◇ FORZA!MILANO(3)

 気負いは一切ない。ジャスティンミラノの世話役を務める山田正和助手は皐月賞が自身にとって待望のG1初勝利だった。「これまで(G1)2着はありましたが、初めてのG1勝利でした。(藤岡)康太が背中を押してくれました」と落馬事故で先月10日に亡くなった藤岡康太さんを思った。

 競馬にひかれたのは高校生の頃。友人がきっかけだった。「馬の仕事に就きたいと思い、日本獣医畜産大学を受験。調教師を目指していました」。卒業後はノーザンファーム空港牧場で経験を積み、JRA競馬学校を卒業。栗東・坂田正行厩舎で研さんを積んだ。03年2月の厩舎解散に伴い、開業して間もない友道厩舎へ移った。13年目黒記念のムスカテールで重賞初勝利。20年レッドアネモスでクイーンSを勝った。

 印象に残っているのは同時期に手がけたエタリオウ、9歳まで現役を続けたユーキャンスマイルだ。18年菊花賞にそろって出走。「エタリオウ(2着)を見ていたらユーキャン(3着)が凄い脚で追い込んできた。あの2頭を担当させてもらった経験が今に生きています。重賞や未勝利とレースの格に囚(とら)われず、常にレースに向けて平常心を保つことができるようになりました」と口にする。

 大一番が近づいてきた。「(昨年秋は)乗った感触はいい馬でしたけど、トモ(後肢)が緩かった。新馬、共同通信杯の時より一段、二段とパワーアップしています。操縦性の良さが一番の武器。距離は延びても良さそうなので無敗での2冠制覇を期待しています」と力強く結んだ。 

 ◇山田 正和(やまだ・まさかず)1977年(昭52)3月6日生まれ、富山県富山市出身の47歳。日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)を卒業後、ノーザンファーム空港牧場で約2年ほど従事。03年2月に栗東・坂田正行厩舎解散後、友道厩舎のスタッフに加わる。