホープフルS同様にスタート後に接触。そこで勝ち負けはあきらめて終始折り合いを意識した騎乗。道中でかなり引っ掛かっていたため、ブレーキをかけながら後方2番手からの追走。向正面でペースが上がったところでようやく折り合って、3〜4角では中目を通し、直線序盤で馬群を捌いて一気に4番手まで上がる形。ラスト1Fで甘くなったところで、外のヨーホーレイクに一気に離されたが、3着は死守した。

また、前走のスプリングSは馬場の内側が緩く、内から伸び切るのが難しい状況の中で最内枠。スタートはまずまずだったが、外のワールドリバイバルに内に切って前に出られて暴れ出し、コントロール重視の騎乗。何とか我慢をさせたものの口を割ってレースの流れに乗れず、3角では前2頭の直後まで追い上げ、4角では外から来るアサマノイタズラに並ばれて直線。ラスト1Fで甘くなり7着まで失速した。

しかし、時計の掛かる馬場で緩みなくレースが流れた中、暴れながら馬場の悪い内を通り、早仕掛けしたのでは最後失速しても当然の内容。ランドオブリバティは芙蓉Sで2歳重賞レベルの指数で勝利しているが、ここ2戦はスムーズさを欠いて、当時の指数ですら走れていない。逸走がトラウマとなり、騎手が馬群の中に入れることで気の悪さを出していると受け取れることもあり、乗り替わりのここで大きく変われるかがポイント。なお、ハミもモタれ癖やヨレ防止のジェーンビットから、掛かり癖のある馬を制御しやすいトライアビットに変えて出走してくるとのこと。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)バスラットレオンの前走指数「-21」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.1秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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