リアル「全力プレー」の果てに…神鋼・今村雄太が大けが乗り越えTL100試合出場

リアル「全力プレー」の果てに…神鋼・今村雄太が大けが乗り越えTL100試合出場

 ラガーマンにとって、トップリーグ100試合出場は一つの勲章だ。プロ野球だと1年でクリアできる数字だが、ラグビーの場合、年間10試合ちょっとしかない。毎試合出ても8年以上かかる。ケガが多いスポーツで、その長期間、第一線でプレーすることがどれだけ大変なことか。

 9月29日の宗像サニックス戦で、リーグ75人目の「100試合」を達成した神戸製鋼CTB・WTB今村雄太(33)の12年の社会人生活も、故障なしには語れない。札幌市での節目の試合は、途中出場して途中交代。ゲーム後、足を引きずりながら妻・朱織さん(31)から祝福の花束を手渡された。

 「100という数字は意識してませんでした。昨季の途中、ファンの方から“もう少しで到達するよ”と教えてもらって知りました。そこからケガをして1年間試合に出られませんでした。それを考えると、やっとという感じがします」

 晴れの日から数日後、眉を動かさずに喜びを口にした“野武士ラガーマン”は、この1年、競技人生で最も苦しい時間を過ごした。昨年9月のNEC戦で右膝内側じん帯を断裂。手術、リハビリを経て復帰したのは今年7月だった。その後、日本代表39キャップは、故障前とのギャップに苦しむことになる。

 「今までもケガが多かったんですけど、こたえたのは今回です。スピードが求められるポジションで、ケガをする前のパフォーマンスになかなか戻らなかった。思い通りに動けない、走れない。休んだ期間が長いこともあったのでしょう。感覚が戻らないことにストレスを感じて、しんどかったですね」

 これまでエリート街道を歩んできた。早大では全国大学選手権に2度優勝。07年と11年のW杯にも出場した。神戸製鋼でも1年目から欠かせぬ戦力。この5年でヘッドコーチが4回代わったが、どの外国人指揮官も、タックルを受けても簡単には止まらない強くて速いランナーを頼った。口数は多くなく、背中で示すタイプ。その無骨さを、故平尾誠二さんもかわいがった。

 ラグビーを始めた四日市農芸高(三重)から「ウエートが好きで」とジムワークに励んできた。彫刻のような肉体を持ち、チームのマッチョ選手権で優勝したことがある。趣味のゴルフは1Wで300ヤード近く飛ばすパワーヒッター。かつて50メートル5秒8を誇った足と、鋼のボディーが、外国人選手にも当たり負けしない理由だ。

 アスリートの曲がり角を30歳とするなら、33歳になった今村も度重なる故障を通じてそれを感じている。練習前と後の入念なケアは、若い頃は無頓着だった項目だ。体の衰えと戦う一方で、年齢を重ねて見えて来たこともある。特に、今回の故障を乗り越えてつかんだものもある。

 「相手の動きを見るようになりました。前まで1歩の強いステップで抜いていたのを、逆の足で(フェイントのように)1クッション置いてからステップを切ったり。トレーナーが、それができるような練習メニューを組んでくれました。ケガをする前は、考えなかった抜き方です」

 今季、チームは好調だ。4節を終えてレッドカンファレンス首位。03年以来のVへ、運が高まる。名門復活には、痛めた足が気がかりだが、パワフルなベテラン抜きの陣容は考えられない。

 「僕は器用な選手じゃない。試合の中で全力を出し切ることが大事だと思っている。そこだけはずっと大事にしてきました」

 言葉を飾ることなく、100試合達成の源になったラグビー哲学を口にした仕事人。これからも全力で走り続ける。(倉世古 洋平)


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