NHKの中山果奈アナウンサー(33)が7月26日(日本時間7月27日)に行われるパリ五輪の開会式でキャスターを務めることが22日、都内の同局で行われた定例メディア総局長会見で発表された。大阪放送局の伊藤慶太アナ(52)とともに務める。また、閉会式のキャスターは中川安奈アナ(30)、松野靖彦アナ(48)が担当する。

 中山アナは「普段はニュースにかかわることが多く、スポーツの現場はなかなかなく、これまでも五輪はほとんど携わった経験はありません。上司から開会式の担当と聞かされた時は、本当に驚いて、“”え?本当ですか?“私ですか?”って3回ぐらいたずねた。誰よりも私が驚いたし、身が引き締まる思いがしております」とあいさつ。

 「今回の五輪の開会式が前例のない開会式になるということ。セーヌ川を選手の皆さんが船で渡ってくる。見たことがない光景だと思う。今から“雨が降ったらどうなるんだろう”とかそこはかとない心配もありつつ、一方で、大観衆の中で特別な演出を選手たちがどんな晴れやかな表情で迎え、行進してくるのか、ワクワク感も少しずつ高まってきている。現場でしかわからない熱を私たちの言葉で伝えして、日本にいる方々にその特別な開会式を楽しんで、そのあと始まる協議への期待感を最大限に高められるような実況をしたい」と意気込んだ。

 現在は「普段、スポーツの現場に行くことがないので、いつも以上にスポーツの情報を触れる」ように努めているといい、「パリの名所なども調べて、地図で確認したりはしているんですが、“雨が降ったらどうするんだろう?”とか心配が大きくなってきて」と苦笑した。

 閉会式を担当する中川アナは「最初にこの閉会式を担当すると聞いた時は正直、“私で大丈夫なのか”と不安な気持ちにもなった」と吐露。それでも先輩アナたちから「閉会式は祭の後をかみしめて伝えること」とアドバイスをもらったといい、「視聴者の皆さんと祭の余韻を楽しみながらも映像や音声で伝われり切らない部分をじっくりと補足してお届けした。精一杯努めたい。いろんな国や地域の旗を見て、すぐ言えるようにしたいなと思っています」と前を向いた。

 2014年に入局し、現在は正午のニュースを担当する“昼の顔”。着実に知名度を伸ばしてきた中での大抜てきとなった。

 これまで五輪の開会式には局のエースが投入されてきた。21年の夏季東京大会は和久田麻由子アナ(35)、18年の冬季平昌大会は桑子真帆アナ(36)らが担当。中山アナはそこに名を連ねる形となり、局関係者は「NHKの未来を担うエースアナとして、局が期待を寄せている証だ」と話している。

 中山アナは主に報道番組を中心に活躍。19年に東京アナウンス室勤務となってからは「首都圏ネットワーク」などを担当した。特に生放送での対応力と安定感は折り紙付き。22年には故安倍晋三元首相の銃撃事件の一報を伝えた。今年元日の能登半島地震発生時には、山内泉アナとともに緊迫感のある口調で避難を呼びかけたことが話題となった。緊急放送での対応について局内での評価が高い。

 パリ大会の開会式は、夏季五輪史上初めてスタジアム外のセーヌ川沿いで開催される。中山アナとともに、大阪放送局の伊藤慶太アナ(52)も開会式を担当する。長年スポーツ中継に関わっており、競技や選手の豊富な知識で中山アナを支える。他に中継の担当アナとして中川安奈アナ、田所拓也アナ、吉岡真央アナらがパリに派遣される。

 この日はパリパラリンピックの開・閉会式のキャスターも発表。開会式を池間昌人アナ、開・閉会式を松本真季アナ、閉会式を瀬田宙大アナが務める。

 ◇中山 果奈(なかやま・かな)1991年(平3)生まれ、広島県出身。東大を卒業後、14年にNHK入局。松江放送局、広島放送局を経て19年から東京で勤務。昨年度まで「ダーウィンが来た!」のナレーションを担当。趣味は料理、食べ歩き、芸人のラジオを聴くこと。