立ち上がりの良し悪しが着順に大きく響く

7月25日(日)に新潟競馬場で行われるアイビスサマーダッシュ(GⅢ・芝1000m)。夏競馬名物の千直重賞に17頭のスピード自慢が集結した。

人気の中心と目されるのは、2歳時から重賞で活躍してきた3歳馬モントライゼや、一昨年の勝ち馬で昨年は2着だったライオンボス、そして同舞台で行われた韋駄天Sを14番人気で勝利したタマモメイトウといった面々。次世代を担う新たな千直王者が誕生するのか、はたまたベテランが意地を見せるのか。今週もデータを踏まえて予想してゆく。


過去10年アイビスSD通過順別成績,ⒸSPAIA


〈過去10年のアイビスSD・400m地点での位置別成績〉
1番手【3-6-0-9】勝率16.7%/連対率50.0%/複勝率50.0%
2〜5番手【4-3-6-33】勝率8.7%/連対率15.2%/複勝率28.3%
6〜9番手【2-1-3-27】勝率6.1%/連対率9.1%/複勝率18.2%
10番手以下【1-0-1-60】勝率1.6%/連対率1.6%/複勝率3.2%

1分も経たずに決着する電撃の5F戦。スタートで後手を踏んだ馬は追い上げる隙を与えられず、後方にとどまったまま見せ場なく終わってしまうことが多い。特にスタートから400m地点で10番手以下だと【1-0-1-60】と絶望的で、ゲートが不得手か行き脚のつかない馬は割引対象だ。対して同地点で5番手以内なら【7-9-6-42】と連対馬16頭が含まれており、軸には立ち上がりが上手な馬を選びたい。

また牝馬の活躍が目立つというイメージがあるが、実際には牡馬が【5-5-4-61】、牝馬が【5-5-6-56】と成績に差はない。むしろ牝馬は6番人気以下だと【0-0-3-44】と連対例がなく、穴で狙うには不適ということに注意が必要。この点6番人気以下の牡馬は【2-1-2-47】と勝利例もあり、馬券的な妙味に富んでいるのは牡馬の方といえよう。


徹底して外枠重視

過去10年アイビスSD枠別成績,ⒸSPAIA


〈過去10年のアイビスSD・枠別成績〉
1枠【0-0-0-17】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/複回収率0%
2枠【2-2-1-12】勝率11.8%/連対率23.5%/複勝率29.4%/複回収率67%
3枠【0-0-0-17】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%/複回収率0%
4枠【1-1-0-18】勝率5.0%/連対率10.0%/複勝率10.0%/複回収率15%
5枠【1-1-1-17】勝率5.0%/連対率10.0%/複勝率15.0%/複回収率25%
6枠【1-2-2-15】勝率5.0%/連対率15.0%/複勝率25.0%/複回収率75%
7枠【1-2-5-16】勝率4.2%/連対率12.5%/複勝率33.3%/複回収率84%
8枠【4-2-1-17】勝率16.7%/連対率25.0%/複勝率29.2%/複回収率87%

次に枠別成績を調べた。「千直は外枠が有利」という格言は競馬ファンに広く知られているが、日本直線競馬の総本山たるアイビスSDもご多分に漏れず6〜8枠が有利。やはり馬場状態が良好な外ラチ沿いを走れるという点は大きなアドバンテージとなる。特に8枠は勝ち馬を4頭も輩出しており、関西馬に限れば【3-2-1-7】で連対率は39%と高い信頼度を誇る(逆に関東馬は【1-0-0-10】と枠の利を活かしきれていない)。

そして外枠有利のバイアスは下位人気馬の取捨を行うにあたってさらに顕著になる。過去10年で1〜5枠かつ5番人気以下の馬は71頭もいるが、なんと馬券に絡んだ馬はゼロ。全体成績では2枠が魅力的に映るが、複回収率を見れば分かるように人気馬が堅実に走っているだけで穴馬の激走は見られない。馬券に多少の色気を持たせるとしても、買い目に含めるのは6〜8枠の馬にとどめるべきだ。


千直界の世代交代に期待

◎オールアットワンス
カンナS勝ちと葵Sで3着の実績があり短距離戦では世代上位の実力者。近2走は控える競馬をしているが、いずれもゲートは上手に出ている。逃げる競馬をしていた2歳時のスタートセンスは健在で、7枠発走であればすんなりと外ラチ沿いを確保できるはず。また3歳牝馬で51kgと軽い斤量も魅力的であり、データでみても3歳牝馬は【0-2-1-2】と勝ち星こそないものの複勝率60%とまずまずの成績。さらに3番人気以内と人気サイドの牝馬は【5-4-1-5】で複勝率67%・複回収率118%。外枠に収まったことで人気が予想されるが、かえって人気することによってデータ的に信頼度が増すため嫌う必要はない。

◯ライオンボス
一昨年1着、昨年2着のリピーターで、言わずと知れた千直のスペシャリスト。スタートの速さは一級品で、千直で連を外したのは前走の韋駄天Sのみという堅実ぶり。その韋駄天Sでは1番人気に推されながらまさかの9着に敗れたが、58kgというトップハンデや不得意な荒れた馬場であったことを考えると力負けとは思えない。今回は開幕週で前走時に比べ良好な馬場状態が見込め、別定戦で斤量差も縮まり条件は好転。衰えを全く感じないと言ったら嘘になるが、それでも手薄なこのメンバーなら依然通用するはず。枠も6枠12番と外目をゲットし、得意舞台でのリベンジに期待したい。

▲タマモメイトウ
韋駄天Sでは3枠からの発走ながら器用に立ち回って外ラチ沿いを確保し、ゴール直前で2着馬を差し切り大金星を挙げた。同レースを勝っての臨戦馬は【1-2-1-0】と馬券内を外しておらず本番と同じ舞台での好走馬は素直に評価すべき。また2019年に勝利を挙げた際のライオンボスの臨戦過程は、韋駄天S(53kg)→アイビスSD(56kg)と本馬と全く同じ。前走からの斤量増も大きな不安要素とは言えない。行き脚がつかず後ろから進めることになるため、馬群を捌けず凡走という可能性もあるが、上手く噛み合えばアタマまで狙える。

△ロードエース
ダートを主戦場としながら韋駄天Sでは3着に好走。前走時の荒れた馬場が噛み合った感は否めないが、スタートをポンと出て外ラチ沿いに付けた点は千直適性をうかがわせる。今走でも前走と同じように外枠に収まっており、似たような競馬ができれば複勝圏内はそう難しくない。

以下、近走控える競馬でいまいち結果が出ていないモントライゼまで印を回す。データ的には過去10年で3歳牡馬【0-0-0-6】といいとこなしだが、この6頭に重賞で2回連対していた馬は含まれておらず、本馬は実績的に例外視できる。5番人気以下であれば内枠という理由で消してしまって問題ないのだが、実績馬が少ないメンバーで、枠が内目でもそこまで人気を落とさないだろう。

▽アイビスSD予想▽
◎オールアットワンス
◯ライオンボス
▲タマモメイトウ
△ロードエース
×モントライゼ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。



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