◇ナ・リーグ  ドジャース6−4ダイヤモンドバックス (2024年5月20日 ロサンゼルス)

 尊敬する大先輩の道を歩む。ドジャースの山本由伸投手(25)が20日(日本時間21日)、ダイヤモンドバックス戦に先発し、6回1/3を7安打2失点で自身5連勝となる5勝目を挙げた。メジャー自己最多となる100球を投げ、今季初めて5球種の投球割合が10%を超える多彩さを発揮。19日に日米通算200勝を達成したパドレスのダルビッシュ有投手(37)を目標に掲げ、躍進は続く。

 7回1死から2点目を失い、球数が渡米後初めて100球に達した。交代を告げられた山本は地元ファンからスタンディングオベーションで迎えられ「凄くうれしかった」と白い歯をのぞかせた。

 

 1日に6回無失点に封じた相手打線を、多彩な変化球で再び翻弄(ほんろう)した。軸はこの日最速96・8マイル(約156キロ)の直球だが、スプリット、カーブ、スライダー、ツーシームの計5球種を、今季初めて全て10球以上投げた。いずれも全投球の10%以上の割合に達し、デーブ・ロバーツ監督も「多彩な攻めをできる投球術が彼の強み。全球種交えられる」とうなった。

 

 ダ軍と前回対戦時に23%を占めたカーブを12%に減らし、代わりにスライダーを3%から10%に増やして目先を変えた。「相手打者のことを前回より意識して投げられた」。4〜6回は二塁を踏ませず「後半になるにつれて良い球が増えていった」。カブス・今永に続く自身5連勝で、今季5勝は今永に並びリーグ6位。チームの4連勝に貢献した。

 剛速球投手でありながら、豊富な球種で打者を牛耳る。その姿はダルビッシュに重なった。「本当に心から尊敬している。野球の面はもちろん、人としても尊敬している」。昨年3月のWBCでチームメートだった大先輩の快挙は映像で確認。祝福の連絡も送った。

 ダルビッシュからはWBC期間中、調整法としてチーム全体よりも早めに球場入りするか考えるように助言を受け、投球術では高めの直球の使い方を教わった。「とにかく思いやりがある。表面的な優しさではない。本当に優しいんだなと会うたびに実感する」。同地区のライバルとなった今も、試合前には必ずあいさつに向かう。

 オリックスで70勝を挙げ、これで日米通算75勝目。「僕も一年一年積み重ねて、ダルビッシュさんのようになれるように頑張っていきたい」。心からの言葉だ。まだ25歳。若き日本のエースは、尊敬する大先輩の後を追う。(奥田 秀樹通信員)