フリーアナウンサー古舘伊知郎(69)が22日、TBS系「ゴゴスマ〜GO GO!smile〜」(月〜金曜後1・55)に生出演し、心不全のため16日に死去した俳優の中尾彬(なかお・あきら)さん(享年81)を追悼した。

 中尾さんは古舘も在籍する古舘プロジェクト所属。「仏教の教えで死ぬことってちっとも悪いことじゃないと思ってはいるんですけど、やはりひと回り違う大先輩、事務所の仲間が突然、旅立ってしまって、やはり寂しいですよね」と、寂しそうに語った。

 妻で女優の池波志乃とのおしどり夫婦で知られた中尾さん。古舘は「志乃さんはこのごろちょっとお会いできていないですけど、志乃さんの心境を考えると、お寂しいだろうなというのは強く思います」とも話した。

 中尾さんの体調面についても明かした。「心臓が悪いというのは言っていたんですけど、普通に仕事をされたり、病院に行かれたりやっていたので。聞くところによると、横になりながら、志乃さんとお話をしながら、すーっと旅立たれた」。生前は「頑固に、“何もやってくれるな”って言って旅立った」という。「“そうは言っても”って、志乃さんはご家族だけでって。私も葬儀は遠慮しました。事務所のスタッフの方々が行ってお手伝いする形で。中尾さんの遺志が強かったですね」とも明かした。

 中尾さんは、高校卒業後の1961年に武蔵野美術大学油絵学科に入学。翌62年に日活ニューフェースの第5期に合格し、映画デビューを果たすが、画家の道を捨てきれずに大学を中退してフランスに留学したこともあった。帰国後の63年に劇団民藝に研究生として入団し、翌65年に中平康監督の「月曜日のユカ」で主演の加賀まりこのボーイフレンドを好演して注目を集めた。70年に日活と民藝を離れてフリーに転身。75年に「本陣殺人事件」で金田一耕助役で主役を張ったほか、東映「極道の妻たち」シリーズ、東宝「ゴジラ」シリーズ、伊丹十三監督の「ミンボーの女」、さらには「アウトレイジ ビヨンド」や「龍三と七人の子分たち」など北野武監督の作品に重用され、コワモテから気の良い親分まで変幻自在に演じ分けて貫録を示した。ドラマではテレビ朝日「暴れん坊将軍」の初代徳川宗春役やNHK土曜ドラマ「ハゲタカ」などで存在感を示した。

 おしゃれとしても知られ、マフラーやスカーフを首元からぐるぐる巻きにする“ねじねじ”がトレードマークだった。