「日本で控えってウソだろ?」乙坂智がメキシコで大絶賛された打撃術

 近年、日本人選手の武者修行が増えたこともあり、すっかり日本の野球ファンにも浸透した中南米のウインターリーグ。そのなかでもメキシコの”リーガ・パシフィコ・デル・メヒコ(メキシカン・パシフィックリーグ)”は、2016年シーズンから多くの日本人選手を受け入れるなど、注目を集めている。


メキシコで4割を打った乙坂智はDeNAでもブレイクできるか

 ふた昔くらい前までは、各国のウインターリーグチャンピオンが雌雄を決するセリエ・デル・カリベ(カリビアンシリーズ)で、メキシコはメジャーリーガーを揃えるドミニカやベネズエラの後塵を拝することが多かった。しかし、近年は高度成長を続ける国の経済力と治安の良さから他国から好選手が多く集まるようになり、”カリブ最強”と言っても過言ではないほどのレベルを誇るようになった。

 この冬、そんなメキシコのウインターリーグにヤキス・デ・オブレゴンの一員として参戦し、打率4割を超える驚異的な成績を残したのが横浜DeNAベイスターズの乙坂智(おとさか・とも)だ。

 2017年シーズン、乙坂はクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージの阪神戦でのホームランが印象的だったが、日本シリーズでは無安打、レギュラーシーズンでも83試合の出場にとどまるなど、いまだ本格的なブレイクには至っていない。

 そうした現状を打破するためのメキシコ武者修行だったが、ここで乙坂は現地の選手や指導者も目を見張るほどの活躍を見せた。

 メキシコ第2の都市・グアダラハラ。この町にチャロス・デ・ハリスコというチームがあるのだが、そこでプレーしていたのがアガスティン・ムリーリョとジャフェット・アマダーの楽天コンビ(ムリーリョは2015年に在籍)だ。彼らは日本人選手のウインターリーグでのプレーについて、こう口を揃える。

「実際にプレーして、日本の野球のレベルは知っているからね。日本人選手がこのリーグで活躍するのは不思議でもなんでもないよ」

 とはいえ、メジャーリーガーも少なからず在籍するメキシカンリーグで、日本人選手が活躍するのは容易なことではない。

 実際、この冬のシーズン、楽天のオコエ瑠偉、ルシアノ・フェルナンドのふたりも参加していたが、オコエは早々にリリース(戦力外)を言い渡され、フェルナンドもシーズン序盤はスタメンに名を連ねたものの、2割そこそこの低打率が続き、ベンチを温めることが多くなった。

 そんな中、乙坂はシーズン途中からの参加ということもあって規定打席には届かなかったものの、打率4割を超える成績を残したことはメキシコ球界に衝撃を与えた。

「日本のチームでは、まだベンチだって!? 彼を(スタメンで)使わないなんて、何を考えているんだい」

 乙坂の日本でのポジションを知って驚きの声を上げたのは、チャロスに在籍するアメリカ人投手、ウィル・オリバー。かつてはヤンキースのプロスペクト(有望株)で、現在、夏は独立リーグ最強と言われているアトランティックリーグでシーズンを送る選手だ。そのオリバーの今冬シーズン最初のマウンドは、奇しくも乙坂のメキシコデビュー戦だった。

「いきなりやられたよ」というオリバーの言葉通り、乙坂はこの試合で3安打、3得点と大活躍。衝撃のメキシコデビューを果たした。

「とにかくボールに対するコンタクトがいいね。左右どちらの方向にも打てるしね。あの試合でもいきなりセンターオーバーの二塁打を打たれて、そのあとはレフトへシングルヒットを2本さ。大体、ここは3Aと同じレベルぐらいと言われているけど、乙坂はメジャーでだって十分プレーできるよ」

 かつてベイスターズのトライアウトを受けに来日したこともあるというオリバーは、乙坂の高い打撃技術に舌を巻いた。

 彼のセリフが決してリップサービスでないことは、ナボホア・マヨスで打撃コーチをしているペドロ・カステヤーノの言葉からもうかがえる。ちなみに、カステヤーノは1997年の1シーズンだけ巨人でプレーした経験を持つ元メジャーリーガーだ。

「日本でベンチに座っているくらいなら、私が(レギュラーシーズンに)コーチをしているユカタン・レオーネスに来てくれないかな(笑)」

 彼もまた乙坂の潜在能力を認め、冬だけでなく夏のメキシカンリーグでもプレーしてほしいと、そのバッティングセンスを絶賛していた。

 同じくマヨスの主軸打者として活躍しているキューバ人のランディ・アロサレナも、乙坂のコンタクト能力に対して「メジャー級だ」と認めていた。

 メキシコでの乙坂の評価が高い理由は、そのバットコントロールの正確さにあるようだ。メキシコは、ほかのラテンアメリカ諸国に比べて小柄な選手が多く、バッターがパワーに頼ることは比較的少ない。ピッチャーにしてもスピードボールよりも変化球と制球力で勝負する傾向があり、日本との共通点は多い。

 2015年オフに乙坂の先輩でもある筒香嘉智がパワーピッチャーの多いドミニカウインターリーグに挑戦し、そのストレートに負けないスイングを身につけ、今や日本の主砲となったのは周知の通りである。

 一方、変化球投手が多いメキシコリーグで結果を残すには、ボールを体の前まで引きつけ、力強いスイングで弾き返す必要がある。この冬、そのバッティング技術を身につけ、メキシコで結果を残した乙坂。その姿は日本の2018年シーズンでの大ブレイクを予感させるものだった。

◆山本昌はDeNAドラフト1位・東克樹を「プロで勝てる」と評価していた>>

◆DeNA乙坂智も参戦した、中南米ウインターリーグの給料っていくらなの?>>

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