西野ジャパンでも使える「ホットライン」大島僚太と小林悠は準備OK

西野ジャパンでも使える「ホットライン」大島僚太と小林悠は準備OK

 J1第14節、川崎フロンターレは後半ロスタイムの劇的な勝ち越しゴールで、柏レイソルに2−1の逆転勝利を収めた。

 最終的に試合を決めたのは、J1初出場のMF鈴木雄斗によるゴールである。だが、試合の流れを変えたポイントはと言えば、やはりキャプテンによる同点ゴールだったのではないだろうか。

「『打つな!』って思ったけど、空気を読めないキャプテンがシュートを打っちゃった」

 MF中村憲剛が冗談めかしてそう振り返ったシーンは、後半58分。MF守田英正が敵陣でボールを奪うと、こぼれ球を拾ったキャプテンのFW小林悠がドリブルで前進。ゴールまではまだ20m以上の距離があったが、「シュートゾーンではないなと思ったけど、それまでにシュートチャンスがあまりなかったので思い切って打った」と小林。鋭く振り抜いた右足から放たれた弾丸シュートは、一直線にゴール左上に突き刺さった。

 攻勢に試合を進めながら、引いて守りを固める柏に対し、ゴールが遠かった川崎。それだけに「1点取ればイケるなと思っていた」(中村)ところでのゴールは、頼れるエースストライカーらしい大仕事だった。

 それにしても、昨季J1得点王の充実ぶりには目を見張るものがある。30歳を過ぎてもなお、点取り屋としてバージョンアップし続けている印象だ。数字はもちろんのこと、プレーの内容にも明らかな変化がうかがえる。

 風間八宏監督時代には、徹底してパスをつなぐポゼッションサッカーのなかで、タイミングよくマークを外し、裏を取る技術を磨いた。小林はもともとスピードに優れており、それを生かすという意味でも「裏を取る技術」は彼をひとつ上のステージに上げた。

 だが、今の小林は、DFを背負ってもプレーできる力強さを備えている。

 柏戦を見ても、スペースを探してやみくもに動くのではなく、中央でドッシリと構え、相手DFを背負い、足元に入ってくる縦パスを粘り強く待っていた。

「(縦パスを)受けてターンしてシュートというイメージを持ってやっている。FWとして自分が何とかしようという気持ちは常に持っている」

 小林がそう語ったように、柔道に例えるなら、相手DFと組み手争いをしている状態が長かったが、タイミングよくパスが入ってくれば一発で仕留められる。そんな雰囲気は十分に漂っていた。実際、第11節のヴィッセル神戸戦では、縦パスを受けてから半転してシュートという形で鮮やかなゴールを決めている。

 裏へ抜ける俊敏さだけでなく、相手DFを背負える力強さも備える。今の小林は「抜けてよし、背負ってよし」。Jリーグ屈指の万能ストライカーと言っていい。

 守備を固められる展開のなかで存在感を見せたのが、前線では小林なら、中盤ではMF大島僚太だった。

 序盤こそ、後方でパスをさばくことが多かった大島だが、柏ディフェンスを崩せない時間が続くと、自ら積極的に動き出した。

 どんなに川崎がパスワークに優れていたとしても、自陣で守備ブロックを作る柏に対し、ブロックの外でボールを回しているだけでは何も起きない。誰かがブロックの中にスペースを見つけ出し、タイミングよく潜り込んでパスを受けなければ、相手ディフェンスに連鎖的なズレは生じない。

 もちろん、ブロックの中に入ってパスを受けるということは、その一方でリスクも生じる。そこでボールを失えば、相手にとっては絶好のカウンターのチャンスになりかねないからだ。

 だが、大島は柏の出足が鈍り始めた後半、守備ブロック内に生じるスペースを見逃さず、タイミングよく潜り込んでパスを受けることで、攻撃のきっかけとなるクサビを打ち込んでいった。

 しかも、ただパスを受け、さばいていただけではない。相手の寄せが甘くなれば、自らドリブルでも仕掛け、柏ディフェンスをジワジワと後退させていった。直接得点に絡んだわけではないものの、緩急を使い分け、川崎の攻撃をコントロールしていたのは、間違いなく大島だった。

 ピッチ全体を視野に収め、攻撃を操る大島のセンスには、小林も一目置く。だからこそ、相手DFを背負って待つ小林は、「(パスコースとなる)間を閉められても、僚太には『チャンスがあったら、(縦パスを)入れてくれ』と話していた」という。

 結果的に、この試合で大島→小林のホットラインは開通しなかったが、小林が半身で構え、大島がボールを持つという状況が、柏にどれほどの圧力をかけたかは想像に難くない。

 さて、こうなると期待されるのは、ふたりの日本代表での活躍である。小林は日本代表について「自分が決めることではない」と冷静に話すが、おそらく無関心ではいられまい。

 西野朗監督が就任し、どんなサッカーを志向するのか、その全容はまだ見えていないが、同じクラブでプレーするユニットを代表チームにもそのまま移植することでコンビネーションを高めるという手法は、世界的に見ても決して珍しいものではない。

 幸いにして、今年3月のマリ戦で負傷により途中交代した大島も、現在はJ1で問題なくプレーしている。柏戦でもドリブルで強引にペナルティエリア内に進入した際に右足を痛め、ヒヤリとさせられたが、最後までプレーを続けている。リーグ戦で3試合ぶりにゴールを決めた小林も含め、コンディションはよさそうだ。

 AFCチャンピオンズリーグを戦った影響もあり、J1では現在4位とやや出遅れ感のある昨季王者の川崎だが、攻撃の熟成度ではリーグ屈指。その中核を成すふたりを、日本代表でも有効活用したいところである。

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