弱冠20歳にして各地を行脚。藤田菜七子ジョッキーは何を見たのか?

弱冠20歳にして各地を行脚。藤田菜七子ジョッキーは何を見たのか?

◆藤田菜七子インタビュー2018 後編

今年は開幕週に勝利をあげるなど、好スタートを切った藤田菜七子騎手。昨年は「チャレンジする姿勢をより強くしたい」と中央競馬だけでなく、地方競馬、海外へと遠征し、結果を残してきた。今回は、そうしたチャレンジを中心に話を聞いた。


――昨年も2回海外に遠征しました。まず1月に、マカオでの男女騎手ペアチーム戦の招待競走でしたね。

「競馬の文化の違いも感じましたし、それぞれの国のトップジョッキーと一緒に乗ることができて、すごく勉強になりました。競馬もスマートで、それでいて結構タイトになるので、これが世界レベルなのかと実感しました。

 それから、あのときに知り合ったケイトリン・マリオン騎手やライアン・クアトロ騎手とは今も交流を続けていて、来日するときもいろいろと情報交換をしたりしました。特にクアトロ騎手は騎乗フォームもすごくきれいですし、フランス人なのに、鞭1本でいろいろな国を渡り歩いてチャレンジしている姿勢を尊敬しますね」

――6月には女性騎手招待競走でスウェーデンに行きました。公園にラチを立てただけの臨時特設コ―スで、びっくりしましたね。

「あれこそ競馬文化の違いを感じました(笑)。こういう競馬もあるんだな、と。ピクニックをしている中で競馬をやっているという感覚で、驚きの連続でした。今年も呼んでもらえたらうれしいですし、行くからには今度こそ勝ちたいですね」

――後半は「2017ヤングジョッキーシリーズ(※)」に参戦。年齢が近い若手だけのシリーズで、ふだんは接点のない地方競馬の同世代の騎手とも一緒に競馬をしてどう感じましたか?
※中央競馬と地方競馬所属の見習い騎手でポイントを争うシリーズ競走で、ファイナルシリーズが年末に大井競馬場、中山競馬場で行なわれた

「ありがたいことに、地方競馬でもレ―スに乗せてもらえる機会に恵まれていたのですが、若手の方とはあまり話したことがなかったんです。そうしたジョッキーたちと交流を深めることができました。また、これまでいろいろな競馬場で乗せていただいた経験がアドバンテ―ジになったと思います。

 予選を勝ち抜いて、ファイナルに進めたことはうれしかったですが、ファイナルでは(14人中13位と)結果を出せなかったのが悔しかったので、今年もあれば、頑張りたいと思います」

――去年、印象的だった競馬場はありますか?

「岩手では規定により4kg減で乗れるので、盛岡に行くことが多かったですね。芝のレースでも勝つことができたのはすごくうれしかったです」

――藤田騎手もそうですが、同期の若手もみんな競馬に向かうときの顔つきが変わってきたように思います。

「いつも顔を合わせているので、私自身あまりそういう実感はないですけど、そうなんですかね(笑)。確かに、海外の女性騎手はみんな声を出して気合いを入れていますので、そこまでとはいかないまでも気合いを表に出す、というのもひとつなのかなと」

――競馬学校の同期の坂井瑠星(りゅうせい)騎手がちょうど今、オーストラリアに単身で修行に出ていますけれども、やはり刺激は受けますか?

「同期だけに率直にすごいなと思いますし、尊敬もします。私も海外の競馬に興味はありますし、いつか行きたいという気持ちはあるんですけど……。日常も競馬も文化が全然違いますし、なかなか簡単なことではないだけに、そういうところへ挑戦していることに対して、すごく刺激を受けます。

 でも、海外に何カ月も出ていくと、日本を留守にしてしまい、戻ってきたときにゼロからのスタ―トになるリスクもあるので、そこの判断、決断がなかなか難しいですね。勉強しに行きたい気持ちも十分にありますが、日本での競馬も期間が空くことにに怖さもあります。難しいですよね」  

――逆に短期で来る外国人騎手と一緒にレースしての印象はいかがですか?

「クールには見えますけど、気合いはものすごく感じますね」

――一方で、ひとつ残念なのが、女性騎手として藤田騎手と近い時期にデビューした香港のケイ・チョン騎手がケガを理由に引退することとなってしまいました。いつか、ふたりの競演が見られることを楽しみにしていたんですが。

「直接お会いしたことはないのですが、香港であれだけ結果を残していて、すごく巧い騎手だと聞いていて、いろいろ話を聞いてみたかったので、すごく残念ですね。同時にやっぱりケガがつきものの職業で、自分が気をつけていてもケガしてしまうこともあるし、自分の不注意で周りにケガをさせてしまうこともあるので、それは気をつけようと思いました」

――さて、あと少しで通算31勝となり、減量特典も3kgから2kgになります。そして、GIへの騎乗もできるようになりますが。

「常に『次の1勝』を目標としてやっていますが、その積み重ねの結果として、早くそこには到達したいですし、直近の目標でもあります。2kgになったら乗り方も変わってくると思いますので、まだまだ得ることは多いと思います」

――競馬学校の後輩に女性の候補生が入って、先日、同じ根本厩舎に研修に来ました。

「調教でも一緒に乗りましたが、競馬学校の頃を思い出しましたね。競馬学校では多くても同時に出てくるのは20頭ぐらいだったんですけど、トレセンに来たら、とにかく馬の多さに驚いたことを覚えています。また、数年後にジョッキーになるときに負けたくないなと今から思っています」

――昨年、20歳になりました。たぶん、「20歳だから」という意識はそれほどなかったとは思いますが、それでも実感するようなことはありましたか?

「競馬に関しては自分の意識が変わらないので、そんなにはないんですけど、社会的な責任ある立場にはなったので、そこはしっかりしていきたいと思っています」

――お酒の席に呼ばれたりすることも増えたのでは?

「意外とそうでもないんですよ」

――ある調教師は「あんまりレースも乗ってもらってないし、女の子なので」と遠慮しているようでしたが、もう成人したと聞いて「じゃあ、それなら」という感じでした。

「ちょっと前に、『新しいスタッフが入ってきたので歓迎会をやる』という会話を厩舎の助手さんたちがしているのを聞いていたことがあったんですけど、私は呼ばれなかったんですよ。悲しいなーと(笑)。でも、そういうふうに気を遣ってくださっていたんだと納得しました」

――去年は後輩ジョッキーたちもデビューしました。

「上手な子ばっかりで、負けていられないし、負けられないなと思います。今年ももうすぐ入ってきますので、『先輩だから、後輩だから』というのはないのですが、それでも特に(後輩には)負けたくないです」

――さて、最後に今年の抱負というか、もし明確な目標があれば教えてください。

「先ほども言いましたように、次の1勝を目指して、それをひとつひとつ積み重ねていきたいですし、結果としてなるべく早く31勝をすることです。その中で、たくさんの人に信頼をされる騎手になりたいですし、愛されるよう騎手になりたいです」

――その目標を達成していく藤田騎手を楽しみにしています。

「ありがとうございます」

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