センスよく控えたカレンモエだったが

2021年サマースプリントシリーズ北海道編は2レースともに札幌で行われる。函館SSとキーンランドCの結びつきは例年以上に強くなることが予想できる。であれば、函館SSを振り返ることはより大切になってくるだろう。

レースを左右したのは1番人気で大外枠に入ったカレンモエ。父ロードカナロア、母カレンチャン。スプリント王と女王の血を継ぐだけに抜群のセンスをもつ。この日もロケットスタートでライバルに1馬身ほどリードをとり、近くにいるビアンフェに先頭を譲る形で好位に控えた。センスあるレース運びは理想的に映った。だが、結果としてはこの並びがアダになったようで、先を行かせたビアンフェに逃げ切られてしまった。

発馬後ダッシュ力を活かすために時間を要するビアンフェにとっては自身が外枠に入り、カレンモエがさらに外にいるという並びは好都合だった。内に切れながらハナを奪って刻んだペースは11.7-10.3-10.8、前半600m32.8。札幌の前半600mはコーナー部分の占める割合が高く、32.8は相当速い。後半は11.1-11.4-12.3と失速ラップで、最後は追い込み勢が押し寄せたものの、残り400m地点で背後にいたカレンモエを意識し、引きつけずに突き放すように仕掛けていった。これが決め手になった。

ビアンフェは2年前の函館2歳S勝ち馬。その後は葵Sを勝ち、スプリンターズSに挑戦するも16着。課題だった気性をクリアするために去勢。年明け初戦のオーシャンSは去勢明けのため体を減らしたものの、以前より制御を利かせた走りで3着。減らした体も戻り、以前の迫力と大人になった気性を武器にスプリント戦線を席巻する。だが、今後もダッシュ力に難点があるので、枠順や相手関係によっては再びオーバーペースになるという危険はある。行かなければモロい逃げ馬には常にそういったリスクがつきものだ。

過信できない、追い込んだ4、5着馬

2着カレンモエは3戦連続で重賞2着とフラストレーションがたまる結果になった。あと一歩、どうも詰めが甘い。血統が持つセンスは抜群だが、爆発力というか最後の迫力がどうにも足りない。ビアンフェが内在するモロさはない分、成績は安定するが、それだけでは勝てないということか。競馬はやはり難しい。勝てる力は十分あるにもかかわらず、勝てない。この状況を続けているうちに状態が悪くなることもある。勝てるときに勝ちたいだろう。今後は間隔を詰めてくるかどうか注目したい。

3着は4番人気ミッキーブリランテ。徐々に距離を短くし、高松宮記念以来の1200m戦である程度の結果を出した。気合をつけられつつ中団の後ろを追走、溜める場面がなくても最後は末脚を使えたように、1200m戦に慣れれば対応できそうだった。4コーナーでタイセイアベニールを弾く形で外に出した。小回りに対応できれば、もっとスムーズに回ってこられるはずだ。今回は札幌の緩いコーナーも味方した。

4、5着はジョーアラビカとカツジ。どちらも1200m戦に勝ち星がなく、序盤から追走に苦労していた。追い込んできた脚に見どころはあったものの、ビアンフェが刻んだ前半600m32.8というハイペースに乗じたもので、これで1200mに適性アリとみるのは早計だろう。キーンランドCにビアンフェが出てくるようなら、またも恵まれる可能性はあり、さらに消耗した馬場状態も味方するかもしれないので、3着以内という場面もないわけではない。ただ、今回は自力で勝てるレース内容ではなく、上記のようにあれこれと条件はつく。


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。

2021年函館SSのレース展開インフォグラフィックⒸSPAIA



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