◇パ・リーグ 日本ハム5―4オリックス(2024年5月21日 エスコンF)

 師を超えた――。日本ハム・中島卓也内野手(33)が21日、オリックス戦に「1番・二塁」で先発し、3回に二盗をマークした。これで同郷・福岡の先輩で師と仰ぐ球団OBの田中賢介氏(現スペシャルアドバイザー)を超えるプロ通算204盗塁をマークした。打っても2安打1打点と、プロ16年目のベテランがチームの連敗を止めた。

  204盗塁。記録ではないが、中島にとっては“メモリアル”な数字だった。22年オフの契約更改の場で、目標に掲げて2シーズン目。「偉大すぎる尊敬する先輩」と仰ぐ、球団OBの田中氏を抜く203盗塁を超えたのは、3点ビハインドで迎えた3回だった。

 「なんとか得点圏に進んでプレッシャーを与えたかった。それが僕の仕事なので」

 1死三塁から左前適時打を放ち、続く松本剛の打席だった。1ストライクからの2球目に果敢にスタートを切ると、相手捕手・森の送球がそれるほど完璧な二盗を決めた。中前打で出塁した初回こそ、際どいタイミングで失敗も「まだ序盤だったので動かしたかった」と、臆することなく果敢に走った。

 中島にとって忘れられないのが16年。田中氏に1盗塁差をつける23盗塁でシーズンを終えたが「シーズン中に賢介さんから“お前、俺に負けるなよ。抜くぞ!”と連絡が来て、やべーと思った」と振り返る。9学年も離れたベテランからハッパをかけられ「若い俺が走らないといけないと思った」と振り返る。

 15年にベストナイン&盗塁王をマーク。チーム内で定位置を確保していたが、年齢を重ねても走るベテランの姿があったからこそ、ここまで走り続けることができた。今季は少ない出場機会ながら既にチーム3位タイの4盗塁。今や、若手にハッパをかける立場となった中島は言う。

 「どんどん超えていければ」。プロ16年目の33歳が、若手に背中で伝えていく。(清藤 駿太)