◇イースタン・リーグ 日本ハム7ー3オイシックス(2024年4月19日 鎌ケ谷)

 日本ハムの育成選手・孫易磊(スン・イーレイ)投手(19)が19日、イースタン・リーグのオイシックス戦にプロ初先発し、初回に対戦した陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)を152キロ直球で一ゴロに打ち取った。U―18台湾代表のエースで、昨オフには日米の複数球団で争奪戦となった逸材。異国でのデビューは、母国・台湾の大先輩との勝負を制すなど1回無安打無失点1四球と上々の内容となった。

 ベビーフェースの19歳とは思えない剛速球がうなった。記念すべきプロ第1球。初回、先頭で故郷・台湾の英雄を打席に迎えると、孫易磊は「一番自信があるのは真っすぐ。打たれてもいいので全部真っすぐでいこう」と右腕を振り抜いた。

 陽岱鋼が止めたバットに当たり、ファウルとなった初球は、スコアボードに152キロが表示された。その後も真っ向勝負。2ボール2ストライクからの5球目も、この日最速タイとなる152キロを計測し、一ゴロに打ち取った。

 元阪神の高山に四球を与えたが、デビュー戦は1イニングを無安打無失点。「もっとコントロールできたと思う」と振り返るが、三振も1つ奪った。かつて日本ハムでプレーした大先輩とのガチンコ勝負でプロの第一歩を踏み出し、「小さい頃から野球をやっていて、対戦する機会があるとは想像もできなかった」と不思議な縁も感じた。

 試合後には、陽岱鋼にあいさつへ向かい、「先は長いのでケガしないようにして、たくさん勉強することもあるので、一歩ずつしっかりとやっていこう」と声をかけられた。そんなアドバイスに、「貴重な経験になった」と表情も緩んだ。

 昨オフ、日米で争奪戦が起こった台湾の逸材だ。日本を選択した理由について、最速156キロ腕は「(元中日の)チェン・ウェインさんが日本を経由して米国で活躍したのを見た」と打ち明ける。潜在能力は世界レベル。GM時代から台湾まで追いかけてチェックしてきた稲葉監督は「間隔を空けながら球数を増やしていきたい」とじっくりと育成していく方針だ。