俳優の舘ひろし(74)が、20日深夜に放送された日本テレビ「夜明け前のPLAYERS」に出演。同番組のYouTubeチャンネルで、勝新太郎さんとの思い出話を語った。

 番組MCで経済学者・成田悠輔氏とのトークで、「昔の破天荒な時代に一番印象に残っている人物」が話題になると、舘は「勝さんでしょうね」と即答した。勝さんについては思い出が多々あるが、舘は「個人的なこと」として石原裕次郎さんの納骨式の際のエピソードを挙げた。

 石原裕次郎さんと勝新太郎さんは仲が良く、舘は「勝さんがいらっしゃった時は僕が接待係」だったという立場。そんな納骨式で、お寺の本堂から墓まで長い距離があった。雨が降る中、渡哲也さん、石原まき子夫人が歩く横では関係者が傘をさしていた。その後ろを勝新太郎さんが歩く横で、舘は傘をさした。

 「これが渡さんだったら、“ひろし、一緒に入れ”となるんですが、勝さんはそういうことはしないんです。僕が濡れているのを知っていて、歩いていく」。傘をさす舘に向かって、「入れ」とは言わなかった。歩きながら「ひろし、今度お前とゴルフの映画でも撮るか」など楽しそうに話しかけたという。

 その理由は何だったのか。「本堂からお墓まで沿道に人が何百、何千人といる。その時でも勝さんは、僕が濡れていることを気にしない感じなんですが、実は勝さんの優しさって、濡れている俺を見せたいんです」と舘が推測し「濡れている僕を見せたい、そういう優しさ。ちょっと違うんです、他の人とは。渡さんの優しさは“一緒に入ろう”。でも勝さんは“濡れている舘ひろしは格好いい”というものを見せたい」と解説した。

 これに成田氏が「映画のシーンを演出しているかのように」とふると、舘も「そうですね。きっと、人がどう見ているか、ということを意識している」と演出家の視点があったのだと話す。「当時は何で俺に入れと言わないのかな、と思うんです」と笑いながら回想するが「後で考えると、そういうこと」と力説。成田氏に「美化している可能性も?」と言われると、「それもありますけど、勝さんはそういう人です。本当に勝さんは面白い」と当時を懐かしがっていた。