プロ野球開幕から50日。ロッテは19日の日本ハム戦が40試合目となる。ここまで18勝18敗3分けの3位。吉井監督1年目の昨季と比べてやや苦戦している状況だ。DeNAからソトを獲得した今季は内野をシャッフル。中村奨を三塁、藤岡を二塁にコンバートさせた。ソトのDH起用時の一塁と三塁は中村奨、安田、ルーキーの上田で競わせ、遊撃は茶谷と2年目の友杉の併用…というのが当初の構想だった。

 実際には安田が開幕直後に故障離脱したため、三塁は中村奨でほぼ固定され、安田の復帰後、上田は2軍で経験を積むことになった。遊撃に目を向けると、友杉が一時、打率リーグトップに立つなど打撃好調で出場回数を増やしているが、ここにきて二塁・藤岡のバックアップ要員的な立場だった小川が存在感を増している。

 内外野どこでも守れるユーティリティープレーヤーは俊足、堅守が持ち味で、守備固めや代走としての起用が多かったが、4月27日の楽天戦以降は5試合で遊撃手としてスタメンに名を連ねている。昨年までと大きく変化したのは打撃面だ。「他の人と同じことをしていては試合には出られないので。粘りを自分の持ち味できれば」。春季キャンプから重心を後ろに残し、ボールを呼び込む打撃に取り組み、その成果で2ストライクと追い込まれてからもファウルで粘れるようになった。

 バットを短く持ち、ほぼノーステップでミート中心の打撃スタイルを確立。ここまで(17日まで)29試合に出場して49打数11安打、打率・224と、まだまだ満足できる数字ではないが、5月1日のオリックス戦(ほっと神戸)ではプロ4年目で初の猛打賞、18日の日本ハム戦(ZOZOマリン)でも6回に同点打と活躍。その姿はファンにも強い印象を残しており、SNS上には投げさせた球数とファウル数を数える「小川龍成カウンター」なるものも出現している。

 とは言え、小川が目指しているのは球数を投げさせることではない。より多くのヒットを打つために“秘密兵器”も導入した。それが以前よりも30グラムほど重い900グラムのバットだ。1メートル71、72キロの小川の課題はパワー。「物理的にバットが重い方がボールは飛ぶ。スイングスピードは多少遅くなるかもしれないけど、重さのあるバットを落とす感じでボールにぶつけるイメージ。(打撃コーチの)村田さんと話して決めました」と説明する。求めているのは長打になる飛距離ではなく、多少詰まっても内野の頭を越える打球だ。

 好投手を攻略するには簡単にはアウトにならない粘り強さ、しぶとさも必要。相手から嫌がられる選手になるために、小川はバットを振り続けている。 (ロッテ担当・大内 辰祐)