錦織圭、全英で8強進出。23年ぶりの快挙達成も次戦に向けて超クール

錦織圭、全英で8強進出。23年ぶりの快挙達成も次戦に向けて超クール

 10度目のウインブルドン。錦織圭は、テニスの聖地でついにベスト8の扉をこじ開けた――。

 ウインブルドン4回戦で、第24シードの錦織は予選から勝ち上がってきたATPランキング138位のエルネスツ・グルビス(ラトビア)を、4−6、7−6、7−6、6−1で破って、初のベスト8入りを決めた。

 日本男子としては、1995年の松岡修造以来23年ぶりの快挙で、これで錦織はすべてのグランドスラムでベスト8以上に到達したことになり、日本人選手では伊達公子と並ぶ記録達成となった。

「1つのゴールとして、今までなかなか壁を破れなかったので、うれしい気持ちもあります」

 こう語った錦織は、グランドスラムデビューとなった2008年ウインブルドンから10年間、グランドスラムの中で唯一ウインブルドンだけ準々決勝に進出できないでいたが、これで10度目の正直となった。

「(10年間で)自分のテニスも上達しているので、毎年安定感が増してきたり、今までできていなかったことができたりすることもある。環境自体も、芝の長さ、コートの速さも毎年変わってきたりする。何とも言えないですけど、(自分が)成長しているのかなと思います」

 4回戦の立ち上がりは、グルビスのサーブとストロークが好調で、特にサーブは最高時速212kmに達し、平均速度194kmのファーストサーブに錦織はてこずった。

「リターンは苦労しました。正直第2セットぐらいまで、(グルビスのサーブを)全く読めなかったです」と、たとえリターンミスをしても我慢強くプレーを続けた。

 第2セット第3ゲームでは、30−40となり、錦織はブレークポイントを握られたが、グルビスはフォアのダウンザラインへのショットをミスしてゲームを取ることができなかった。

 お互いサービスブレークを一度も許さずタイブレークに突入し、これを制した錦織が、「第2セットのタイブレークを取れたのが大きかった」と語る一方で、グルビスは、「第2セットの早い段階でブレークすべきだった」と悔やんだ。

 第3セットもお互いすべてのサービスをキープしてタイブレークに入ったが、グルビスがスリップをして転び、メディカルタイムをとって左ひざにテーピングをするために中断するハプニングがあった。再開後、グルビスは2回あったセットポイントを取ることができず、逆に錦織が4回目のセットポイントをもぎ取った。2回目のタイブレークも取れず肩を落としたグルビスに反撃する力はもはや残っておらず、アップダウンをなくし落ち着いてプレーすることを最後まで心がけた錦織が、3時間29分におよんだ厳しい試合をモノにした。

「自分より圭の方がいいショットを打っていた」とグルビスが振り返ったように、錦織が、フォアハンド20本とバックハンド12本を含む、トータルで47本のウィナーを決めた。

 錦織に帯同するダンテ・ボッティーニコーチは、サーブの出来のよさが勝利への原動力になっていると指摘する。

「ここまで、圭のサーブはとてもいいね。確率もいい方だと思う。それが、彼のゲームでは助けになっていて、サーブがよくなると、リターンもよくなる。そして、安定感のあるテニスにつながっている。サーブのよさを維持することが、いいゲームをするためのキーになる」

 4回戦でも、錦織のファーストサーブでのポイント獲得率は、第1セット69%、第2セット81%、第3セット81%、第4セット91%と、試合全体でも79%と安定して高かった。

 不安材料のひとつとしては、この試合で錦織は最初から、右ひじから上腕にかけてテーピングをしており、さらに第1セット直後には、メディカルタイムアウトをとって、右ひじあたりのマッサージも受ける場面があったことだ。

 準々決勝で錦織は、第12シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦する。対戦成績は錦織の2勝13敗で、錦織の勝利は、2014年USオープン準決勝まで遡らなければならない。

 ウインブルドンで3回の優勝を誇るジョコビッチだが、昨年のウインブルドン準々決勝で右ひじのけがのためリタイアし、その後手術をして治療に専念するためシーズンを終了させた。今年の1月からカムバックしたものの、なかなか調子を上げられず苦しんでいたが、グラスシーズンに入って調子を上げてきている。

 錦織もまた、右手首のけがから復帰してきたが、そんなカムバック組の2人が、ウインブルドンの準々決勝で対峙する。グラスでは初対決になるが、ジョコビッチは錦織のことを次のように語った。

「(圭は)けがに少し苦しんでいたけど、コンディションがフィットしていれば、どんな大会でも、誰にでも勝つことができる。彼はビッグマッチに強い選手でもある。いい試合になるといいね」

 ウインブルドンでは初のベスト8ということで、錦織の周りは騒がしくなったものの、彼にとっては、グランドスラムで8度目の準々決勝進出であり、単なる通過点という意識でしかない。4回戦後の会見では、錦織は全く喜びの表情を見せることはなかった。

「優勝するためには、ここからやっぱりタフな戦いが続くので、安心もしていられない」

 グランドスラムの頂点を見据える錦織にとって、やはりジョコビッチは越えなければならない壁らしい。ジョコビッチとの戦いは、いつも大きなチャレンジになるという錦織の真価が問われる大一番になる。


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