森保ジャパン初陣はパレスチナに辛勝。監督がやりたいことは山ほどある

森保ジャパン初陣はパレスチナに辛勝。監督がやりたいことは山ほどある

 アジアU−23選手権が中国で開幕し、グループリーグ初戦で日本はパレスチナに1−0で勝利した。東京五輪でのメダル獲得を目指すU−21日本代表は、初めての公式戦を辛勝ながら白星で飾った。

 2年に一度開かれるアジアU−23選手権はその名の通り、23歳以下のアジア王者を決める大会である。

 ただし、日本は2年後の2020年東京五輪を見据え、U−21代表が出場している。登録メンバーの年齢構成は各国さまざまだが、全員が21歳以下(1997年以降生まれ)なのは、出場全16カ国のなかで日本だけだ。

 その意味においては、アジアの大会ではあるものの、日本にとっては実力上位の相手に挑む大会と言えるかもしれない。日本は2年前の前回大会で優勝しているが、そのときは他国同様U−23代表で出場していたことを考えると、連覇のハードルはかなり高い。まずは、グループリーグ突破が現実的な目標となるだろう。

 実際、パレスチナ戦はかなり苦しんだ。1点を先制した前半は、中盤での細かいコンビネーションや、サイドからのクロスで何度かチャンスを作れたものの、後半は相手に押し込まれる時間が長く続いた。同点に追いつかれていても不思議はなかった。チームを率いる森保一監督が語る。

「前半はボールを動かし、チャンスを作ったが、後半はリードしているなかで相手がボールアプローチを厳しく激しくし、ギアを上げてきたなかでミスが出た。後半もプレッシャーを回避してチャンスを作れればよかったが……」

 とはいえ、1月のこの時期、選手のコンディションが十分でないのは当たり前のこと。森保監督も「これまでの練習でコンディションを上げてきたが、長期のオフ明けで、(キャンプ中に一度)45分の練習試合をやったくらい。後半はフィジカル的に相手が上がり、我々は下がった」と分析する。

 当然、後半に運動量が落ちることも織り込み済みで、「もっと落ちるかと思っていた」と森保監督。だからこそ、指揮官はこう語り、選手たちを称える。

「1月2日からキャンプをして、この大会に臨んだ。決してコンディションがよかったわけではないが、厳しい戦いのなかで、私が要求するコンセプトに(沿って)ベストなトライをしてくれた。無失点で終わり、粘り強く最後まで走って勝利したことはよかった」

 もちろん、内容的に言えば、気になった点はいくつもある。

 中央から攻めるときは、ワンタッチのパスワークで強引な中央突破を試み、サイドから攻めるときは、ただシンプルにクロスを入れるだけ。工夫のない単調な攻撃では、前半こそチャンスを作れたが、次第にボールが前へ進まなくなった。

 ボールが前へ進まない。だから、中盤が引いて受けようとする。しかし、それはむしろパレスチナの圧力を呼び込む結果となり、後半の劣勢を招くことになった。DF板倉滉(川崎フロンターレ→ベガルタ仙台)がドリブルで敵陣に進入して決めたゴールにしても、チームとして狙って作り出した形というよりも、偶発的なスペースの発生によるものだろう。

 この試合で日本が採用したフォーメーションは3−4−2−1。森保監督が率いていたときのサンフレッチェ広島と同じだが、仮にJ1を3度制した当時の広島のサッカーを理想形とするなら、深さと幅を作ってダイナミックにボールが動かすという点において、比べるべくもないほどの差があった。

 しかし、今はまだ、試合内容にケチをつける段階ではないだろう。

 現在は、森保監督の目指すサッカーがいかなるものか。そして、それを実現するには何が必要なのかを、選手たちに浸透させていく段階にある。

 まずは、21歳以下の可能性のある選手を多く集め、チームの大枠を作る。そこから試合をこなすなかで選手を絞り込み、チームを固めて、最終的に東京五輪へ臨む。そんな長期間に及ぶ作業の、ごくごく初期段階に過ぎないのだ。

 昨年のU−20W杯にも出場し、”東京五輪世代”をけん引するひとりであるFW岩崎悠人(京都サンガ)は、「ボールを受ける準備のところを、(森保監督は)すごくコーチングしてくれる。そこは僕の足りない部分なので、毎日勉強になる」と言い、こう続ける。

「森保監督がやりたいことは、まだ山ほどあるんじゃないかと思う。(森保監督がやりたいことのうち、今やっているのは)ホンマに少し。これからやりたいことのベースが(ボールを受ける前の)準備という部分になると思うので、そこは大事じゃないかと思う」

 ただし、クラブチームと違い、代表チームは活動できる時間が限られる。東京五輪までの2年半ほどは、長いようで短い。それだけに今大会のように長期間活動できる機会は、目指すサッカーを一気に浸透させる絶好のチャンス。1試合目より2試合目、2試合目より3試合目と、初期段階なりにも内容的に上げていきたいところだ。

 指揮官の目指すサッカーがピッチ上で具現化されることは、今後新たに加わる選手がそのサッカーをイメージしやすくなることにつながる。その好循環を生み出すことで、浸透速度は間違いなく上がるはずである。

 しかも、日本と同じグループで戦う他の2カ国、すなわち北朝鮮とタイは技術に優れた選手がそろい、チームとしての戦い方にまとまりのある強敵だ。今のU−21日本代表が簡単に勝てる相手ではない。言い方を変えれば、非常にやりがいのある相手である。

 おそらく残る2戦は、パレスチナ戦以上に厳しい試合になるだろう。しかし、だからこそ、価値ある試合となるはずである。

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