年齢とともに変化を。巨人・山口鉄也が胸に刻んだ中日・岩瀬の金言

年齢とともに変化を。巨人・山口鉄也が胸に刻んだ中日・岩瀬の金言

 読売ジャイアンツの山口鉄也は、2度のセ・リーグ3連覇、日本一2回を達成した原辰徳の第二次監督時代(2006年〜2015年)を支えたリリーフ左腕だ。毎年のように60試合以上に登板してホールドポイントを積み重ね、巨人の黄金時代を築いた功労者のひとりである。

 そんな山口が1軍のマウンドから姿を消して約1年。ケガからの完全復活を目指す間に、スコット・マシソンやアルキメデス・カミネロが戦線離脱するなど、巨人のリリーフ陣は苦しい状況にある。

 2年ぶりのCS進出を決めるキーマンとして、”鉄腕”の復帰を待ち望むファンは多いだろう。ここまでファームで17試合を投げ(9月11日現在)、直近4試合は無失点と徐々に調子を上げる山口に、現在の心境を聞いた。


──現在はファームで登板を続けていますが、手応えはいかがですか?

「自分では良好だと感じています。ストレートも変化球も、一時に比べれば腕を振って投げられるようになりましたから」

──今年はプロ入り13年目のシーズンになりますが、キャリアを重ねたことによってピッチングにどんな変化がありましたか?

「いい方にも悪い方にもありますね。駆け出しのころは無我夢中で、コントロールを気にせずに阿部(慎之助)さんのミットに目がけて投げれば、あとは何とかなるだろうという気持ちで投げていました。本当に勢いだけでしたね。

 でも、年を重ねるごとに筋力や体力が衰えてきて、スピードもなかなか出なくなってきました。それを補うために、ここ数年は相手の打者が何を考えているのかを考えて投げています。『打者が打ち気だな』と思ったら初球はボールで外すといった判断ができるようになりました。キャッチャーが出すサインの意図も考えながら、駆け引きを重視した投球に変わったんです」

──今季巨人に復帰した、上原浩治投手(43歳)から何か影響を受けましたか?

「僕は30歳を過ぎたあたりから、思うような投球ができなかったことを年齢のせいにしてしまうことが増えていたんです。でも、今季の上原さんの球のキレはすばらしい。あらためて、年齢を理由に自分を追い込むのはやめようと思いました」

──2008年から9年連続で60試合以上も登板した山口選手にも、そんな弱気な一面があるんですね。

「ブルペンで準備しているときは、けっこうネガティブなんですよ(笑)。60試合以上投げていたシーズンも、『今日は打たれるんじゃないか』『この場面でマウンドに上がりたくない』と思っていました」

──キャッチャーとしてプロ3球団を渡り歩き、2012年には巨人でもプレーした中谷仁さん(現・智辯和歌山高校野球部の監督)が、「山口は、ブルペンでは『誰かに代わってもらいたい』などと弱音は吐いているけど、マウンドに上がったらちゃんと抑える」と話していたことを思い出しました。

「まったくその通りです。ブルペンでは弱気なんですが、マウンドでは『開き直って投げるんだ!』と気持ちを切り替えていました。一度ネガティブになるからこそ、OFFからONにうまく切り替えられているように思えるんです。ずっと気を張っていたらしんどくなってしまうので、いい意味での”逃げ道”を作っているということですかね」

──実際に登板する場面で、スイッチがONになるのはいつですか?

「自分の名前がコールされて、ベンチからマウンドに向かって走り出す瞬間にアドレナリンが出るのを感じます。そこから投球練習をするうちに、アクセルを全開にしていくんです」

──そんな過酷な状況で活躍されてきた山口投手が、今のプロ野球界で注目するリリーフ投手はいますか?

「オリックスの山本由伸投手(20歳)ですかね。真っすぐが速くて、フォークもよく落ちる。高卒2年目なのにすごいと思います」

──同じ左腕のリリーフで、1000試合登板が間近の中日ドラゴンズ・岩瀬仁紀(ひとき・43歳)投手も健在です。

「野球人として本当に尊敬できる選手のひとりです。レジェンドですし僕が言うのもおこがましいのですが……投手は一度ケガをすると、再びマウンドに上がる際に痛めた箇所が気になり、腕を振れきれないことも多いんですが、岩瀬さんの投球からはそれを感じない。投球術は相変わらず巧みですし、1000試合近くも投げてこられたのは『すばらしい』のひと言です。

 実は、何年か前のオールスターゲームで岩瀬さんとご一緒したときに、アドバイスをもらったんです。『年をとるとコントロールとキレが重要になる。カットボールを投げるなど”小細工”をしながら、ボールを出し入れすることも考えなきゃいけないよ』と。その後の参考にさせていただきました」

──シーズンが終盤に差し掛かり、セ・リーグでは2位以下のCS争いが熾烈になっています。現在の1軍の投手陣をどのように見ていますか?

「今の1軍の状況はわかりませんが、僕がいたときの投手陣は”軍団化”して目標に向かっていたと言いますか……。内海(哲也)さんや杉内(俊哉)さんを筆頭に、練習ではもちろん、食事をする時も常に一緒にいたような気がします。野球の話や、ときには冗談を言い合うなどして結束を深めていました」

──今はリリーフ陣が厳しい状況にあるようにも感じますが。

「マシソンやカミネロが離脱してしまったので、手薄になった感は否めません。それでも、全員が次につなごうと頑張っている。僕も一日でも早くその中に入りたいです」

──ファームでのホームゲームが行なわれる読売ジャイアンツ球場に足を運ぶファンも、山口投手の復帰を待ち望んでいると思います。

「ジャイアンツ球場はよく声が通るので、投げているときも『1軍で登板するのを待っているぞ!』といった声援がよく聞こえます。そんな温かい言葉が励みになっているので、恩返しがしたいですね。

 もし1軍に上がったら、『次はない』という覚悟で臨みます。チームのため、自分のため、家族のため、そしてファンの皆さんのために、がむしゃらに腕を振りたいです」

著者:寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu


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