ロッテ井口新監督が高らかに宣言!「常に優勝できるチームをつくる」

ロッテ・井口資仁監督インタビュー(後編)

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現役時代、日米で頂点に立ったことのあるロッテ新監督の井口資仁

 千葉ロッテマリーンズ・井口資仁新監督の原点は、福岡ダイエーホークス時代にある。

「ホークス時代は、城島(健司)とずっと張り合っていましたし、他にも松中(信彦)さん、小久保(裕紀)さんがいました。盗塁だったら川?(宗則)、村松(有人)さんと数字を争っていました」

 この経験が物語るように、井口が描くロッテ改革論として真っ先にあげたのが、「チーム内競争」だった。

「他の球団ではなく、チーム内で勝ち残れるかが重要。低いレベルではなく、高いレベルで競争するチームになってほしい」

 選手として日本一を3度、世界一を2度経験し、「優勝請負人」と形容されてきた男の言葉はずしりとした重みが伴っていた。

 負けず嫌いな男たちの「チーム内競争」は、秋季キャンプでさっそく実現した。例年は30人前後で行なう秋季キャンプで、51人の選手を招集した今年は明らかに異例だ。「一軍と二軍の枠を撤廃」したことにより、選手は同じスタートラインに立った。これまでの実績にすがりつく人間はいらないという井口のメッセージが伝わってくる。

 春のキャンプではさらなる秘策がある。

「今まで宿舎を分けていたのも全部一緒にする。門限も撤廃。禁止することはなるべく少なくする代わりに、すべて自己責任ということです」

 個が強くならなければ、組織は強くならない。スポーツ、ビジネス、どの世界でも共通することである。

「団体競技ではあるんですが、1人のプロ野球選手としてしっかり自立することを掲げています」

 これが球団としての方針だ。全体練習後の時間を長くとり、選手本人たちの手で練習の環境を作らせたという秋のキャンプでは、「競争の結果も自己責任」という勝負の世界にいることをさらに色濃く突きつけられた。

「他の選手より一歩でも前へ」という意識が、最下位に沈んだ今の新生マリーンズにつける希望のクスリなのかもしれない。

「マリーンズを改革するなら、まずは練習内容を濃くします」との言葉通り、秋のキャンプでは、以前は朝の10時からお昼までだった練習を、9時から14時まで、ぶっ通しで行なった。

「バッティング練習中に横で休んでいるグループっているじゃないですか。あれもなくして、常に身体を動かしている状態。これまでと同じ時間をフルに使っているので、選手は『濃い練習ができた』と言っていました」

 ここに井口の野球人生が垣間見える。

「日本は球場の数も少ないし、メジャーと比べて練習の環境がよくないんですよ。だからこそ一軍と二軍の枠を撤廃することによって、効率のよさを取り入れていきたいんです。一軍はこの練習、二軍はこの練習ではなく、全体が同じ練習をすることで球場をフルに活用できます」

 日本とメジャーにある練習環境の差から目をそらさず、いかにして乗り越えていくか、井口の出した答えは効率だった。さらに、誰ひとりとして秋のキャンプで脱落しなかったのは、収穫だった。

「秋は効率よく、そして内容濃く練習できたので、春もできる。選手たちがしっかりと育って自立してくれれば、メジャー式に練習のやり方は任せます」

 とは言いつつも、チームとしてまだそのレベルに達していない。

「進んで練習しない選手はけっこういます(笑)。最初に放っておくと、選手が好き勝手やり始め、チームが壊れてしまいます。今のホークスであればメジャー式でいいと思いますけど……」

 井口の結論は至ってシンプルである。

「誰にでもチャンスはある。しかし、結果を出さなければ生き残れない」

 彼が生きてきた勝負の世界が雄弁に物語っている。そんな井口が掲げる理想的な野球は、「攻撃的な走塁」だ。

「ガンガン打っていくスタイルが理想ですけど、(ZOZO)マリンスタジアムはホームランが出にくい。現実はうまくいかないので、足で攻めようという話をしています。今までは走れないというわけではなく、チームとして走る目標がなかった。走れる選手はかなりいるので、走塁の意識は変えていく」

 井口が現役時代に活路を見出した「足」への信頼は揺るぎないものなのだろう。

「足に不調はない。 盗塁の成功率は8割以上にできる。打つより確実に前の塁を狙えますよね。そうなると、ピッチャーの配球も変わってくる。見えないところでピッチャーにプレッシャーをかけ、投げにくくさせていきたい」

 球場を最大限に活かすことができるというのも、攻撃的な走塁を目指す理由のひとつだ。

「(ZOZO)マリンスタジアムだと、右中間に打球が抜けたら一気に三塁をおとしいれることができる。最初から三塁打を狙っていくような走塁を求めている」

 そんな井口野球が描く理想に向けて、さっそく頭角を現したのは、期待の若手、平沢大河である。

「台湾でやった強化試合で、(平沢)大河が、三塁を狙った。アウトにはなったけど、積極的な走塁だった」

 1本のヒットで一塁から三塁までいくというひとつのプレーに目を光らせる新指揮官の期待に応えた。

「オープン戦までは自分でどこまでいけるか、試してほしい」

 春のキャンプからはルーキーたちも加入してくる。ドラフト1位で入団した安田尚憲(やすだ・ひさのり)選手の印象を聞くと、「僕の中では、松井秀喜とダブるんです」と絶賛した。選手本人にとっては飛び上がるほど嬉しい言葉だろう。

「彼は適応力があるので、どこまでの選手になるのか、キャンプでどこまでプロのレベルについてこれるのか、非常に楽しみです」

 井口があくまで「実戦」にこだわる理由がここにある。

「安田はオープン戦の最後まで、一軍に帯同させて、しっかりと競争させます。(鈴木)大地とサードでポジションがかぶるんですけど、良ければ、他のポジションでの起用も考えることができる。そのためにも、とにかく実戦経験を積ませたいんです」

 秋季キャンプでは異例の紅白戦を行なったのも記憶に新しいだろう。

「例年のキャンプ以上に紅白戦や練習試合を積み重ねることで、いろんな選手が出場できますよね。これが競争の場です。(平沢)大河も含めて、安田くんは、これからを背負って立つ選手だと思うので、鳥越(祐介)ヘッド(一軍ヘッド兼内野守備走塁コーチ)に『彼らをお願いします』と言ってあります」

 選手時代から井口と付き合いのあるコーチ陣には絶大な信頼を置く。

「ピッチャーのことに関しては、ピッチングコーチに一任します。僕より数段、経験がありますし、シーズンに入ったらとやかく言いたくないので。最後に僕がサインを決めるだけです」

 定番の質問で恐縮だが、9年在籍したロッテファンへの心情を聞いた。すると、井口の口からは一枚も二枚も上手な答えが返ってきた。

「ロッテのファンだけでなく、21年間応援してもらったすべてのファンの人に、選手としてではなく監督のユニホームを着て、恩返しできるときが来ました。しっかり勝つことが一番の恩返しです。今はメディアに持ち上げられていますけど、シーズンに入ったら落とされるかもしれないですから(笑)。球団に残ってくれと言われる監督になれるよう、しっかりやっていきたいと思います」

 最後に井口は力強く言い切った。

「常に優勝できるチームをつくる。1年目の目標は優勝。最低でもCS出場」

 輝かしい経歴を持つと同時に戦力外通告を受けるなど苦しい時代も味わった。表も裏も知る野球界のスターが監督としてさっそく舵を切り始めた。今シーズンのマリーンズから目が離せない。

(おわり)

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