アマチュア野球の有力選手をリサーチする「スポニチ調査ファイル」。第7回は、今秋ドラフト候補に挙がる大院大高(大阪)の今坂幸暉(ともき)内野手(3年)に迫る。甲子園出場1度の私立校から「大阪No・1」と評される遊撃手が出現。今春の大阪大会では大阪桐蔭、履正社を破って初優勝を果たし、注目度急上昇中の逸材を直撃した。

 大阪桐蔭でも履正社でもない大阪の私学に、夏の主役候補が現れた。強打の左打ち遊撃手である大院大高・今坂だ。今春の大阪大会で打率・500(26打数13安打)、11打点と打ちまくり、NPBの編成幹部クラスが毎試合のように視察に駆けつけた。加えて、アピールに成功した打力だけでなく、「走攻守のどれも欠けていないところが長所です」と俊足強肩でも魅了する。

 攻守で見せる躍動感ある動きは、抜群の運動神経に支えられている。例えば体育の授業でバスケットボールをすれば、バスケ部員と互角に渡り合う。「中学まで足の速さで負けたことはなかった。スポーツは何でも得意です」。その天才ぶりの象徴が「両投げ」だ。

 登録上は右投げながら左右どちらでも投げられる。今でも左でキャッチボールをすることがあり、遠投は左投げで驚異の85メートルをマークする。「左だから投げづらいという感覚が分からない」と常人に到底理解できない才能は、走攻守三拍子そろう土台となっている。

 山口県出身で、中学時代には甲子園常連校を含む20校以上から勧誘を受けた。そして「(大阪桐蔭などに)挑戦したい気持ちが強かった」と強豪そろう大阪への進学に心引かれ、練習設備の充実する同校に進んだ。入学を知ったコーチは涙を流して喜んだという。それほど実力は中学時代から抜きんでていた。

 高校でも順調に伸び続け、今秋のドラフト候補に挙がる。「夏に結果を残して世代No・1の遊撃手と言われたい」。類いまれなる運動神経を生かし、世代屈指の遊撃手にまで評価を上げる可能性もある。

 (河合 洋介)