◇ア・リーグ  エンゼルス7ー4インディアンス(2021年5月17日 アナハイム)

 エンゼルスの大谷翔平投手(26)は17日(日本時間18日)、インディアンス戦で2試合連発となる13号3ラン。肩の高さの完全なボール球を、豪快なスイングで右翼席中段に運んだ。このメジャー通算60本塁打となる衝撃弾で、ついに本塁打数で日本選手初の両リーグ単独トップに浮上。人気野球漫画「ドカベン」の岩鬼正美をほうふつさせる「悪球打ち」で、再び全米を驚かせた。

 グワァラゴワガキーン、という漫画「ドカベン」で使われる打球音が響き渡るかのようだった。左腕ヘンジスが投じた94マイル(約151キロ)直球は地上約1.28メートル。大谷にとっては肩の高さだ。完全なボール球を右翼席中段までかっ飛ばした。スマートないでたちは岩鬼とは対照的だが、豪快な悪球打ちを披露した。

 「期待して使ってもらっている。一試合一試合、期待に応えられるように頑張りたい」

 前日の9回2死からの逆転弾に続く2試合連発の13号。3―1の2回1死一、三塁から貴重な3ランで勝利に貢献した。この一発でヤンキースのジャッジやブレーブスのアクーニャらメジャーを代表する強打者を抑え開幕直後をのぞけば日本選手初の両リーグ単独トップに浮上。ここ4試合で3本塁打を量産し、シーズンは52本ペースだ。32打点もリーグトップに2点差。もはや打線に不可欠な存在だ。

 3日のレイズ戦では打球角度34度で滞空時間の長い9号2ラン。まるで坂田三吉の「通天閣打法」だった。14日にフェンウェイ・パークで行われたレッドソックス戦での11号は外角低めカーブに体勢を崩され、最後は抜群の身体能力を誇る殿馬一人の秘打のように右手一本でフェンウェイ・パークの名物である左翼フェンスで高さ11.3メートルのグリーンモンスターを越えた。漫画で描かれるような打撃で一発を量産する。

 ジョー・マドン監督は「もしかするとあの高さの直球を狙っていたのかもしれない」と語った。1ボールから2球連続で投じられたスライダーは空振りとファウル。変化球が続く選択肢もある中で1ボール2ストライクからまるで狙い打ったように直球に反応した。二刀流プレーヤーとして、投手心理も持ち合わせる大谷。打球速度105.9マイル(約170キロ)、角度27度、飛距離431フィート(約131メートル)の一発は、データが残る08年以降のエ軍では最も高いボールを運んだ本塁打だった。

 投手では19日(日本時間20日)のインディアンス戦に先発する大谷は「楽しみ。まず明日もあるし、連勝できるよう頑張りたい」と目を輝かせる。8回の打席中にはスタンドのファンから「MVPコール」が巻き起こった。世界最高峰の舞台で漫画のような活躍。全米が魅了されている。(笹田幸嗣通信員)