J王者を粉砕。またもタイトル獲得のセレッソは、昨季と何が違ったか

J王者を粉砕。またもタイトル獲得のセレッソは、昨季と何が違ったか

 Jリーグのシーズン開幕を告げる富士ゼロックススーパーカップが行なわれ、昨季天皇杯王者のセレッソ大阪が、同J1王者の川崎フロンターレを3−2で下した。

 セレッソは、昨季ルヴァンカップ決勝から天皇杯決勝、そして今回と、関東のクラブを相手に、いわばアウェーである埼玉スタジアムでのタイトルマッチに3連勝。Jリーグ誕生以降、クラブとしての初タイトルを昨季ルヴァンカップで手にしたセレッソだが、みるみるうちにトロフィーコレクションを増やしている。

 これが、今季Jリーグ初の公式戦。対戦した両クラブにとって、長いシーズンは始まったばかり。たった1試合でこれから先の結果をすべて見通すことなど、もちろんできない。だが、結果だけでなく内容的に見ても、どちらがよりポジティブな印象を残したかは明らかだったのではないだろうか。

 セレッソの尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督が語る。

「(1月1日の天皇杯決勝まで戦ったため)オフの期間も(その後のキャンプの)練習の期間も長くなかったが、すべての選手が集中力を保ってやってくれた。1年を通してやるべきことを選手が示してくれた。今年どうなるかはわからないが、出発点としては悪くなかった」

 シーズン初戦とあって、選手のコンディションがまだまだ上がり切っていないのは当然のこと。互いにプレー強度はそれほど高くなかった。だが、それを差し引いたうえで、やるべきことをより着実にやっていったのは、セレッソのほうだった。

 労を惜しまずプレスバックして、相手ボールを囲い込む。相手のパスコースを制限して、狙ったボールを出足よく奪う。セレッソのそんなプレーは、試合時間の経過とともにむしろ増えていった。MF水沼宏太も「しっかり走り切れた」と試合を振り返り、「これをスタンダードにして、ここから積み上げていければいい」と話す。

 選手個人の不注意から2点を失いはしたが、チームとして組織された守備は今季も健在。パスワークを武器とする川崎に、セレッソはほとんど決定機を与えなかった。

 しかし、ここまでなら昨季のセレッソと変わらない。「選手には、去年の土台は継続し、質を高めていこうと話している」とは尹晶煥監督だが、セレッソにさらなる上積みの可能性が感じられたのは、ボールを奪ったあと、である。

「しっかりした守備からいい攻撃(につなげる)というのは、去年から続けてやっていくが、攻撃に移ったときの質を上げていかなければいけない。それができると、相手にとって嫌なチームになる」

 ボランチを務めたMF山村和也がそう話していたように、昨季のベースが「しっかりした守備」にあったのは間違いない。そして奪ったボールを、個人能力の高い選手がそろう前線へ早く送り、速攻につなげる。大まかに言えば、それが昨季の攻撃パターンだった。

 しかし、この試合のセレッソは「むしろ遅攻が多かった」(水沼)。サイドで3、4人が絡んでショートパスをつなぎ、ゴールライン付近まで深くえぐる。セレッソは試合序盤から、そんな場面を再三作ることができていた。

 右サイドを崩し、最後は後ろから飛び出してきたMF山口蛍が決めた先制点は、まさにその好例。今季のセレッソが攻撃のバリエーションを増やしつつあることを、この試合は証明している。水沼が納得の様子で語る。

「1点目はうまく崩せた。(速攻も遅攻も)どちらもできることを目指している。今日は(交代で)いろんな選手が出ても3点目が取れたし、(攻撃の形として)いろんなことができた」

 セレッソが新シーズンを迎えるにあたり、こうした変化を見せたことはある意味必然だっただろう。セレッソは今季、J1と並行してAFCチャンピオンズリーグも戦わなければならないが、そこではパワーとスピードに優れる韓国、中国勢との対戦が待っている。速攻だけを頼りに、行ったり来たりを繰り返すサッカーでは分が悪い。ボールを落ち着かせて攻撃を進めることは、必要不可欠だった。

 そもそも技術的に能力が高い選手がそろい、ボールを保持して攻撃を進める素地は十分に備わっていたチームである。先発11名は全員が昨季からの主力メンバーだったが、単に昨季からの継続性を高めるというだけでなく、新たなオプションを加えるという点においても、セレッソは今季初戦でポジティブな印象を残した。韓国人指揮官が語る。

「川崎はコンディションが万全ではなかったと思う。だが、我々が去年と違う姿を見せたので、相手はやりにくかったのではないか」

 昨季、クラブ初のタイトル獲得をきっかけに、まとめて二冠を手にしたセレッソ。大きなブレイクスルーを果たしたシーズンを足掛かりに、今季はさらなるステップアップが期待される。

 セレッソは今季も何かやってくれそうだ。

 そんな予感を漂わせるに十分な、スコア以上の快勝だった。

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