3月18日(土)〜5月28日(日)の期間、大阪市立自然史博物館 ネイチャーホールにて開催される特別展『毒』の見どころが発表された。

2月まで東京の国立科学博物館で開催中、3月から大阪に巡回する同展では、約250点の様々な「毒」に関わる展示を見ることができる。

これも「毒」なの!? 自然界のあらゆる分野の毒を網羅

人間は、天然に存在する「生物に何らかの作用を与える物質」のうち、人間にプラスに働くものを薬、マイナスに働くものを毒と呼んでいる。つまり毒とは、多様で複雑な自然界を理解し利用するために、人間が作り出した概念とも捉えることができる。人体に有用なものでも、取りすぎると毒になるし、アレルギー反応にみられるように、感受性の高低によっても毒性は異なる。

同展では動物、植物、菌類、鉱物や人工毒など、自然界のあらゆるところに存在する毒について、動物学、植物学、地学、人類学、理工学の各研究分野のスペシャリストが徹底的に掘り下げ、それぞれの視点で解説。拡大模型や剥製、クイズなどを通じて、使大人も子どもも、年齢や属性を問わずに楽しむことができる内容となっている。全5章の見どころをひと足先にお伝えしよう。

第1章:毒の世界へようこそ

身近な生活や自然界に存在する様々な「毒」。第1章では、毒とは何かという概念から始まり、人間を含む生物に毒がどのように作用するのかを解説する。

第2章:毒の博物館

第2章では、身のまわりにある様々な毒と毒をもつ生物を紹介。

さまざまな害虫 写真提供:国立科学博物館

さまざまな害虫 写真提供:国立科学博物館

生物の毒(動物・植物・菌類)の目的の多くは、主に「攻めるため」と「身を守るため」にあるが、様々な有毒生物の毒の働きなどを説明する。中でも見どころは、実物の約30倍に拡大されたハブ、約40倍のオオスズメバチ、約100倍のイラガ、約70倍のセイヨウイラクサといった、毒をもつ生物の拡大模型。その迫力に圧倒されること間違いなしだ。

「日本の3大有毒植物」のひとつのオクトリカブト 写真提供:門田裕一

「日本の3大有毒植物」のひとつのオクトリカブト 写真提供:門田裕一

刺胞と呼ばれる毒の注入装置をもっているアカクラゲ 写真提供:村井貴史

刺胞と呼ばれる毒の注入装置をもっているアカクラゲ 写真提供:村井貴史

また、日本の3大有毒植物と呼ばれるオクトリカブトなどの植物や、アブやノミなど人を咬んだり刺すことで皮膚にかぶれやかゆみを引き起こす毒虫、クラゲやフグなど海洋の有毒動物、爬虫類やきのこ、鉱物など、自然界の毒を余すところなく紹介。

クジラの体内から見つかったマイクロプラスチック 写真提供:国立科学博物館

クジラの体内から見つかったマイクロプラスチック 写真提供:国立科学博物館

また、マイクロチップといった、人間が作り出した毒にもフォーカスする。身のまわりに潜む毒の多さに驚くだろう。

第3章:毒と進化

第3章では、毒がキッカケとなって起こった生物の多様化と進化の例を紹介し、毒と生物の進化の関係を考える。

キオビヤドクガエルの「警告色」は、黄色と黒の縞、または斑紋模様 (c)2012 Mauro Teixeira Jr

キオビヤドクガエルの「警告色」は、黄色と黒の縞、または斑紋模様 (c)2012 Mauro Teixeira Jr

お腹の「警戒色」を見せるアカハライモリ 写真提供:国立科学博物館

お腹の「警戒色」を見せるアカハライモリ 写真提供:国立科学博物館

有毒植物のユーカリを食べるため毒に対抗する特徴を発達させている、コアラとユーカリ (c)Janelle Lugge/Shutterstock.com

有毒植物のユーカリを食べるため毒に対抗する特徴を発達させている、コアラとユーカリ (c)Janelle Lugge/Shutterstock.com

毒が招いた多様性と進化の例は多く、毒のある生物への擬態や、有毒生物からの毒の盗用、毒に耐える性質の獲得、毒を利用した種子の散布戦略などが考えられている。さらに自身が有毒動物であることを周囲に伝え、その動物と外敵の双方にとって無用な争いを避ける「警告色」なども紹介。生物の生態に神秘すら感じるのではないだろうか。

第4章:毒と人間

パラケルスス パラケルスス彫像

パラケルスス パラケルスス彫像

狩猟や戦、処刑や暗殺、毒を研究することにより薬を生み出すなど、人間は毒と向き合い、その正体や本質に迫りながら、毒を利用する方法を次々と編み出してきた。スイスの医学者、化学者であり、錬金術師でもあったパラケルスス(1493〜1541)は、「あらゆる物質は毒である。毒になるかクスリになるかは、用量によるのだ」という言葉を残した。

シロバナムシヨケギクと蚊取り線香 写真提供:大日本除虫菊

シロバナムシヨケギクと蚊取り線香 写真提供:大日本除虫菊

同章では人間の歴史において、そして人間にとって、毒とはどんな存在だったのかを紐解くと同時に、科学の進歩による毒の解明、その利用などの毒の研究も紹介する。

終章:毒とはうまくつきあおう

ベニテングタケ 写真提供:国立科学博物館

ベニテングタケ 写真提供:国立科学博物館

現在、人間の活動が新たな毒を生み出していることをご存知だろうか。人間の活動が招いた温暖化などの気候変動や物流は、新たな環境へ毒性物の分布を広げる一因となっている。最終章では、毒から逃れることができない私たち人間が、未来に向けて地球規模で考えなくてはならないこと、向き合っていくべきことを学ぶ、問題提起の章でもある。

毒クイズや『鷹の爪団』、BiSHとのコラボも

クイズ王の伊沢拓司率いる東大発の知識集団QuizKnockから出題される「毒」クイズに挑戦しながら展覧会を楽しむ企画も登場。SPICEによる伊沢拓司のインタビューはこちら。

さらに『秘密結社 鷹の爪』でおなじみの『鷹の爪団』が世界征服に使えそうな毒を探索するついでに、展覧会会場内のあちこちに登場するコラボ企画も東京会場に引き続いて行われる。

音声ガイドナビゲーターは声優の中村悠一がつとめ、毒の世界をわかりやすくナビゲートする。そして「楽器を持たないパンクバンド」BiSHの楽曲「UP to ME」ともタイアップ。会場でレンタルできる専用ガイド機には「UP to ME」が特別収録されている(※一部のみ)。会場限定オリジナルグッズもゾクゾク登場するので、こちらも楽しみにしていよう。

現在、前売チケットがイープラスほかプレイガイドで発売中。内覧会の様子はこちら。