プレーブック第3版公表、罰則は抑止効果狙い

東京五輪・パラリンピック組織委員会は6月15日、新型コロナウイルス感染対策の行動ルールをまとめた参加選手の「プレーブック(規則集)」第3版を公表した。7月1日から適用する。

スマートフォンの衛星利用測位システム(GPS)による厳格な行動管理が明記され、ルール違反時の罰則として大会参加資格の剥奪に加え、警告、大会除外、失格、金銭的な制裁などが例示され、さらに重大なケースでは国外退去措置を取る可能性も指摘された。

国際オリンピック委員会(IOC)のクリストフ・デュビ五輪統括部長は「科学や多くの大会の情報を盛り込んだ形で非常に自信を持ってお伝えできる」と胸を張り、踏み込んだ罰則表現で「抑止効果」を狙った形だが、それぞれの制裁対象となる違反事例は詳細未定で今後の検討課題。早くも「安心安全な大会」へ「実効性」を疑問視する厳しい見方も出ている。

原則毎日検査、不正防止へ抜き打ち検査も

選手は入国前96時間以内に2回の検査が必要で、空港到着後にも検査。入国後も責任者やチームの監督下で原則毎日の検査を実施する。選手の検査は午前9時か午後6時に唾液の検体を提出すると、それぞれ最大12時間後に結果が出て午後9時と翌日の午前6時に抗原検査の結果が判明する仕組みだ。

例えば、マラソンやトライアスロンのように午前中から競技がある場合、試合前日の午前9時に検査をすると、午後9時には結果が分かるため、陰性であれば翌日の試合に出場可能。陽性の場合は、選手村内の発熱外来で鼻の奥の粘膜をとるPCR検査に移行する。

唾液検体は各国・地域のオリンピック委員会(NOC)などのコロナ対策責任者らに提出してもらい、不正防止のためのチェックや抜き打ち検査の実施も検討するとした。検査前に歯磨きをすると精度が落ちるとして改訂前は「ルールの穴」を指摘されていたが、今回は検査30分前の歯磨きや飲食、喫煙などを控えるように明記された。

ウイルス検査で陽性が確定すれば、選手村外の宿泊療養施設に隔離するなど、陽性者が出た場合の手続きを明確化した形だ。

GPS機能オフも罰則対象?

行動管理も強化する。海外から来日する選手は宿泊先や移動先などを記した14日間の活動計画書を提出する必要がある。

入国後最初の3日間は原則隔離機関となるが、入国後すぐに活動する場合は3日間の監督者の帯同、GPSによる行動管理といった条件が求められる。

スマホのGPS機能をONにしていなかったり、スマホをホテルに放置して外出したりした場合も違反対象になる可能性があるという。

自ら手配した宿泊施設は、新型コロナウイルス対策などの要件を満たしていることを大会組織委員会が認める必要がある。

罰則の制裁金は懲戒委員会で判断も「性善説」?

こうした検査体制や行動管理は、組織委の「感染症対策センター」が新型コロナに関する情報を統括し、陽性判定や濃厚接触者の決定を行う。さらに、IOCや国際パラリンピック委員会(IPC)のスタッフが入った「コロナ対策サポートユニット」と連携して対応に当たる。

具体的な違反に対する適用について、デュビ五輪統括部長は「懲戒委員会が検討することになる」と説明。「違反した場合は失格から金銭的な制裁までということで具体的な数字を考えているわけではない。これが制裁委員会の仕事。具体的な金額は今のところない。どのような場合にどのような制裁になるかも決まっていない」とし、注目される罰金の額や選手の失格処分、メダル剥奪などの厳罰については明言を避けた。

国外退去に関しては、菅義偉首相が記者会見で悪質な違反者について「強制的に退去を命じることも含めて検討している」と述べており、政府側は出入国在留管理庁が総合的に判断し、法的に退去強制手続きを取ることは可能だとしている。

一方でこうした厳格な行動管理をとっても、ルールの「抜け穴」はいくらでもあり「性善説」に基づいた対応で大丈夫か、との指摘は少なくない。

選手がメダルを獲得してその後に羽目を外した場合、行動違反でメダル剥奪もあり得るのか?

こんな疑問を問われたデュビ五輪統括部長は「どうなるかを具体的に話すかを避けたい。ルール違反をするために来るわけではない。何かあれば懲戒委員会がある。そういうことが起こらないことを想定している」と楽観論を述べるにとどめた。

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