◇欧州選手権1次リーグE組 ウクライナ0―3ルーマニア(2024年6月17日 ドイツ・ミュンヘン)

 戦禍を乗り越えて4大会連続出場を果たしたウクライナはルーマニアとの1次リーグ開幕戦に0―3で敗れ、黒星発進となった。

 前半29分にGKルニン(Rマドリード)のキックミスから相手MFスタンチウ(ダマク)に先制点を奪われ、後半8分にもカウンターから失点。4分後にはショートCKから相手選手にゴールエリア近くまで持ち込まれ、最後はFWドラグシュ(ガズィアンテプ)にゴールを許した。

 ウクライナは1トップに今季スペイン1部で得点王に輝いたFWドフビク(ジローナ)を配し、左ウイングにムドリク(チェルシー)、右ウイングにツィガンコフ(ジローナ)と期待値が高い手駒をそろえてボール保持率66―34%で相手を上回った。しかし、堅守から少ない手数で速攻に出るルーマニアに手を焼いて苦戦。チャンスを生かせないまま3失点で零敗した。

 ロシアによる侵攻を受けて国内リーグは無観客開催。空襲警報で試合が中断され、選手が防空壕(ごう)に避難を強いられることもある。キャプテンマークを巻いて先発したMFステパネンコは国内リーグの強豪シャフタル・ドネツクに所属。昨年12月に東京・国立競技場でルヴァン杯王者・福岡と慈善試合を行うために来日した際には「戦争が終わるまで世界中でメッセージを発信し続ける。全力のプレーを見せることが現状打破につながる」と訴えていた。

 レブロフ監督は開幕戦を控え「全ての選手はウクライナの自由のために前線で戦っている兵士からメッセージを受け取っている。兵士たちは我々を誇りに思い、我々も彼らを誇りに思う。彼らには大会で“ウクライナのスピリットを見せてほしい”と言われている」と話していた。この日は白星を届けることはできなかったが、1次リーグは残り2試合。21日はスロバキア、26日はベルギーとの対戦を控え、国民の期待を背負ったイレブンの“戦い”は続く。