スーパーバンタム級転向わずか2戦で4団体統一の可能性

7月25日に東京・有明アリーナでWBC・WBOスーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(28=アメリカ)に挑む同級1位・井上尚弥(30=大橋)に絡む新たな動きがあった。

WBAはWBA・IBF同級王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)に対し、次戦でフルトン対井上尚弥の勝者と対戦することを承認。井上はスーパーバンタム級転向わずか2戦で、早ければ年内にもバンタム級に続く4団体統一を果たす可能性が出てきたのだ。

当初は5月7日に行われる予定だったフルトン戦は、井上が練習中に拳を痛めたため7月25日に延期。勝てば日本では井岡一翔(34=志成)に次いで2人目の4階級制覇となる。

フルトンが保持していないWBAとIBFのベルトは、4月にムロジョン・アフマダリエフ(28=ウズベキスタン)を判定で破ったタパレスの腰に巻かれている。井上はバンタム級時代、ベルトを1本ずつ、それぞれ別の王者から奪い、約4年半の年月を要したが、フルトンとタパレスに連勝すればスーパーバンタム級に転向してから約1年で4団体統一を果たすことになる。2階級で4団体統一ならボクシング史上初の偉業だ。

亀田和毅とアフマダリエフで挑戦者決定戦

また、WBAは同級1位・亀田和毅(31=TMK)とアフマダリエフに挑戦者決定戦を行うことを指示。その勝者が井上、フルトン、タパレスのいずれかとなる4団体統一王者に挑戦するとした。

元WBOバンタム級とWBCスーパーバンタム級暫定王者の亀田和毅は、2月に同級13位ルイス・カスティージョ(メキシコ)を5回で倒すなど長らく世界挑戦の機会を待っている状況。アフマダリエフに勝って井上戦が決まれば日本国内は盛り上がるだろう。

とはいえ、今回はあくまでWBAだけの決定で、他団体が追認するかは分からない。他にも牙を研いでいる世界ランカーは多く、山中慎介と2度戦って日本でもお馴染みのルイス・ネリ(28=メキシコ)はWBC2位、IBF3位、WBO3位にランク。井上がフルトンに勝てばWBC1位に上がると見られる。

世界ランク1位になれば、一定期間内に「指名挑戦者」として優先的に王座挑戦できるため、亀田和毅とアフマダリエフの勝者より先にチャンスを与えられる可能性もある。

また、バンタム級王者時代に盛んに井上を挑発していたジョンリエル・カシメロ(34=フィリピン)も5月にWBOグローバル王座を獲得。WBC6位、IBF15位、WBO5位にランクされており、井上との対戦を熱望している。

4団体統一後もスーパーバンタム級にとどまる?

うっすらとではあるがフルトン戦以降の道筋が見えてきたことで、気になるのは井上のその後だ。当然ながらフルトン戦に勝つことが大前提とはいえ、4団体統一すればフェザー級に上げるのか、あるいはスーパーバンタム級にとどまって防衛戦に臨むのか。

1月の会見では「最終章」と語っており、フェザー級に上げる意思はないとも取れるコメントを残している。ただ、バンタム級のように4年半もかかれば年齢的に引退を考えるかも知れないが、1年で達成すればすぐに引退するとも思えない。

身長165センチとスーパーバンタム級でも決して大柄ではない井上にとって、フェザー級に上げるのは大きなリスクを伴う。すぐには階級を上げず、まずは防衛を重ねる道を選ぶ可能性も小さくないだろう。

いずれにせよ、日本が誇るスーパースターの雄姿を拝める試合はそう多くは残っていない。「Lemino」で独占無料生配信される大一番。4階級制覇の歴史的瞬間をまぶたに焼き付けたい。

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