近年、エンタメに対する楽しみ方が多様化している。動画サイトでの配信やSNS上でのコラボ企画など様々。SPICE編集部でも一味違った形でエンタメの紹介をできないかと、「音楽」と「食」を組み合わせた連載を始動! 本企画は京阪神のグルメ最新情報を発信し続け、現在も関西のテイクアウトできるお店紹介などを発信するなど、関西のカルチャー好きから信頼を得る京阪神エルマガジン社の月刊誌『Meets』編集部に協力のもと、音楽ライターオススメの音楽と共に、その音楽に合うお店をご紹介! オススメの音楽を聴きながら『Meets』を読み、オススメのお店で(感染防止ガイドラインを守りながら!)外食を楽しもう。

担当ライターその8:奥“ボウイ”昌史
酒と音楽と会話と古着とハワイとFREITAGを求めて徘徊するライター/インタビュアー/編集。ex. ぴあ関西版WEB音楽担当。酒が飲める=友達と認識する国指定の難病に侵されています。
 

①世界のレシピがオリジナルを生み出す/ROTH BART BARON「極彩 | I G L (S)」×SPICE STAND 556

いつもは年中ミュージシャンにインタビューしたりライブのレポートをしたりしてますが、飲み食いも大好きな私がチンチン電車(=阪堺電車)で訪れたのは大阪は北畠、あべの筋に面したSPICE STAND 556。店に入る前からテンションが上がる古民家リノベされたウッディな空間で、BEEFキーマとココナッツチキンのあいがけカレー、ジャークチキン・オーバーライスやらマグロのスパイス炒め等々を、日替わりクラフトビールもろとも、己のわがままボディにストイックに流し込んでいく(笑)。タイ、ジャマイカ、メキシコ……世界のさまざまなレシピを奔放にミクスチャーした極上スパイス料理、昭和の木造家屋を1年かけて店主自ら改装しちゃうスタンスとこだわり……そんなSPICE STAND 556の魅力に触れて、ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)を思い出したのです。

ROTH BART BARONも、生粋のミュージックラバーである三船雅也(Vo.Gt)が世界中の音楽を巧みに調理し、ここにしかないオリジナルな作品を生み出しつつ、オンラインとオフラインを行き来するコミュニティの運営やクラウドファンディング、サブスクリプション、YouTubeなど多岐にわたるプラットフォームを駆使するなど、業界の仕組みに乗っからずセルフマネジメントでたくましくサバイブしてます。そんなロットの至高の新曲「極彩 | I G L (S)」を聴いてもらえれば、私の言ってることがきっと分かってもらえるはず。これだけ世に音楽が出尽くした後に「発見した」と思わせてくれる心地いい衝撃を、ぜひとも味わってください。

あと、両者ともグッズがイケてる。先日、SPICE STAND 556のTシャツ着てたら褒められましたよん。

●『Meets』編集部オススメのお店はコチラ●
・SPICE STAND 556[大阪・北畠]
店主自ら長屋を改装したブルックリンライクな店内で、タイやジャマイカなどのレシピを融合したスパイス料理が味わえる。ジャークチキン・オーバーライスやマグロのスパイス炒めなど昭和家屋のローカルな雰囲気は、海外旅行に来た気分に。

 

②昭和風情に浸りつつ哀愁の焼肉をキメたいときに/中田裕二「君が為に」×焼肉 お富

ライブでたまに行く京都・河原町で徘徊していると、時間が止まったかのようにいきなり現れる「昭和」がある。立ち飲み屋のお手本とも言うべき「居酒屋 たつみ」のすぐ近く、伝説の焼肉屋「三吉」の跡地に誕生した「焼肉 お富」もその一店。

のれんをくぐると卓上コンロから沸き立つ煙と雰囲気にどっぷり持っていかれて、席に着くなり瓶ビール片手に蒸し豚と鶏ももポン酢をリレー。気さくな店員さんに「ぺろりといけますよ」とそそのかされた赤身ミックス二人前を一人で食べながら(余裕、そして至福)、テレビに映った懐かしの音楽番組『夜のヒットスタジオ』の映像を眺める。ボディコン(死語)と不良がわっさわっさ踊りまくる矢沢永吉の「SOMEBODY’S NIGHT」を皮切りに、チェッカーズ、薬師丸ひろ子、寺尾聰……往年のヒット曲が続きながら、店内BGMでは演歌も流れる懐メロの洪水。昭和という時代を体験できた喜びをかみしめ、酒と肉が進む。でも、ここでふと考える。こんなクオリティと強烈な磁場のある音楽が果たして今、存在するのか。昭和の名曲群と共に、この店でかかってても見劣りしない新曲なんてあるのか……。

あった。唯一あったわ、そんな凄みと歌力がある音楽が。それが中田裕二の「君が為に」。コロナ禍で惑う人々に向けインスタライブで届けられたこの曲が、月夜にじんわり沁み渡る。こんなにシンプルな曲なのに、誰にも似てない、誰にもできない、押し寄せる感動。でもね、あえて言いますけど、彼はこれ級の曲をザラに書いてる。自分の人生で出会えたことを感謝するアーティストの一人です。ちなみにこの曲のリリックビデオは、『SPICE』でも『Meets』でもおなじみ、いつも一緒に中田裕二のツアーパンフも作ってる、ナベラマンこと渡邉一生氏が手掛けております。

●『Meets』編集部オススメのお店はコチラ●
・焼肉 お富[京都・河原町]
今年閉店した伝説の焼肉店「三吉」を、「街にとって馴染みのある店を残したい」と本誌の酒場ライター、バッキー・イノウエ氏が引き継ぎ。内装や卓上コンロでのモクモクスタイルは以前とほとんど変えず、河原町の路地で楽しめる。

 

③酒と夜の新提案つながりでオススメ/青木拓人「銀夜」×LOOP HAMBURG 西本町店

飲むときは食わない人、飲むときも食いたい人、いろいろタイプはありますが、自分は間違いなく後者。お酒はもちろんおいしいメシも当然食いたい。でも、食がメインか酒がメインかで選ぶ店も変わってくる。そんなときに初めて耳にしたキラーワードが、その名も「バーグ飲み」!? ハンバーグをアテに飲むという新たな提案をしてきたのが、新町の間借りハンバーグ専門店の2号店となる、LOOP HAMBURG 西本町店である。

コンクリート打ちっぱなしのモダンな内観ながら、イスやらテーブルやらは何だかレトロで、席に着くなり妙に落ち着く。瓶ビールと肉汁ジュワーなハンバーグという、自分の中の大人も子どもも満足させる黄金コンビで、欲望を存分に満たしていくこの幸福。最高、気持ちいい。そんな夜に聴きたくなったのは、関西在住のシンガーソングライター・青木拓人の「銀夜」。かつて「ナニワのボブ・ディラン」と呼ばれた(?)酔いどれ詩人が、7年ぶりにリリースした2ndアルバム『球状するダンス』も、持ち前のフォーキーなトラックのみならず、シティポップにヒップホップにポエトリーリーディングにと何でもごされのビートを取り込み自分のモノにした逸品で、こんなに酒と夜に合う音楽はありません。関西在住のライターなんだから、やっぱり関西のミュージシャンを応援したいよねということで。

原稿を書くにあたって、この三店で後先考えずにしこたま飲み食いしたから、原稿料をもらったところで赤字だよ(笑)。でも、今日も関西のうまい店で酒を飲む。また、どこかの店で。

●『Meets』編集部オススメのお店はコチラ●
・LOOP HAMBURG 西本町[大阪・本町]
新町にある間借りハンバーグ専門店の2号店。みんな大好きハンバーグを夜はアテとして楽しめる。ビーツ&ヨーグルトやバジルホウレンソウなどの色鮮やかなソースは色合いもグッド。ハンバーグも映えの時代!

 

文=奥“ボウイ”昌史