西野ジャパンのサッカーを心配する。「ザック時代に戻るのはやめて」

西野ジャパンのサッカーを心配する。「ザック時代に戻るのはやめて」

◆どうなる?西野ジャパン〜杉山茂樹×浅田真樹(前編)

 ロシアW杯を目前にしてスクランブル発進となった西野ジャパン。その目指すところはどういうサッカーなのか。ハリルジャパンとは何が違うのか。35人の予備登録メンバー選出の期限を前に、サッカーライターの杉山茂樹氏と浅田真樹氏が語り合った。

――まずは、この時期に監督を交代したことのメリットとデメリットについて聞かせてください。

浅田 そもそもハリルホジッチは、本番の一発勝負にうまく対応することを得意としている監督です。ある意味で、得意でないことをやっている間は手をこまねいて見ていて、ここからが彼の力が出るところだったはずなので、ここまで引っ張って解任というのは、僕は「なし」だと思っているんです。別にハリルホジッチがいいと言っているわけじゃないですよ。機を逸したので、もう「なしでしょう」と。

 だから、杉山さんもスポルティーバに書いていましたけど、解任の理由でサッカーが語られないということに、すごく違和感がありました。僕らはこういうサッカーを目指している。彼はこういうサッカーをやろうとしている。だから合わないから監督をやめてくれ、というならわかるけど、信頼関係が何だとか……。

杉山 ああいうサッカー以外の価値観に置き換えちゃっているところが問題で、仲が悪くなったからというような話になってしまって、選手と監督は友達じゃないんだから、それは違うだろう、と。なぜチームがまとまらないか、コミュニケーションがうまくいかないかといったら、サッカーの焦点がぼやけているからで、ならばそのサッカーは何だったんだという話をするいい機会だったのに、それをしなかった。

 僕は、監督は代えたほうがいいと思っていました。その理由は、「ああいうサッカーをW杯という世界の品評会的な色彩も備えた舞台で披露する日本の”出し物”としてはどうなんだ」というのが僕の意見です。

浅田 杉山さんの言い方を借りれば、もしかしたら西野さんになったって”出し物”は同じ可能性もあるわけですよね。

杉山 危険度は低いと思うけど、あるんです。だから西野さんの言葉を細かく聞いていたけど、結局、何が変わるのかは不鮮明でした。そうするとこっちが勝手に想像するしかない、探りを入れるしかなくて、議論は活発化しないわけです。何か方針をバーンと出せば、「誰が選ばれるのかな」というような話ができるんだけど。

浅田 でも極端な話、5バックでゴリゴリに守り倒すかもしれないですよね、いざとなったら。実際、アトランタオリンピックではそうしたわけですから。

杉山 あれは本当に100年に1度の奇跡だから、1回起こした人にはたぶんもうない(笑)。でもアトランタが西野さんの中に成功体験として残っているのかどうか、という問題もありますね。あれから20年経って、もう守っているだけではダメだというのは世の中の常識になっているんだから。

浅田 言い方は難しいけど、監督としての西野さんは、ガンバ大阪のころから、個人を生かすという感じはします。個人ありきのサッカーで、悪く言えば個人任せのサッカー。タレントを並べて「さあ、行ってこい」という感じで、そんなに理詰めで構築されているという印象はありませんね。

杉山 だからうまくいっているときはいいけど、うまくいかなくなったら……というパターン。代表はある程度、タレントはそろっているのだから、もしかしたらそれでいいのかもしれない。だけどW杯では相手はみんな強いので、ある程度、作戦を考えないと無理じゃないかと考えるのが普通でしょう。馬なりで戦ったらやられるよ、と。

浅田 Jリーグで一番多くの試合数やったとか言うけど、特別に何かを残しているわけではない。これが風間八宏さんだったら、記録には残ってないかもしれないけど、記憶には残るチームを作っているというのがありますけが、そういうわけでもない。西野さん時代の名古屋グランパスやヴィッセル神戸に特別キャラの立った何かがあるかというと、そうでもない。ガンバのときは、たまたまタレントがいたから優勝したというところがあります。

杉山 この時期の監督交代について「本番に間に合わない」という人がいるけど、たぶん1日前に代えたって間に合うんです。ただ、問題は間に合うか間に合わないかではなくて、負けたときに悔いが残るかどうか。4年間を計画的に行なって、それで負けたなら悔いはないじゃないですか。その意味においては、悔いが残ると思います。 

浅田 その意味で思うのは、とにかく後戻りはやめてほしいなということです。すごくザックリ言っちゃえば、ザッケローニ時代に戻るのはやめてほしい。言い方は悪いけど、たとえいい結果が出ようが、何も遺産としては残らないチームとしてW杯に出るぐらいだったら、若い選手を使ってほしい。

杉山 はっきり言って、みんなそれほど期待してないのだから、うまくいったら大ラッキーじゃないですか。だから西野さんにはもっと軽く考えてもらって、「いい試合をやったら、けっこう喜んでくれる」というぐらいの気持ちでいくほうがいいと思います。

 その意味で気をつけるべきは、確かに年齢です。おそらく候補の中には、30歳以上になる人が10人近くいるわけです。前回大会のメンバーで30歳以上は4人で平均年齢は27歳でした。せいぜいそのくらいに収めておかないと次につながらない。次の世代でエースになりそうな若手は無理をしても選んだほうがいい。少なくとも実力が同じだったら若手、迷ったら若手。そういう感じでやってほしいですね。

浅田 やはり岡崎慎司、香川真司、本田圭佑、長谷部誠、吉田麻也、長友佑都といった選手は、長いこと同じ代表でやっているから、ある意味で阿吽(あうん)の呼吸ができているというメリットはあると思うんです。でも、そこに逃げちゃうと、本当に何も残らないで終わっちゃう可能性がある。

杉山 もちろん、そういったベテランの調子がどうなんだということもあるけど、具体的にいうと、長谷部が微妙ですよね。確かにキャプテンシーはあって、特にこういう問題があったときには、西野さんもきっと頼りにしていると思うんです。だから準監督みたいな扱いになっている。

 それはそれでいいですよ。23人枠を無駄にするなという考え方もあるけど、そういう選手を入れておくという手はあるかもしれない。だけど、それがすなわちスタメンであってはまずい。本当に大事なときに出てくるというならいいけど、長谷部が3試合とも90分出ているのはよくないんです。

 ハリルジャパンの問題はいろいろあったけど、一番はディフェンシブハーフだと思うんです。ハリルが「蹴れ、蹴れ」と言うのも原因なんだけど、ディフェンシブハーフが機能を果たしてない。ゲームをコントロールできない。今のサッカーではそこがチームのヘソ。ここの2人が機能しないとチームはまとまらない。でも単純に長谷部のプレーを見ていると、ディフェンダーはできるかもしれないですけど、中盤の人込みの中でボールをさばくのはもう無理なんです。だから僕は、サブぐらいの位置づけにしてほしいと思う。

浅田 過去、日本代表が国際大会でいい成績を残したときには、必ず控え組のモチベーションを高めるベテランがいたという話がありますよね。2002年のときであれば中山雅史、秋田豊、2010年のときだったら中村俊輔と川口能活がいた。まさにいまの長谷部はそれですね。

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