◇春季高校野球宮城県大会準々決勝 仙台育英3―1東陵(2024年5月22日 仙台市民)

 仙台育英の「朗希2世」が東北の新怪物候補に名乗りを挙げた。

 春季県大会の東陵との準々決勝に5回途中から救援した最速150キロ右腕・山口廉王(れお・3年)は4回1/3を2安打無失点で5三振。9回は最後の打者をこの試合最速の148キロ直球で空振り三振を奪うなど3者連続三振。昨秋の県大会準々決勝で敗れた相手にリベンジし「本当に長い8カ月だった。最高の気分」と涙を流した。

 1メートル93、95キロの巨漢。胸の「IKUEI」が隠れるほど左足を高く上げるフォームはロッテ・佐々木朗をほうふつ。従来はコンパクトなフォームだったが、昨春に「大きい体に対して小さいフォームだと見られ方も良くない。体を大きく使おう」とフォーム改造に着手。「ピッチングだったり、試合を重ねていくうちにたどり着いた」と高く足を上げる豪快な投球フォームが完成した。

 巨人、阪神など4球団のスカウトが視察し、広島・近藤芳久スカウトは「初めて見ましたが、直球に力がありますね」と評した。須江航監督は「変化球でも(腕の振りが)緩まない。大型にも関わらず、カーブ、スライダー、フォークが腕の振りで“変化球だな”と感じさせないので、それが素材としての良さ、そこが真の評価だと思います。今年の高校生を代表するようなところに(評価が)上がると思います」と語った。

 22年夏に東北勢初の甲子園優勝を果たした名門から新たな怪物が誕生しようとしている。(柳内 遼平)

 ◇山口 廉王(やまぐち・れお)2006年(平18)5月14日生まれ、東京都大田区出身の17歳。田柄第二小1年から田柄ボーイズで野球を始め、高崎中では宮城北部リトルシニアに所属。仙台育英では2年秋からベンチ入り。50メートル走6秒4、遠投100メートル。高校通算1本塁打。趣味は釣り。好きな言葉は「当たり前のことを当たり前に」。1メートル93、95キロ。右投げ右打ち。