好メンバーが揃う一戦

11月28日(日)に東京競馬場で行われるジャパンC(GⅠ・芝2400m)。ここが引退レースとなるコントレイルをはじめ、今年のダービー馬シャフリヤール、オークス馬ユーバーレーベン、アルゼンチン共和国杯を快勝したオーソリティなど好メンバーが揃った。また海外からもブルーム、ジャパン、グランドグローリーの3頭が参戦しており難解な一戦だ。過去の傾向も踏まえつつ予想していく。


牝馬が優勢

過去10年ジャパンC牡牝・年齢別成績,ⒸSPAIA


まずは過去10年の牡牝馬齢別の成績を見ていく。過去10年で海外馬の好走はゼロなので海外馬を除き日本馬だけで集計したが、3歳牝馬【2-2-1-4】、3歳牡馬【0-2-0-7】、古馬牝馬【4-0-0-5】、古馬牡馬【4-6-9-86】となっていた。出走数が圧倒的に多いので好走数だけでいえば古馬牡馬が多いが、好走率でみると牝馬が優勢だ。3歳牝馬は安定して好走馬を輩出しており、出走したうちの半数以上が好走しているのは優秀。

また、古馬牝馬は9頭出走して4頭が勝利という驚異的な勝率を誇っている。最後に3歳牡馬については勝利こそないものの少ない頭数で2頭の2着馬を出しており、馬齢を理由に嫌うほどではないだろう。


クラシック出走のディープ牡馬は古馬で勝ち切れない

ディープインパクト牡馬・古馬中距離GⅠ勝利歴,ⒸSPAIA


天皇賞(秋)の記事でも言及したが、早くから活躍していたディープインパクト産駒の牡馬は、古馬になって中距離GⅠを勝てない傾向がある。1800m以上の芝GⅠを古馬で勝利した日本調教のディープインパクト産駒牡馬は全部で7頭(スピルバーグ、エイシンヒカリ、リアルスティール、アルアイン、フィエールマン、グローリーヴェイズ、ワールドプレミア)いるが、アルアインとリアルスティール以外は皐月賞に間に合わなかった馬。スピルバーグはダービーに出走こそできたが翌年以降上がり馬として出てきた馬ということを考えれば、大半が3歳秋以降に台頭してきた馬だ。

また、リアルスティールやエイシンヒカリ、グローリーヴェイズは海外GⅠを制しているが、基本的に中距離芝戦線は日本馬が圧倒的に強く、香港やドバイターフは日本のGⅠで勝ち切れない馬でも通用するレベル。これらを総合すると国内GⅠにおいて、春クラシック出走のディープ牡馬が勝ち切るのは難しいのではないだろうか。コントレイルは3冠馬であり超トップクラスの実績を持つが、人気ほど信用することはできないと見ている。


一発狙うならユーバーレーベン

これらを踏まえて本命はユーバーレーベンとする。前走の秋華賞は状態が整っておらず最後の直線も全く追っていないことから完全に参考外。オークスでは後方追走から3角過ぎて動いていき外から差し切る完勝。距離が延びるといいタイプであり、かつ差し遅れることが多いので東京に変わるのは間違いなくプラスだ。

この馬が一番強い競馬をしていたのが札幌2歳S。ハイペースを3角から捲っていって、コーナーでは大外を回していたにも関わらず最後の直線ではメンバー中最も伸びの目立つ素晴らしい走りだった。2着に敗れたが1着のソダシ以上に内容が良く、そのソダシは札幌記念でラヴズオンリーユーを完封。古馬のトップクラス相手でも通用しているので、この馬もまともな競馬ができれば十分通用するはずだ。今回は秋華賞を使って状態は間違いなく上がってきているうえに、前述の通り3歳牝馬は好相性。4キロの斤量差はあまりに大きく、勝ち切るのはこの馬とみて本命とする。

対抗にシャフリヤール。今年のダービー馬であり、3歳世代の活躍を考えれば間違いなく通用する器だ。ただ、前走の神戸新聞杯でのダメージがとにかく心配なところ。神戸新聞杯の上位馬は道悪が比較的得意な馬だったが、それでも次走の菊花賞で凡走し、その敗因は疲れとされていた。道悪が苦手な本馬のダメージは相当なものと考えられ、2ヵ月あいていても反動が不安だ。

状態さえまともならかなり強く、今年のダービーは恵まれたとはいえエフフォーリアを差し切り、毎日杯はレコードという強い競馬。特に毎日杯は相当なハイレベル戦なので、そこを勝っているのは高評価だ。春クラシック好走のディープ産駒牡馬なので、狙うなら3歳の今のうちとみて対抗評価としたい。

3番手にコントレイル。前走の天皇賞(秋)は休み明けだったが、エフフォーリアの2着を確保。勝つことはできなかったが能力自体は間違いなく高い。ただ、前走の内容から「強い相手と競り合ったときに勝ち切る底力」が足りないようにも見えた。昨年のジャパンC2着も同じような形であり、勝ちはしたものの菊花賞でアリストテレスに追い詰められたのも同様である。恐らくトップスピードを最後まで持続させることができないタイプで、本当にトップクラスとの戦いになると最後に甘くなってしまうのではないかと見ている。これは推測に過ぎないが、世代レベルが低かった影響で最後まで強敵と競り合う経験がなかったことが響いているのではなかろうか。

さらに前述した通り、古馬になったディープ産駒は中距離GⅠで勝ち切れないケースが多い。今回は前走ほどメンバーが強くないのであっさり勝っても不思議ではないが、競り合いになれば取りこぼす可能性も高いと見て3番手にとどめる。

4番手にオーソリティ。前走のアルゼンチン共和国杯はメンバーレベルこそ低かったが、トップハンデを背負いながらも後続を寄せ付けない完勝だった。東京では一度も連対を外しておらず、コース相性は抜群だ。また馬体も増えてきており成長も感じられるのは好感が持てる。GⅠではまだ結果が出ていないが、得意の東京でGⅠに出走するのは初めてなので期待してもいいのではなかろうか。4歳馬のレベルに疑問があるので4番手にとどめているが、ルメール騎手騎乗で陣営の本気度も窺えるので外せない。

5番手にブルーム。外国馬は10年以上馬券に絡んでおらず、最後に絡んだのは2006年3着のウィジャボードまで遡る。ただ今年は日本馬のレベルがそれほど高くないことに加え、日本の芝に比較的近いアメリカ芝GⅠを経由してきた馬がいる。ヨーロッパと日本の馬場では「時計がかかる芝」という点に加え「アップダウンが激しい」という違いがあるが、アメリカは平坦コースが大半なので日本との差異は小さめ。

例年ジャパンCに来る馬はヨーロッパでの実績が中心の馬が多いが、それよりもアメリカで好走してきた馬の方がチャンスはありそう。実際、最後に馬券に絡んだウィジャボードはBCフィリー&メアターフの勝ち馬であり、ピルサドスキーやシングスピールはBCターフで好走経験があった。これらの理由からBCターフ最先着のブルームは押さえておきたい。同レースではユビアーに差されてしまったが勝ちに等しい内容で、能力は十分通用しそう。日本の馬場が合えば馬券内の可能性はある。

穴馬ではシャドウディーヴァに期待したい。東京巧者の牝馬であり、前走の府中牝馬Sでは後方から鋭い末脚を使ってごぼう抜き。ペースに恵まれたとはいえ絶望的な位置から差し切っており本格化した可能性は十分ある。

2400mという距離が不安にも思えるが、そもそも2200m以上で凡走しているのはオークスを除き全て東京以外の競馬場であり、オークスではそれほど負けていない。これまで使われていなかっただけで、東京なら2400mでも十分走れる可能性はある。全く人気しないと思われるので狙ってみる価値は十分ありそうだ。

買い目は◎ユーバーレーベンの単勝と馬連フォーメーション◎◯−◎◯▲△×☆で強弱をつけて勝負したい。また☆−◎◯▲のワイドは押さえておく。(文:川崎)

▽ジャパンC予想印▽
◎ユーバーレーベン
◯シャフリヤール
▲コントレイル
△オーソリティ
×ブルーム
☆シャドウディーヴァ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。



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