見応え十分だった武尊vs江川優生

昨年末は、格闘技マスコミにとって忙しい事情があった。12月28日にK-1名古屋大会、29日に米国を主軸にするベラトール日本初開催、31日にRIZIN.20のメモリアル大会とビックイベント3大会が連続で開催されたからだ。

まずは先陣を切ったK-1名古屋大会。K-1が新たな陣営でスタートして数年が経過して初の名古屋大会ということもあり、愛知県を拠点とする野入正明に大和哲也、さらに名古屋出身である不可思と豪華K-1ファイターたちが次々に出場し、大会を盛り上げた。

そして、名古屋大会の目玉カードの一つに57.5kgで11月にK-1世界王者へ上り詰めた江川優生と、一つ上の階級である60kg世界王者、武尊のエキシビション対決があった。体重が近い階級の現現役チャンピオン同士による夢の対決ということから、注目度が非常に高かった。

それと同時にエキシビション後のリング上で、年明けの動向について武尊から発言があるとの噂が立っていただけに、どんなサプライズ発表があるのかと注目が集まった。

まずはエキシビションの試合内容についてだが、1R3分の戦いは濃密な内容。武尊は57.5kgの江川の適正体重に合わせて、体を仕上げて万全な体調で挑んだ。

すでにK-1のofficial動画(無料配信)で、この戦いの雄姿を観られるので、まだ観ていない読者は是非ともご覧いただきたいだが、武尊も江川も格闘技ファンの期待に十二分に応えるだけの戦いをした。

通常の公式戦8オンスのグローブに比べるとエキシビション用にかなり大きなグローブを着用し、ナックルが内側にかえっていなので、こぶしの強さは当てる程度に止めて強打していないことが分かるが、それでも残り30秒になると、両者ともに闘志むき出しに本気モードで打ちあって会場を盛り上げた。

是非とも、近い将来に公式タイトルマッチとして2階級のベルトをかけて試合を行ってほしいと感じた。

白鳥大珠が武尊と天心の胸中を代弁?

さて3分が終わって、リング上での注目の発言についてだが、両者、互いのことをリスペクトし、2020年のK-1の一大祭典である「K’S FESTA」への参戦をいち早く武尊が表明するだけにとどめ、2020年度に那須川天心との対戦について言葉を発することはなかった。

そして、大晦日にRIZINへ参戦した那須川天心も同じく武尊との対戦について、まったく発言しなかった。

但し、同じくRIZINへ参戦した那須川天心の同門TEPPEN GYM所属の白鳥大珠がK-1元王者の大雅に圧倒的な力差を見せつけてTKO勝利をすると口火を切る。

「対K-1が観たいと思いませんか? 来年中(2020年)に対抗戦ができたら面白いんじゃないですか?」と、ファンが待ち望む夢の対抗戦について、大人の事情で発言をひかえる武尊や那須川の言葉を代弁するような形で、思いの丈をぶつけた。

ぽっかり空いている東京五輪後のスケジュール

ここに、白鳥と那須川が主戦場の一つにしている「RISE」の2020年度の年間スケジュールを照らし合わせてみる。

55kgの那須川天心との次期対戦権を決めるアジア最強トーナメントが4月と6月に行われる。この4月と6月には、那須川もスーパーファイトでの参戦を表明しており、10月に那須川とアジア・トーナメント覇者がタイトルをかけて戦うと言及している。

そうなると、ぽっかりと東京オリンピック終わりの8月中盤から後半のスケジュールが空いており、このタイミングでK-1軍とRISE&RIZIN連合軍の対抗戦の実現の可能性を感じる。

また、8月9日に東京オリンピックの閉会式があることを踏まえて考えると、スポーツ熱が高まっている余韻の中で8月15日(土)〜8月30日(日)までの夏休み期間の週末あたりが濃厚だとも思えてくる。

那須川陣営が今年度は、2か月に一度のペースで試合スケジュールを組んでいる事情を考えると、8月だけ、ぽっかりとスケジュールが空いているのも…RIZINからのオファーがある理由なのかもしれないが、どこか不思議に感じるところでもある。

武尊の3月以降のスケジュールも白紙な状況を考えても、もう1試合を挟んで、8月に試合ならば、スケジュール的には申し分ない。

皇治vs朝倉未来も実現期待

また、SNS上では既に話題になっているK-1皇治とRIZIN朝倉未来との対戦も実現するならば注目カードの一つになる。

両者ともに対戦を意識したSNS投稿を発信しており、MMAルールになるのかK-1ルールになるのかも楽しみの一つだろう。

昨年12月29日のベラトールで、総合格闘技界のパイオニアである青木真也や宇野薫と一緒に皇治がセコンドに入ったことを考えると、MMAへの挑戦を視野に、総合格闘家との練習に取り組んでいることを匂わせているのも、注目に値する。

谷川貞治氏や石井館長も動く?

両団体のトップ選手たちの顔ぶれを見ると、団体の垣根を越えて夢のカードは無尽蔵に組める。

そして昨年度の大晦日、さいたまサブアリーナで行われたeスポーツの融合イベント「eRIZIN」には、過去に「K-1」の歴史において一時代を築きあげた谷川貞治氏が関わっている。

29日のベラトールには石井館長が来場するなど、日本格闘技界の重鎮たちが夢の対決実現へ向けて歩み寄っているように感じる。

2002年夏に猪木が上空から登場した「Dynamite!!」の時のような夢の対抗戦が2020年に実現なるのか!?期待に胸膨らむ状況だ。