アイスダンス日本勢の過去最高順位

アイスダンス結成2季目の村元哉中、高橋大輔組(関大KFSC)がエストニアのタリンで日本の歴史を塗り替えた。1月21日、フィギュアスケートの四大陸選手権で、リズムダンス(RD)2位の「かなだい」ペアはフリーでも109.48点を出して2位となり、合計181.91点で2位に入った。

1999年から開催され、欧州以外の米国、アジア、オセアニア、アフリカの四大陸が参加する国際スケート連盟(ISU)主催大会のアイスダンス日本勢で2018年大会の村元、クリス・リード組の3位を上回る過去最高順位。

演技後の中継局インタビューで、28歳の村元は「クリスとの思い出は自分にとっては特別なアイスダンス選手生活。こうして大ちゃんと一緒に世界と戦って表彰台に乗れたのはすごい幸せだなと感じますし、まだ2シーズン目で世界と戦って、表彰台に乗れたのは大ちゃんすごいなって改めて感じています」と実感を込めた。

男子のシングル時代に頂点に2度立ち、表彰台に戻ってきた35歳の高橋も演技の出来にこそ悔しさをにじませつつ「アイスダンサーとして初めての表彰台に乗れたということはすごくうれしい。全日本が終わって四大陸まで時間がない中で、うまくまとめられたんじゃないかなと思います」と笑顔で振り返った。

キャロライン・グリーン、マイケル・パーソンズ組(米国)がRD、フリーともに1位の合計200.59点で初制覇。3位も米国勢で、上位3組の記者会見では男性のパーソンズが高橋を横目に「彼はレジェンド」と称賛して敬意を表した。

フリーの世界観「純粋な美しさ」に脚光

フリーのバレエ「ラ・バヤデール」は独特の世界観で観客を魅了し、今季急成長の要因となったスピンと3つのリフトでも最高評価のレベル4を獲得。高橋が週3回の筋力トレーニングで肉体改造に着手した成果が出た。

2021年11月のワルシャワ杯でマークした自己ベストの114.29点には届かなかったが、スケート専門メディア「インサイド・スケーティング」は公式ツイッターで「ラ・バヤデールの純粋な美しさ。彼らの演技を見ることはこの上ない喜び」と高く評価した。

RDでは全日本選手権に続いて序盤で転倒するミスも出たが、2人で気持ちを切り替えてリカバー。日本の伝統的な音楽とヒップホップ音楽との融合を目指した「和」テイストのプログラム「ソーラン節&琴」の演技は海外メディアからも「今季最も興味深いプログラム」「インパクトのある音楽と踊りがとてもユニーク」と脚光を浴びた。

3月の世界選手権はトップ10入り目標

2月の北京冬季五輪出場にはあと一歩届かなかったが、周囲の想像を大きく上回る「超進化」を続ける「かなだい」ペアにとって主要国際大会で表彰台に立てた価値は大きい。

3月の世界選手権(フランス・モンペリエ)にも弾みをつけ、2人が掲げる目標はトップテン入りだ。村元、リード組が2018年に記録した日本勢最高の11位を更新し、10位以内に入れば、さいたま開催となる2023世界選手権代表2枠が手に入る。

来季以降のカップル継続は明言せずシーズン終了後に2人で協議するというが、高橋は演技後のISU主催記者会見で「世界選手権はピークを持って行けると思う。もう一回仕上げていきたいなと思います。結果を出すことでこの競技に注目してもらえるし、興味を持ってもらえる。そのきっかけになれたことがうれしい」とアイスダンスの競技人口が少ない日本の将来も考えて発言した。

その上で今季は「シルバーコレクター」のようになっていると苦笑しつつ「まだ先のことははっきりと自分たちでは決めていないけど、ゴールドメダル、表彰台の真ん中に立つことを2人でやってみたいという気持ちも芽生えてきている」と笑顔で先を見据えた。

カップルを組む村元も「演技としては悔しい演技になったけど、結果としてはとても素晴らしい結果になったんじゃないかなと思います」と銀メダルの価値を受け止め「まだまだ自分たちはできる。もっと上で戦いたい」と向上心にあふれている。表彰台に立てた喜び以上に、大きな可能性を感じるからこそ募る悔しさがあるのだろう。「超進化」する2人の限界はまだまだ見えていない。

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