佐藤琢磨、テストであんなに速かったのに…。次戦こそ巻き返せるか

佐藤琢磨、テストであんなに速かったのに…。次戦こそ巻き返せるか

 インディカーシリーズ第2戦のフェニックスで、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング=RLL)は11位に終わった。しぶとく戦ったとも言えるが、期待を胸にRLLへと移籍した琢磨がイメージしていたのは、開幕から優勝争いを続ける自分たちの姿だったはずだ。

「開幕戦が12位で今回が11位。しぶとさっていうのは6位ぐらいのゴールで言いたい。11位、12位じゃ何も誇れない。合同テストがよかったから、フェニックスには本当に期待していたけど……」と、悔しがった。

 シーズン開幕前にフェニックスで行なわれた合同テストで、琢磨は最速を記録していた。そのテストで2日間も走り込んだため、フェニックスでのレースは短い2デーイベントとなり、予選前には1時間のプラクティスが1回しか用意されない。そこでの琢磨の順位は23台出場中の18番手。チームメイトのグレアム・レイホールも17番手と、揃って下位に低迷、彼らのマシンセッティングに問題があることが明らかとなった。

「テストがよかった僕らは、あまり大きくセッティングを変えたくなかったし、変えることができなかった」と、琢磨はチームを擁護する。ただ、暑くなることは十分承知していたとはいえ、RLLが用意していた対応策は不十分だった。

「涼しいコンディションで速かった僕らが、暑さのなかでは遅かった。それはセッティングが硬すぎたということだと思う。でも、単純にスプリングやダンパーを柔らかくするという対策で改善できるわけじゃない。そうすると安定感などに悪影響が出てしまうから」(琢磨)

 それでも予選では多少のセッティング向上がなされ、琢磨は13位に浮上、グレアムも12位だった。続いて行なわれた1時間のファイナル・プラクティスで、RLLはさらなる改善策を求めて2台で異なるセッティングをトライ。テストでのデータも検討して決勝用マシンを作り上げた。 

 予選よりさらに暑い1日となったレースで、琢磨は序盤、予選順位をほぼ守って戦った。レースで使われているのと同じファイアストン・タイヤのコンパウンドを特性トレーラーで路面に擦りつけて走行ラインを広げようというインディカーのトライはほとんど効果を示さず、狭いレーシングラインを少しでも外れるとタイヤかすに乗ってコントロールを失う難しいコンディションが続いた。

「予選が終わってから決勝スタートまでには1回しかプラクティスがなかった。そこで方向性だけでも見極めようとトライしたけれど、その中にもよくない部分があって、結局テストでのマシンに近づける方向に戻し、今回のコンディションに合わせるセッティングも施した。そんなにすごくよくなるというのは現実的に難しいことだとわかっていたけれど、少なくとも予選以上にいいパフォーマンスは発揮できるだろうとは感じていた」(琢磨)

 ルーキーのピエトロ・フィッティパルディ(デイル・コイン・レーシング)は初オーバルレースでの洗礼を受け、ターン4外側の壁にヒット。昨年度インディライツチャンピオンのカイル・カイザー(フンコス・レーシング)もクラッシュでのリタイアを余儀なくされた。レース終盤にはインディカー2年目のエド・ジョーンズ(チップ・ガナッシ・レーシング)が2位走行中にクラッシュした。驚いたことに、2014年チャンピオンのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)もターン4のウォールにヒットしてリタイアした。

 そんな荒れたレースのなか、琢磨は思っていたよりも安定したマシンで辛抱強くレースを戦った。

「序盤からハンドリングはそんなに悪くなかった。バランスは取れていた。でも、全体的にグリップはなかった。狭い1本のラインでのレースは、前を行くマシンに近づいて走ることが難しかった。前のクルマに近づくと、ダウンフォースが減ってそれ以上、近づけない。追いついて終わり、追いついて終わり……という展開になった」(琢磨)

 タイヤを傷めずに走れば、ラップを重ねたところでライバルに対するアドバンテージを手にできる。そこでバトルが生まれる……という期待はさほど叶えられなかった。

「グリップが落ちてからのバトルは、あるにはあったけれど、少なかった。今のインディカーは出場全チームのレベルが高く、ハンドリングの悪くなる車はなかった。また、タイヤのグリップがなくなって走りが苦しくなると、速度が落ちてダウンフォースが減って、前の車へ近づけなくなった。マシン同士がさらに離れてしまう状況だった」(琢磨)

 アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)やシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は、そういうなかでも多くのパスを実現していた。そんなマシンを作り上げるのは不可能ではないということだが、そのレベルに今回の琢磨、そしてRLLは達していなかった。

「暑いコンディションにもしっかりとマシンを合わせているチームはあったのだから、言い訳はできない」と、琢磨は言う。

 琢磨陣営が採った作戦も成績向上に貢献しなかった。

 ピエトロ・フィッティパルディ(デイル・コイン・レーシング)のアクシデントで全員がピットストップを行なった後のセカンド・スティント。琢磨とグレアムはともにストレッチ(ピットインを延ばす)し、イエローが出たら大きなアドバンテージが得られる展開を期待した。その時点まででピットしている面々を周回遅れにすることができる可能性があったからだ。しかし、そうした展開にならなかっただけでなく、グリップの落ちたタイヤでのラップが増えたことで逆に順位を落としてしまった。

「あれはちょっと欲張りすぎた。順位を守るという意味で、スコット・ディクソンや他のドライバーたちのように早め早めにピットストップを行なうという戦い方もあった。ディクソンたちより僕らは前を走っていたのだから、彼らと似たようなストラテジー(戦略)にしていれば、ディクソンのところ(4位)まではいけなくても6〜8番手ぐらいではゴールできていたのかなと思う」(琢磨)

 さらに、最後のイエローでピットインするという決断も、結果論だが裏目に出た。

「最後のイエローでピットするか否かの判断は難しかったと思う。ピットからのピットインの指示を受けたときには、”入るんだ”と思った。入らないチームの方が圧倒的に多いと思ったから。リスタートからゴールまでは残り10周以下になることがわかっていたし、僕は着けているタイヤで最後までいけるんじゃないかと思っていた」(琢磨)

 そこでもしピットに向かわなかったら、4番手に浮上していたことになる。

「”たられば”は言ってもしょうがないけど、今回はピットストップも遅かった。チームメイトに2回抜かれたのは腹立たしい。今回は作戦もダメ、ピットストップもダメ、車もダメ……」と、琢磨は下を向いた。

 この3シーズン、グレアムの1台だけを走らせる体制で優勝を重ね、ランキング上位に食い込んできたRLL。新エアロ・パッケージとなる今シーズンは琢磨を迎えた2カー体制に拡大し、一気にチャンピオンシップ・コンテンダーとなる意気込みだった。しかし、開幕から2戦目までのパフォーマンスは決してよくはない。特に開幕前のテストで他を圧倒していたフェニックスで不発に終わったのは、大きな誤算だとも言える。

 昨年までRLLが誇っていたサスペンション・セッティングでの優位を、新エアロ・パッケージで再び獲得することが彼らの目標となる。フェニックスはバンクの緩さとコーナリング時間の長さでオーバーテイクが難しいコース。だが、他にふたつあるショートオーバルでは、今回よりも高いグリップでサイドバイサイドの戦いが行なわれるはずだ。それまでにショートオーバルでの戦闘力を高めるためのセッティングを見出さなくてはならない。

 この後、レースはロングビーチ、アラバマ、インディGP、インディ500、デトロイトでのダブルヘッダーと続く。インディ500を除けばストリートとロードコースでの戦いが5戦もある。ここでのパフォーマンスがチャンピオン争いでは大きな意味を持つことになるだろう。

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