「キャリア3〜5戦」に注目

2024年5月26日に東京競馬場で行われる第91回日本ダービー。近15年でディープインパクト産駒が7勝。2018年から4連勝をマークするなど、独壇場とまでは言えなくても半分近くを勝っているのだからすごい。

近2年はハーツクライ産駒、サトノクラウン産駒が勝利。また、キタサンブラック産駒が2年連続で2着馬を出している。今年はどの種牡馬の産駒が勝つのか、こちらの方も目が離せない。そんな日本ダービーにはどのような傾向があるのか。今回も過去15年のデータを基にして検証していきたい。

☆所属
美浦所属馬4勝(11連対)、栗東所属馬11勝(19連対)。複勝率で美浦所属馬が少し上回っているが、勝率、連対率ではほぼ差がない。

出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆キャリア
最も浅いキャリアでの勝ち馬は、2021年シャフリヤールの3戦。最多は2014年ワンアンドオンリーの8戦だ。

勝率、連対率、複勝率いずれもキャリア3〜5戦の馬が良く、連対率ではキャリア3戦の馬が25.0%でトップ。最近はその傾向が顕著で、直近5年で見ると連対馬はすべてキャリア5戦以内。今年もこの傾向は続きそうである。ちなみに、キャリア3戦で連対した馬は、3頭ともに直近3年で出ている。

出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆前走クラスと主な前走
連対しているのは、前走が重賞だった馬のみ。トライアルであるプリンシパルSからは連対馬が出ていないことになる。

最も連対馬を出しているのは皐月賞。勝ち馬、2着馬が12頭ずつ出ており、文句なしの王道ローテーションといえる。続くのは2勝(3連対)の京都新聞杯、そして1勝(1連対)の毎日杯(今年は出走馬なし)。勝ち馬が出ているのはこの3レースだけ。

トライアルの青葉賞からは、いまだにダービー馬が出ていない。また、過去にタニノギムレットやディープスカイが歩んだNHKマイルC→日本ダービーというローテーションだが、ここ15年では馬券に絡んだ馬が1頭もいなかった。

出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走着順
前走1着馬が5勝、12連対と数字上はトップ。勝率、連対率、複勝率では前走3着馬が上回っていたが今年は該当馬なし。また、直近5年で連対したのは、すべて前走3着以内の馬だった。今回は前走2着以内を好走条件としたい。

出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走人気
前走人気では、前走1番人気の5勝が最多。連対馬が多いのは前走2番人気で10連対、連対率は28.4%と優秀な数字だ。直近5年でも、最多の4頭(2勝、2着2回)が連対している。

日本ダービー出走馬の前走人気,ⒸSPAIA


☆生産者
ノーザンファームが8勝、2着9回で、連対馬の半分以上がノーザンファーム生産馬となっている。それ以上にすごいのがノースヒルズ生産馬。4頭が出走して、3頭がダービー馬となっている(今年は出走馬なし)。

日本ダービー出走馬の生産者,ⒸSPAIA


☆誕生月
出走頭数の多い3月生まれが5勝(10連対)でトップ。勝率、連対率、複勝率が良いのは5月生まれ。面白いのは、オークス(過去15年)で1頭も勝ち馬が出ていなかった5月生まれが、日本ダービーでは違った傾向に出ていること。牡馬と牝馬の違いなのだろうか。しかし、残念ながら今年は5月生まれの登録馬はなかった。

日本ダービー出走馬出走馬の誕生月,ⒸSPAIA


☆その他
その他で気になったデータは3つ。まずは前走の通過順。4コーナーを3番手以内で回ってきた馬は【1-3-5-53】と、あまり結果が出ていない。主に皐月賞を含む中山で走った馬に当てはまるのだが、中山と東京のコース形態の違いによるものだろう。

続いて前走頭数。13頭立て以下のレースを走っていた馬の成績は【1-0-2-32】で振るわない。ラストは芦毛で成績は【0-0-1-11】。最後に連対したのが1993年のビワハヤヒデ。勝ち馬となると1989年のウィナーズサークルまで遡る。

その他データ,ⒸSPAIA


データからは二冠達成が濃厚

日本ダービーのデータをまとめてみよう。

【好走率アップ】
A「キャリア3戦」
B「前走が皐月賞」
C「前走2着以内」
D「前走2番人気」
E「ノーザンファーム生産馬」

【好走率ダウン】
F「前走が6番人気以下」
G「前走4コーナー通過が3番手以内」
H「前走が13頭立て以下」

【勝ち馬なし】
I「キャリア9戦以上」
J「前走が皐月賞、京都新聞杯以外」

5つのプラスデータを挙げたが、このすべてに該当する馬が皐月賞馬ジャスティンミラノ。これに続くのがサンライズアース、シックスペンス、ビザンチンドリームの3つだから、データ的には抜けた存在といえる。また、マイナスデータにひとつも該当していないのも大きく、文句なしの本命でいいだろう。

二冠達成となれば2020年のコントレイル以来。その前では2015年ドゥラメンテ、2011年オルフェーヴルがいる(過去15年)。3頭とも記録や記憶に残る活躍をした名馬。ジャスティンミラノもここを勝てば、偉大な先輩たちに続く可能性は十分ある。

焦点となるのは相手探し。プラスデータを3つ持つサンライズアース、シックスペンス、ビザンチンドリームのうち、シックスペンスはG「前走4コーナー通過が3番手以内」H「前走が13頭立て以下」J「前走が皐月賞、京都新聞杯以外」という、3つのマイナスデータに該当。さすがに厳しそうだ。

残る2頭はともにF「前走が6番人気以下」のみ該当している。ただ、好走率は低いが、勝ち馬を含む3頭の連対馬が出ているデータで、2年前の皐月賞6番人気アスクビクターモアは3着と好走している。前走12番人気サンライズアース、前走8番人気ビザンチンドリームも同じく皐月賞組で、馬券に絡む可能性は十分あるとみる。成績は前走8番人気>前走12番人気なので、ビザンチンドリームを上に取りたい。

続いてジャスティンミラノ以外でマイナスデータを持たないシンエンペラーとレガレイラの2頭を挙げる。プラスデータが2つのレガレイラを4番手、1つのシンエンペラーを5番手としたい。

◎ジャスティンミラノ
◯ビザンチンドリーム
▲サンライズアース
△レガレイラ
×シンエンペラー

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
地方競馬でも「◯◯ダービー」という名称のレースが全国で行われていましたが、今年から地方競馬の一部で「◯◯優駿」と名前が変わっています。「◯◯ダービー」という名称も残っているので、地方に詳しくない人が見ると、混乱するかもしれませんね。

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