ゴツプロ!第九回公演『無頼の女房』が2024年6月6日(木)〜6月16日(日)東京・本多劇場、7月6日(土)福岡・大牟田文化会館小ホールにて上演される。

この度、本公演の稽古場レポートが届いたので紹介する。

『無頼の女房』は、日本を代表する作家・坂口安吾とその妻・三千代をモデルに、混沌の時代を懸命に生きながら滑稽で愛おしい人々の姿を描いた中島淳彦の代表作。2002年に劇団道学先生で初演され、2010年には東京ヴォードヴィルショーでも再演、他の劇団でも上演されてきた人気の高い作品。今回は劇団道学先生の青山勝が演出を務め、ゴツプロ!メンバーのほか、かんのひとみ(劇団道学先生)、浅野令子、土屋佑壱、鹿野真央(文学座)、前田隆成、剣持直明(劇団だるま座)、久保酎吉が出演する。

ゴツプロ!第九回公演『無頼の女房』稽古場より

ゴツプロ!第九回公演『無頼の女房』稽古場より

ゴツプロ!第九回公演『無頼の女房』稽古場より

ゴツプロ!第九回公演『無頼の女房』稽古場より

稽古場中央にはテーブルを囲んで椅子が数脚置かれ、下手側に玄関と階段の目印がつけられている。壁沿いの長テーブルには、酒瓶やウイスキーグラス、食器、囲碁盤等の小道具が並んでいた。
編集者の平井(佐藤正和)、横山(渡邊聡)、竹原(泉知束)がこそこそ話をする場面から稽古が始まった。塚口圭吾(塚原大助)が妻以外の女性との過去の恋愛を小説の題材にしていることを噂している。お手伝いさんの多喜子(かんのひとみ)がお茶を出すと、あとでお酒をいただくからと断る平井。
診療に来た医師の芝山(剣持直明)から飲酒を禁止された圭吾を、健康のために禁酒して書く気をなくしたら余計に苦しむと心配する妻のやす代(浅野令子)。そんなやす代の心配を他所に、見張りの吉田青年(前田隆成)を縛り付けて脱走してしまう圭吾。圭吾の捜索に駆り出される編集者たち。
そこへ、圭吾と因縁のある流行作家の豊臣治(土屋佑壱)がある女性を伴って圭吾に会いに来るとわかり、慌てふためく一同。作家仲間の谷(久保酎吉)が陣頭指揮をとり、圭吾と豊臣が鉢合わせしないように焦って動き回る面々。圭吾は不在とごまかそうとしたのも束の間、編集者たちの制止を振り切って、圭吾は豊臣が来ている自宅に戻ってきてしまった。

ゴツプロ!第九回公演『無頼の女房』稽古場より

ゴツプロ!第九回公演『無頼の女房』稽古場より

ゴツプロ!第九回公演『無頼の女房』稽古場より

ゴツプロ!第九回公演『無頼の女房』稽古場より

舞台上にいる全員が大真面目にドタバタ動き回って圭吾に振り回されるシーンに、自然と稽古場が笑いに包まれた。青山は、セリフ回しや感情を細かく確認し、時に立ち上がって役者とともに動きを修正しながら演出をつけていく。
「中島の作品には端役がいない」という言葉通り、それぞれのキャラクターがいきいきと描かれ、個性が光っていた。

【イントロダクション】
まだ焼け跡も片付かない戦後、昭和23年。作家・塚口圭吾とその妻・やす代が暮らす東京近郊の家には、今日も原稿待ちの編集者たちが詰めかける。
最後の無頼派ともてはやされる流行作家だった圭吾は、その重圧から神経過敏となり、酒と薬物で心身のバランスを保っているようなものだった。ことあるごとに二階から飛び降りるのも、薬物で高揚した精神のなせるわざ。
「原稿を走る筆の音が、まるで身を削る刃物の響きに聞こえて」
そんな圭吾に寄り添ってきたやす代にとある変化が訪れたことで、夫婦の時間が変わっていく。
混沌の時代を懸命に生きながら、どこか滑稽で愛おしい人々。日本を代表する作家・坂口安吾とその妻・三千代をモデルに、一癖も二癖もある登場人物たちそれぞれの愛の形を描き出す、中島淳彦の代表作。