NHKの稲葉延雄会長は22日、東京・渋谷の同局で定例会見を行い、NHKにインターネット業務を義務づける改正放送法が成立したことに言及した。

 改正放送法では、ネットを通じた同時配信と見逃し配信、それに加えて番組関連情報の配信を必須業務としている。番組関連情報は、番組と密接に関連があり、番組の編集上必要な資料に限定。これまでNHKのネット業務は任意業務だったが、必須業務へと格上げとなった。

 必須業務となることで、テレビを持たず受信料を現在支払っていない人でもスマホなどからNHKの配信を視聴した場合は受信料を求める。

 ネット視聴は、受信料を支払っている世帯に新たな負担は生じない。一方で、受信料を払っていない場合、ネット配信を利用するには新たな受信契約が必要となる。スマホやパソコンなどを持つだけで契約を求めることはない。施行は公布から1年半以内。

 今月17日、同法は参院本会議で賛成多数で可決、成立した。

 稲葉会長は今回の決定に「これまで任意業務だったインターネットサービスが放送と全く同じ扱いとなり、放送と同じ内容、同じ価値を提供しなければならないと理解している。ネットサービスがこれまでよりも高い位置づけとなり、放送を主な業務としてきたNHKにとってはまさに歴史的な転換点を迎えると受け止めている」とコメントした。

 必須業務化のスケジュールは「2025年度の後半からのスタートを目指して準備を進めたい」とし、今後のサービスなど「具体的な内容が固まりましたら改めてご説明の機会をもうけさせていただく」とした。