ウッズと若き精鋭が米国選抜入り。今年のライダーカップはたまらない

ウッズと若き精鋭が米国選抜入り。今年のライダーカップはたまらない

WEEKLY TOUR REPORT
◆米ツアー・トピックス

 ブライソン・デシャンボー(アメリカ)――。

 現在、行なわれているフェデックスカップ・プレーオフで2連勝を飾って、「今、地球上でもっとも勢いに乗っている男」と言われる、24歳の精鋭だ。

 デシャンボーは、プレーオフ初戦のザ・ノーザントラストを制すと、第2戦のデルテクノロジーズ選手権でも優勝し、今季3勝目、ツアー通算4勝目を挙げた。この結果、ポイントレースでもあっという間にトップに立って、1000万ドル(約11億円)を手にすることができる”年間王者”に最も近い位置にいる。

 だが、デシャンボーには”年間王者”以上に目指しているものがあった。それは、9月末に「フランスのパリ郊外で開催される『ライダーカップ』の(米国選抜の)メンバーに選ばれること。(自分にとって)それが最大の目標。絶対に(メンバーに)入る」と、心に強く誓ってプレーオフに挑んでいた。

 というのも、ライダーカップ・ポイントで選出される上位8名入りを狙って臨んだ全米プロ選手権で、まさかの予選落ち。結局、同ポイントランキングは9位にとどまって、あとは米国選抜のキャプテン推薦による、残り4名の枠に望みを託すしかなかったのだ。

 ただ、その4名の枠の中に入ることは、決して簡単なことではなかった。タイガー・ウッズ、フィル・ミケルソンらビッグネームをはじめ、ザンダー・シャウフェレ、トニー・フィナウら躍進著しい面々も虎視眈々とメンバー入りを狙っていたからだ。

 そして、米国選抜のキャプテンを務めるジム・ヒューリクが、推薦で指名する4名のうち、3名を発表するのは、プレーオフ2戦目のデルテクノロジーズ選手権が終わった翌日、9月4日だった。

 おかげで、プレーオフに臨むデシャンボーの意気込みは相当なものだった。

「(メンバー入りを狙う)そうそうたる面々の中で、絶対にキャプテンに選んでもらうためには、プレーオフで勝利を見せるしかなかった。1試合目に勝っても、『それだけじゃ、ダメかもしれない』――そう思うと、2戦目にも大きなパワーがわいた」

 そうして、デシャンボーは実際に2週連続優勝を成し遂げた。

 はたして、フューリクは推薦メンバーを発表する際、デシャンボーの名前を一番に読み上げた。次いで、ミケルソン、ウッズの名前が呼ばれ、新たに3人のメンバー入りが決まった。ちなみに、ウッズはチームの副キャプテンも務める。

 念願の米国選抜入りを果たしたデシャンボーは、まず「こんなに感動したことはない」と、喜びの声を上げた。

「ここ数週間は、ポイントで(米国選抜の)メンバーに入れなかったことが悔しくて、残念な思いをずっと抱えていた。だけど、それが大きなバネとなった。悔しいということは、自分にそれだけの熱意があるということ。どんなに落ち込んでも、その熱意だけは失わなかった。それが、ふたつの勝利につながったんだと思う」

 そんな熱い気持ちを秘めるデシャンボーだが、一方で「ゴルフの科学者」とも言われ、あらゆるデータを駆使して、自らのプレーに取り入れていることで知られる。

 カリフォルニア州出身で、テキサス州ダラスのサザン・メソジスト大学で学んだ。専攻は、物理学だった。デシャンボーが語る。

「もしプロゴルファーになっていなければ、きっと運動科学のスペシャリストになっていたと思う」

 2016年、マスターズでベストアマに輝いたあと、プロに転向したデシャンボー。下部ツアーのウエブ・ドット・コムツアーで勝利を挙げて、2017年からPGAツアーで戦っている。

 彼の特徴としてもっとも知られているのは、アイアンの長さがすべて37.5インチに統一されていること。これは7番アイアンの長さで、しかもライ角とバウンスも同じにしてあるという。さらにグリップは、現在のゴルフマーケットでもっとも太いものを使用している。

 このクラブによって、デシャンボー独自の「ワンプレーンスイングに大きく役立っている」と話す。

 ついでながら、これらのクラブにはすべて名前がついているという。60度のウエッジは「ザ・キング」。米ゴルフ界の”キング”こと、故アーノルド・パーマー氏が1960年にマスターズを制していることから、そう命名したそうだ。また、6番アイアンは「ジュニパー」。こちらは、オーガスタ・ナショナルGCの6番ホールの名前にならったという。

 デシャンボーのトレードマークは、敬愛する故ベン・ホーガン氏への思いを込めて、ジュニア時代から常に愛用しているハンチング帽だ。ただし、これは試合日のみ。練習ラウンドやプロアマ戦では、普通のキャップを着用している。

 サザン・メソジスト大学に進学したのも、故ペイン・スチュワート氏を慕ってのこと。米ゴルフ界の”英雄”たちへの思い入れと、自身のこだわりには尋常でないものがある。

 米国選抜の推薦メンバー3名を発表したフューリクは、デシャンボーへの期待をこう語った。

「デシャンボーの活躍は(残りのメンバーを決める)”難しい選択”をとても簡単にしてくれた。彼は2勝を挙げただけでなく、その勝ち方が素晴らしかった。

 特に(2戦とも)最終日の後半のプレーが圧巻だった。どれほどのプレッシャーがあったことだろうか。そうした状況にありながら、リードをしても付け入る隙を見せなかった。その勝負へのこだわりこそが、我々のチームには必要だ」

 ところで、デシャンボーへの期待が高まるなか、ついにウッズもプレーヤーとして見事に米国選抜へ返り咲いた。ウッズが言う。

「今年の目標のひとつは、ライダーカップに選手として復帰することだったから、メンバー入りを果たせて最高の気分だ。

 このチームは若い。20代のヤングガンたちは、ジュニアの頃からお互いのことをよく知っている。その彼らの中に僕たちベテランが加わって、最高のチームになるだろう」

 科学的な頭脳の持ち主でありながら、熱いハートを持ち合わせた若きデシャンボーが加わって、偉大なる”ヒーロー”ウッズがメンバー復帰を果たした米国選抜。今年のライダーカップは、例年以上に白熱した戦いが見込まれ、その注目度は一段と増しそうだ。

著者:text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN


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