今季Jのイチオシ。セレッソの水沼宏太は「チームに勝利を呼び込む男」

今季Jのイチオシ。セレッソの水沼宏太は「チームに勝利を呼び込む男」

2018年、私のイチオシ「Jリーガー」(1)
◆水沼宏太(セレッソ大阪/MF)

「”結果としてチームを勝たせる”というのが、自分が目指しているプレースタイルですかね」

 水沼宏太(27歳/セレッソ大阪)は、自らの信条をそう語っている。

「僕の場合、とにかく90分間、ひたむきに愚直にプレーするしかない。例えば、攻守の切り替えのところが緩慢になってきたら、自分が率先して徹底してみたり。評価されづらいかもしれませんけど、がんばり続けることでゴールにも絡める、という姿を見せ続けるだけです」

 そして2017年シーズン、FC東京からセレッソ大阪に移籍した水沼は「チームに勝利を呼び込む選手」としての真骨頂を見せている。

 川崎フロンターレとのルヴァンカップ決勝では終盤、足が止まりかける時間帯に、全力疾走でカウンターに参加。MFソウザのだめ押し点をアシストしている。

 横浜F・マリノスとの天皇杯決勝では、0−1とリードされる苦しい展開の中、水沼は相手DFをひとりかわして、積極的にミドルシュートを打ち込んだ。これを、GKがこぼしたことで同点弾につながった。

 そして延長戦、ファーポストでポジションを取り、クロスを呼び込むと、会心のヘディングで決勝点を奪っている。

「出来すぎですよ」

 水沼は謙遜していたが、タイトルのかかったゲームで、本来の力を発揮できるのは勝負運を持っているからだろう。その運は実力とも言える。

 水沼のプレーには一切の暗さがない。前向きな姿勢が、運をつかみ取らせるのだ。

「宏太はメンバーを外されたりしても、少しも腐らない。真面目に全力で練習に取り組み続けられる。いつも明るく振る舞うし、手を抜かない。前向きでポジティブなパワーが、チーム全体にいい影響を与えるんです」

 水沼について、サガン鳥栖時代のチームメイトである豊田陽平がそんなふうに語っていたことがあった。

『明朗さ』

 それは才能のひとつなのだろう。バカ騒ぎをする、ふざける、機嫌のいいときには周りを盛り上げる、という選手はいくらでもいる。

 しかし、水沼はチームが苦境に立たされたとき、例えば失点してリードを許した場面で、喝を入れるような声が出せるし、率先して自ら勇敢なプレーを見せ、チームを活性化できる。面白いことを言って笑わせるような明るさではない。場を好転させる朗(ほが)らかさというのか。

 その点、水沼自身が感情量の多い選手だ。与えられた舞台によって、大きくなれる。期待されるほどに、それに応えられるプレーヤーと言えるだろう。

「おまえ、そんなもんじゃないだろ?」

 2016年シーズンにFC東京で不遇をかこっていたとき、セレッソの監督に就任した尹晶煥(ユン・ジョンファン)から誘われた言葉に、刺激を受けたという。反骨心も強い。それをプレーに転換できる。

 Jリーグにおいて、今や右サイドでの存在感は群を抜いている。ひとりでごりごりと切り込んでいくドリブラーではない。しかし周りを使いながら、中に入ってプレーする技術が高く、コンビネーションによって守備ラインを突破できる。

 また、ユース時代までストライカーだったこともあるのだろうか、逆サイドで崩しに入ったとき、ファーポストへパスを呼び込む能力は出色。そして、サイドを上下運動できる心肺能力と献身的なタフネスも持っている。

 しかし最大の武器は、ピンポイントで放つ高精度のクロスだろう。キックの種類も多彩。日本代表に選ばれたFW杉本健勇のゴールを数多く演出している。

 昨季の第23節、アウェーのジュビロ磐田戦で見せたクロスはシーズンのハイライトのひとつだろう。右サイドでボールを受けると、ワンタッチでセットポジションに入る。ニアサイドに落とし込むような速く強いライナーのクロスを打ち込むと、これを走り込んだ杉本が合わせ、ファーに流し込んでいる。

 水沼はこうした活躍によって今季、セレッソへの完全移籍を果たしている。

 心新たに、W杯イヤーに挑む。日本代表経験はないものの、候補に入るだけの活躍は示してきた。あとはプレースタイルとの適合か。もし杉本をロシアに連れて行くなら、セットでの起用はひとつの選択肢になるかもしれない。

 いずれにせよ、水沼がJリーグで「最高のチームプレーヤー」のひとりであることは間違いないだろう。一番厳しい場面で、チームを支えられる。

「単なるパス練習でも、一つひとつ集中してやる。それが試合に必ず出てくる。だから、こだわってやります!」

 いつも快活な水沼の言葉である。

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