■ 柔道男子60キロ級でパリ五輪代表の永山竜樹(SBC湘南美容クリニック)が22日、五輪前最後の実戦となった世界選手権(アラブ首長国連邦・アブダビ)を終えて成田空港に帰国。初の世界一からパリへ勢いを付けるつもりが、まさかの初戦(2回戦)敗退に終わり、「日本代表として金メダルを持ち帰られずに申し訳ない。楽に勝とうと思って、技が単発になったのが敗因」と神妙な表情で話した。

 永山は初戦でロシア出身の中立選手と対戦。昨年12月のグランドスラム(GS)東京大会の準決勝でも対戦し、「強いと感じた。投げられるかと思った」と覚悟したほどの相手だったが、この時は勝利。だが5カ月ぶりの実戦で再び対戦すると、堅いディフェンスの前にポイントを奪えず、徐々にスタミナを浪費。延長1分54秒、「ここでいったらすかされると思っていたが、正直きつくて、入ってしまった」という内股をすかされ、黒星を喫した。

 五輪2カ月前の今大会は、日本の他の五輪代表選手は出場を回避。過去3度の出場で2度の3位が最高成績の永山は、世界王者になって自信を付けたいとの思いから、あえて出場を決めたが、まさかの初戦敗退に終わった。他国は五輪代表が決まっていない国も多く、「気合が入っていた。自分は負けても五輪があるという甘い気持ちだった」と反省。猛烈な勢いで東京五輪金メダルの高藤直寿を追い上げ、GS東京大会の優勝で初の五輪代表を決めただけに、「(代表内定後は)気が緩んでいた」と話した。

 本番までは泣いても笑っても、あと2カ月。男子日本代表の鈴木桂治監督とは「この後は全てをかける。いろんなものを犠牲にしていこうと話した」という永山は、「いい負けとは言いたくないが、五輪に向けて気が引き締まった。気合を入れてやっていく」と不退転の覚悟を示した。