◇セ・リーグ 広島0−5DeNA(2024年5月5日 マツダ)

 広島は5日のDeNA戦で今季6度目の零敗を喫した。引き分けを含めて開幕から28試合で9度目の無得点。特に日曜日の本拠地では開幕から3試合全て無得点の“悲惨デー”だ。9試合ぶり先発の田村俊介外野手(20)、今季初先発の羽月隆太郎内野手(24)ら左打者8人を並べた新井貴浩監督(47)の苦心の策は不発に終わり、一日で単独最下位に逆戻りした。

 何とも歯がゆい。好機はあっても得点できない。鯉が“のぼる”はずの「こどもの日」に6度目の零敗。マツダスタジアムをコイ党のため息が包み新井監督は唇をかんだ。

 「(大貫は)制球が良かった。低めに制球されていたし、いいピッチングをされた。今日も満員のお客さんに来ていただいたけど点を取って盛り上げられなかったのは悔しい」

 個々の状態を見極めた上で投手の九里を除き、1〜8番まで左打者を並べた。「うちは左打者にいい打者が多いから、休養させる選手など、その兼ね合いで結果的に左になっているだけ」と説明。坂倉が打率1割台に沈むなど好調な打者は少なく、投手を含めて打順4番以下に打率2割未満が5人も並ぶ苦肉の策だった。

 初回は秋山の右前打から2死満塁。田村が一ゴロに倒れて先制機を逃した。一転、2〜6回までは一人も走者を出せずに沈黙。0―5の7回は坂倉の右前打と田中の四球で無死一、二塁まで攻めながら、田村が遊飛、羽月が一ゴロ、前日決勝弾の代打・松山も中飛に倒れた。8回2死一、二塁では坂倉が一ゴロ。最後まで本塁が遠かった。

 特に9試合ぶりに先発した田村の状態が気がかりだ。2度の得点圏を含む4打席凡退で16打席連続無安打へ伸びた。3月に侍ジャパンの強化試合に選出され、飛躍を期待された高卒3年目。壁に直面する現状を踏まえ、新井監督は「自分のスイングがなかなかできていないというのがある。打てても、打てなくても、勉強なので、次につなげていってもらいたい」と背中を押した。

 無得点試合は開幕28試合で9度目。うち7度を本拠地マツダスタジアムで数えた。新たな打開策はあるのか。2軍からのテコ入れについては「“誰か推薦できる選手はいますか?”とファームとは常に連携を取っている」と話すにとどめた。12球団最少タイの11本塁打。長打力を頼みにできず、つながりを欠いては得点力は上がらない。攻撃陣の奮起が待たれる。(長谷川 凡記)

 《今季9度目の無得点試合》広島は今季6度目の零敗。スコアレスドローの3度を加えた無得点試合は9度を数え、開幕28試合時点の回数では、球団ワーストのシーズン27度(27敗)を記録した56年に並ぶ最速ペース。特に本拠のマツダで7度目の無得点は、過去3年間続いたシーズン6度を早くも更新。09年の開場以降で最多だった11年のシーズン10度まで早くもあと3になった。