村田諒太が踏み出す次の一歩 「誰か」ではなく「自分」のための現役続行

村田諒太が踏み出す次の一歩 「誰か」ではなく「自分」のための現役続行

 ボクシングの前WBA世界ミドル級王者・村田諒太(32=帝拳)が現役続行を表明した。10月20日に米ラスベガスで行われた2度目の防衛戦でロブ・ブラント(米国)に敗れ、王座陥落。それから44日後、会見した村田は一度は引退を決意しながら翻意した経緯などを説明する中で多くの言葉を発した。会見後には囲み取材もあり、その中で特に印象に残ったセリフがある。

 「結局は他人を満足させたって他人はいつか忘れるじゃないですか。でも、自分への感情って永遠に続くんです。だから最後はやっぱり、自己中心的とまではいかなくても、自分への満足というのを追い求めていく。それがプロとして、いいか悪いかは分からないですけど。最後は自分がしっかり満足できるように、そこは大事にしたいですね」

 12年ロンドン五輪の金メダリスト。プロ入り後もまさに“王道”を歩み、アマとプロの両方で世界の頂点に立った。もちろん、村田自身が努力を積み重ねてきた結果だが、その陰には帝拳の本田明彦会長をはじめとするスタッフ、多くのスポンサー、そして家族のサポートもあった。だからこそ、敗戦直後に「98%ぐらい」辞めるつもりだったにも関わらず、「自分一人で決められることではない」と進退を保留したのだろう。最終的に、サポートしてくれた人たちへの感謝の思いを持ちつつ「誰かのため」ではなく「自分のため」に続行を決断したことは、本当に良かったなと感じている。

 「トライ&エラー」…村田がブラント戦を前にした練習で何度か口にした言葉だ。世界戦での敗戦はあまりにも代償が大き過ぎて、単なるエラーと位置付けるのは難しいだろうが、敗戦から学ぶこともある。現役を続けていけば、将来的に単なるエラーだったと思える日が来るかもしれない。村田は17年5月の世界初挑戦でアッサン・エンダム(フランス)に敗れたが、“疑惑の判定”によるもので、今回の敗戦が実質的なプロ初黒星。「負けて思ったのは、納得して負けることなんかない」だったという。練習して課題を克服していけば再びベルトを獲れるのか?それほど甘い世界ではないことは知っているが、村田の次の一歩に期待したい。

 王座から陥落した村田は、アリスの1978年の名曲「チャンピオン」を聴いたという。「いい歌だとは思いましたけど…分からなかったですね。まだやろうって思っている僕が聴くのは早かったみたいです」。そんな村田には竹原ピストルの「カウント10」をオススメしたい。そういえば、前WBO世界フライ級王者の木村翔(青木)は竹原ピストルのファンで入場曲に竹原の「Forever Young」を使用していた。村田とは対照的な“雑草王者”だが、こちらも近いうちに再起を表明してくれると信じている。 (大内 辰祐)


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