低迷ウルブズをNBAプレーオフに導く「まるでジャクソン5」な22歳


真っ赤な革ジャケットを着こなす22歳のカール=アンソニー・タウンズ

 12月25日のクリスマスゲームにあわせて、ミネソタ・ティンバーウルブズのカール=アンソニー・タウンズ(C)は真っ赤な革のジャケットを着て、真っ赤なシューズを履き、ロサンゼルス・レイカーズの本拠地「ステイプルズ・センター」にやってきた。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

 チームメイトたちからは、「オイ、まるでジャクソン5だな。お前が入ってジャクソン6か」とからかわれていたが、意に介す様子はなかった。

 タウンズは、どこか掴みどころがない選手だ。昔からサイズも才能も飛び抜けていて、真っ赤なジャケットに限らず、目立つことも嫌いではない。その一方で、チームの一員として裏方に回ることも嫌がることはない。いいのか悪いのか、試合中に存在が消えることも度々あるぐらいだ。

 笑顔でチームメイトとジョークを言い合い、ソフトな語り口で取材にも丁寧に応対するが、勝負の世界ではそんな性格のよさが裏目に出ることもある。ケンタッキー大時代にはヘッドコーチのジョン・カリパリから「いい奴だからといって、コートの上では何の役にも立たないぞ!」と怒鳴られたこともあった。

 もちろん、まわりに遠慮するだけの『いい奴』では、NBAで生き抜くどころか、NBAに到達することもできない。表には出さなくても負けず嫌いで、思うようにできない悔しさで眠れない夜もあるという。

 そんな彼は、フラストレーションを他人にぶつけないために、高校のころから試合中に独り言を言う癖があった。

 独り言を言い、フラストレーションをぶつける相手は想像上の分身――『カリート』。いつも肩の上にいるのだという。どうやらそうすることで、バランスをとっているようだ。

 新しいことを学ぶことが大好きで、スポーツもバスケットボールだけでなく、野球に打ち込んだ時期もあった。ゴルフも独学で学んだという。ピアノも弾ける。それだけいろいろやっていたら、勉強する時間などないと思えるが、実は高校時代から勉強も好きで、普通4年かかるところを3年間で卒業資格を取ったほどだ。

 進学先にケンタッキー大を選んだのは、バスケットボールの強豪というのに加えて、キネシオロジー(運動生理学)を学べるという理由もあった。バスケットボールでプロになれると言われるようになってからも、将来、医者になりたいという夢を持ち続けていたのだ。

 まるでスポンジのようにいろいろなことを吸収し、好奇心を刺激されると、さらに世界を広げてきた。ひとつのことを突き詰めるタイプが多いNBAにおいて少し独特な感じがするのは、そのためなのかもしれない。

 この興味の幅の広さや、好奇心の強さの源(みなもと)は両親にある。バスケットボール好きは父親譲りだ。かつてNCAAディビジョン?のモンマス大で選手だった父は、副業で高校バスケットボールのコーチもしていたので、タウンズはいつも父に連れられて練習や試合について行っていた。子どものころからバスケットボールは生活の一部だったのだ。

 ドミニカ共和国出身の母からは、明るくイージーゴーイングな性格を受け継いだ。医学に興味があるのも、看護師の母の影響だった。高校のときにドミニカ共和国代表に選ばれると、喜んでドミニカのユニフォームを着た。

「子どものころからずっとママっ子だったから、母が喜ぶこと、誇りに思うことをやりたかったんだ」とタウンズは言う。

「母の国の代表となれることは、僕にとって大きな誇りなんだ」

 大学に入る前にドミニカ共和国代表として大人のなかでプレーしたことは、タウンズに大きな影響を与えた。ひとつには、アル・ホーフォード(ボストン・セルティックス/PF)との出会い。バスケットボールの細かなスキルやプレーの仕方だけでなく、プロ選手としての姿勢も教えてくれた大事なメンターだ。

「彼からは、選手にとって身体がどれだけ大事なのか、食事がどれだけ大事なのかを教わった。試合では本能でプレーするだけでなく、戦術を理解することも重要だということを教えてもらった。おかげで大学に進んだときも、NBAに入ったときも、準備ができていた。高いレベルのプロフェッショナルとしての戦い方を理解していたので、スムーズに移行することができた」とタウンズは言う。

 次世代の選手の代表格と言われていたタウンズも22歳になり、今シーズンでNBA3シーズン目。そろそろ「若手」から「中堅」へと肩書が変わる時期だ。

 ここまで2シーズンは低迷するチームでプレーオフにも出られなかったが、昨シーズンにトム・シボドーが球団社長兼ヘッドコーチとなり、今シーズンからはオールスター選手のジミー・バトラー(SG)が加わったほか、ジェフ・ティーグ(PG)、ジャマール・クロフォード(SG)、タージ・ギブソン(PF)ら経験豊かなベテラン選手が加入。ウルブズは上位を狙えるチームになった。

 シーズンは間もなく折り返し地点を迎えるが、1月1日時点でウェスタン・カンファレンス4位の成績だ。初めてのNBAプレーオフも見えてきた。

 タウンズは言う。

「3シーズン目になって、前より賢くなってきたと思う。バスケットボールの理解が深まってきた。常に頭に置いていることがある。いつ引くべきか、あるいは引かずに進むべきかを知ることが大事だということだ。

 このリーグでプレーできることを、とても幸運だと感じている。いつ終わりが来るかわからないから、今はとにかくすべての瞬間を満喫するようにしているんだ」

 高校時代から、ずっと「将来の大器」と言われてきたタウンズ。素質を生かし、多くのことを吸収して知識をたくわえて成長を続けてきた。大きな花を開かせるときも近そうだ。

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