【木村和久連載】猛暑襲来。ゴルフの五輪会場は埼玉のままでいいの?

【木村和久連載】猛暑襲来。ゴルフの五輪会場は埼玉のままでいいの?

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」
連載●第167回

 いやぁ〜、とんでもない猛暑ですなぁ。最高気温40度って、温めのお風呂の温度ですよ。

 こんな猛暑が続くと懸念されるのが、2020年の東京オリンピックです。

 もし熱中症で倒れる選手やギャラリーが出たら、大問題ですよ。過去にも脱水症状によって倒れた選手が何人かいて、そのたんびにオリンピックの夏開催について、疑問視する声が上がっていました。

 平等な精神を謳い、公平な条件下における競争という意味でも、夏開催の必要性はどうなの? と思うのですが……。万が一、選手が熱中症などで命を落とすようなことがあったら、IOC(国際オリンピック委員会)やJOC(日本オリンピック委員会)の責任問題にもなりかねませんよ。

 そもそも1964年の東京オリンピックが開幕したのは、10月10日。その体育の日あたりがベストシーズンなのは、誰もがわかっています。

 けど、最近のオリンピックの開催は、欧米のスポーツ中継においてメインイベントが少ない夏にやる、というのがお約束になっています。だから、2004年のアテネ五輪、2008年の北京五輪も、暑かった印象が残っているのです。

 今回の東京開催において、IOCから「夏開催の条件をのめば、東京を開催地にする」と言われていたりしたのかもしれません。無論、そんな真相があっても、おそらく語られることはないでしょう。

 そうはいっても、近年の日本の暑さは半端ないです。倒れる人が続出となれば、「誰が夏にやると決めたんだ!」と批判が続出。責任問題は、安倍内閣にまで及んでもおかしくありません。

 というわけで、2年後の東京オリンピック開催について、ゴルフを中心にどうあるべきか、あらためて考えてみましょう。

(1)IOCの読みの甘さ
 気象庁の統計によると、ここ100年の間に東京の平均気温は3.2度上昇しているそうです。そりゃ、暑いですわな。

 昔の東京のイメージで夏開催を決めたのなら、それは無謀というものです。ここ数年の夏は、軒並み35度越えの猛暑日が続いていますからね。このままいけば、2020年も猛暑になる確率が高いです。

 東京オリンピックの夏開催に関しては、外国人の東京の夏に対する読みの甘さ、すなわちIOCの認識の甘さが出たのではないでしょうか。

 日本の夏、特に都会の35度越えは、数字以上の不快指数となります。それは、コンクリートの照り返しや、大量に走る車の排気ガス、無数にあるビルのエアコンの室外機風などによるものです。今や、多くの外国人が東京の高温多湿の夏に参っています。

 メルセデス・ベンツの日本向けのエアコン設定は、もはや”熱帯仕様”だという都市伝説があります。何十年か前までは”温帯仕様”だったのですが、いつしか「クーラーが効かない」というクレームが殺到。そこで、メーカーが調べてみると、日本のアスファルトの路面温度がものすごく高いうえ、渋滞が激しいことに気づいて、”熱帯仕様”のエアコンに変えた、と噂されています。

 おかげで、今や世界の車の試作車の最終テストは、東京で行なわれていると聞いたことがあります。なぜなら、外気温50度というアスファルト道路において、それも激しい渋滞のなかで故障しないで走れれば、世界のどこでも走れるから、ということです。

 IOCおよびJOCにはもう一度、”熱帯”の、過酷度マックスの状況下でオリンピックを行なうということを、認識し直してほしいですね。

(2)やっつけの対策
 最高気温40度を越えたことで、「オリンピック、まずいんじゃないの?」という雰囲気になって、「じゃあ、開始時間を早めますか」となりました。

 とりあえず、各種競技の時間変更って、おかしいでしょ。”子どもの使い”じゃないんだから。

 そんなこと、何年も前から予想されていたことです。こうした重要案件の対策が、なんで後手、後手に回ってしまうんですかね……。

 結局、当初から懸念されていたマラソンは、スタートが7時30分から7時に変更になりました。ゴルフも、9時スタートから7時スタートに。それぞれ、IOCに了承されています。

 こうして暑さ対策においては現状、スタート時間の変更という、姑息な手段のようにも感じる対策で逃げ切ろうとしていますが、はたしてそれが「おもてなしの五輪」と言えるのでしょうか……。

(3)ゴルフの7時スタートで変わること
 オリンピックのゴルフは、埼玉県の霞ヶ関カンツリー倶楽部で開催されますが、このゴルフ場には宿泊施設はありません。

 7時スタートなら、選手は遅くとも5時半ぐらいにはコースに来ないといけませんが、東京・晴海の選手村に宿泊しているとしたら、朝3時ぐらいにはそこを出て、車を飛ばしてくるのでしょうか? それはまた、ちょっとしんどいですよね。

 あらためて思うのですが、そうまでして埼玉県北部でやらなければいけない必要性がどこにあるのか? 甚だ疑問です。

(4)埼玉県北部の夏の天気
 2020年の同地の夏の天気は、おそらく酷暑となる可能性が高いです。その確率がおよそ60%として、暑すぎると今度は入道雲が現れて雷雨となるのがお約束。それが、20%ぐらいでしょうか。

 つまり、残り20%ぐらいしか、ゴルフが可能な気候ではないということです。今からでも遅くないですから、「ごめん、やっぱり涼しいところに会場を移すわ」と、安倍首相が言えばいいと思いますよ。

 そうしたら、世界中のプレーヤーから「ブラボー!」と喝采を受けるはずです。代替コースは、軽井沢か、復興プランとして東北の涼しいところでやるか、どちらかがいいでしょう。

 これぞ、高度な政治的判断というものですよ。ほんと「安い見栄なんて、張らんでええがな」って思いますけどね……。

(5)そもそも夏にゴルフはしない
 そもそもプロのトーナメントが夏の関東で開催されることはほとんどありません。関東近郊であっても富士山の麓とかで、あとは軽井沢や北海道など、涼しい場所で開催されます。

 ゆえに、夏の開催という段階で、会場を埼玉の北部なんかに決めたら「自殺行為だ」と、ゴルフ関係者なら誰もが異を唱えるでしょう。

 なのに、名誉だか何だかしらないけど、霞ヶ関カンツリー倶楽部が開催を受け入れてさ。普通、こういうときは「8月のトーナメント開催は不可能です」と断ればいいと思うんですけどね。

 ちなみに、名門コースの夏ゴルフはどうなっているかというと、実はメンバーさんはほとんどいません。名門コースは、おおよそ名門のリゾートコースと提携していますから、メンバーさんの多くはそうしたリゾートコースのメンバーさんと相互交流を図って、涼しい高原でのゴルフを満喫しているのです。

 名門倶楽部のメンバーは”金持ち喧嘩せず”の精神で、お互いのコースを行き来しているわけです。なんともまあ、優雅ですなぁ〜。

 その間、埼玉北部をはじめ、関東の名門コースの夏ゴルフなんて、普段は滅多に利用できないビジターばかり。夏料金で安くなるからと、メンバーにお願いしてラウンドさせてもらっているのです。

 だから、夏にオリンピックを開催するので、コースを貸してくださいと言えば、「どうぞ、どうぞ。うちのメンバーはみんな、避暑に出ていますから」と言ってくるわけです。

 何はともあれ、日本は外国人から見たら、単なる島国です。埼玉と長野の違いなんてわかりません。だいたい晴海の選手村から、埼玉北部へ行くのと軽井沢へ行くの、どっちが近いでしょうか? 新幹線を使ったら、軽井沢のほうが近く感じるんじゃないですか。

 別に選手は選手村から通わせなくても、軽井沢にはホテルが山ほどあります。ゴルフ場もプリンスホテルの『軽井沢72ゴルフ』なら駅前だし、どう考えてもそちらのほうが、ホスピタリティも高いと思います。ゴルフ場は涼しいし、選手を泊めてプレーさせれば、それで終わりですよ。

 コースは、ロバート・トレント・ジョーンズ親子が設計。世界アマをはじめ、たくさんのトーナメント開催実績もあります。

 まだ2年あります。勇気ある決断を、そろそろしたほうがいいんじゃないでしょうか?

◆木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。


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