◇サッカー五輪代表選手発表

 U―23世代の海外移籍も急増する中、OAの選出も含め、今回が最も困難を極めたメンバー選考だったことは間違いない。

 五輪はIW外で、拘束力がない海外組の招集には各クラブとの交渉が必須。日本史上初の3大会連続出場が確実視された遠藤はリバプールが派遣を拒否し、U―23世代のMF鈴木唯もブレンビーとの交渉が不発に終わった。

 加えて五輪は新シーズンに向けた移籍期間と重なり、移籍の可能性がある選手との交渉は“二重苦”に直面する。日本協会の山本NDはOAに関して「現場からの希望は当然、ありました」と明かした上で、2日が国際サッカー連盟(FIFA)への最終登録メンバー提出期限だったことで「選手の移籍先が決まらなければ、交渉すらできない状況」と説明した。今回はOAの有力候補とされた谷口、板倉、町田、田中が、U―23世代では鈴木彩、松木がいずれもその理由で選外となった。

 A代表が9月に開幕する26年W杯アジア最終予選を控えていることも無視できない。五輪に出場すれば、各チームへの合流が遅れ、ライバルに後れを取ることは不可避。選手にとってはA代表の座を失うリスクも増える。多くの選手が海を渡ったことで日本のレベルは飛躍的に向上したが、五輪は今後も招集問題が大きなテーマとなる可能性は高い。(垣内 一之)