2023年5月24日(水)より、東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)にて、舞台『BACKBEAT』の東京公演が開幕する。

本作は、20世紀を代表するロックバンド・ビートルズの創成期を描いた1994年公開の伝記映画「BACKBEAT(バックビート)」を、イアン・ソフトリー監督自らが舞台化した作品で、日本では2019年に初上演。熱くほとばしる生演奏のサウンドにのせて綴る、バンド創成期の青春物語となる。

出演は戸塚祥太(A.B.C-Z)・加藤和樹・辰巳雄大(ふぉ〜ゆ〜)・JUON(FUZZY CONTROL)・上口耕平と“令和のビートルズ”のメンバーが再集結。また、新たに参加となる愛加あゆ、さらに歌手で俳優の尾藤イサオも再び参加する。

このたびオフィシャル公演レポートと舞台写真が到着した。

オフィシャルレポート

舞台は、戸塚演じるスチュアートが生き生きと絵を描くシーンから始まる。その表情が、動きが、情熱が、スチュは芸術家なのだと一瞬でわからせる。芸術家スチュは、親友ジョンに誘われ、ジョージ、ポール、ピートと共に、全員10代で「ビートルズ」となる。

撮影:岡千里

撮影:岡千里

撮影:岡千里

撮影:岡千里

印象的だったのははじまりのシーンだ。ジョンはスチュにベースを持たせ、弾き方を教え、スチュがたどたどしく鳴らす音に歌をあわせてみせる。さっきまでスチュは絵筆を持っていて、ベースを弾いたこともなかった。そこでジョンが生み出した音楽は、スチュだけでなく客席をも巻き込んだ。音楽というもの、そしてジョンという人から滲み出るカリスマ性を、加藤がとても魅力的に表現している。

ビートルズの末っ子ジョージはギターが好きで人懐っこい人だったそうだが、辰巳のジョージはまさにそれ。そして目をこすりたくなるほど10代である。ミュージシャンでもあるJUONの芝居はポールへのリスペクトが垣間見え、それが不思議とポールの才能を予感させるものにもなっている。上口演じるピートは後半まで心情が見えてこない人物だが、その心の内が見えたとき、「感じていたのはこれか」と納得する芝居を丁寧に積み重ねる。

撮影:岡千里

撮影:岡千里

撮影:岡千里

撮影:岡千里

愛加が演じるのはスチュと恋に落ちるアストリッド。写真家でもある彼女の凛とした姿勢がスチュにどれほど影響を与えたか一目で理解させるオーラが放たれる。エルヴィス役の尾藤は1966 年のビートルズ初来日公演の際に前座を務め、彼らの生の演奏を体感した歌手でもある。その尾藤の、歌唱はもちろん存在そのものがこの物語にとって大きなものだ。

撮影:岡千里

撮影:岡千里

撮影:岡千里

撮影:岡千里

ジョンから放たれる風は周囲の人をどんどん巻き込んでいく。だがスチュだけは、そこから飛び出すのだ。それは決別のように思えるが、そうではないことが戸塚や加藤の芝居を観ているとまっすぐに届く。5人の、どんな状況でもどんな状態でも、ライブシーンになると途端に輝きだす姿は感動的だ。この5人の光景を忘れてビートルズを聴くことはもうできないなと感じる舞台であった。

撮影:岡千里

撮影:岡千里

撮影:岡千里

撮影:岡千里