クビになった監督は何をやってたんだ。有望な若手が森保Jで大暴れ

クビになった監督は何をやってたんだ。有望な若手が森保Jで大暴れ

 森保一監督就任後、初めてとなる親善試合で、日本代表はコスタリカを3−0と下した。日本代表が国際試合を行なうのは、7月2日(日本時間7月3日)以来、およそ2カ月ぶりのことである。

 約2カ月前の試合とは、すなわち、W杯ロシア大会の決勝トーナメント1回戦。ベルギーと激闘を繰り広げた、日本サッカー史に残る好ゲームこそが、日本代表戦の最も新しい記憶だった。

 見る人によって多少の差こそあれ、当時の余韻を引きずったまま、今回のコスタリカ戦を見たという人は多かったのではないだろうか。あのワクワク感を再び、というわけだ。

 もちろん、単なる親善試合と、W杯の試合とを比較すること自体、ナンセンスではある。

 だが、それでも日本代表の試合であることに変わりはない。不甲斐ない内容に終わればもちろん、それほど悪くない試合をしたとしても、ベルギー戦の強すぎる印象から、「やっぱり若手や国内組じゃあダメだな」というネガティブな見方をされかねない。

 新生・日本代表が初陣で超えるべきハードルは、相当に高かったはずなのである。

 にもかかわらず、そんな前提を踏まえてもなお、試合はとても面白かった。ベルギー戦とは別の種類ではあるものの、十分なワクワク感(未来への期待感とでも言おうか)を抱かせてくれるに足る試合だった。

 4年後のW杯カタール大会へ向け、再スタートを切った日本代表は、ロシア大会から大きくメンバーを入れ替えた。有り体に言えば、若返りだ。

 ロシア大会で主力を務めた選手はひとりも招集されず、その一方で、日本代表で試合に出場した経験がない選手が7人も選ばれた。コスタリカ戦に先発した11人だけを見ても、25歳以下(1993年以降生まれ)の選手が6人である。

 今回のコスタリカ戦に臨むにあたっては、1週間程度のキャンプ期間しかなく、しかも、札幌で予定されていたチリ戦が、地震の影響で中止となった。森保監督も「チームとして練習できる時間は限られていた。チームコンセプトは提示したが、それを具現化するのは簡単ではない」と語っているように、チーム戦術を固めるほどの時間はなく、細かな連係はまだまだ望むべくもなかった。

 しかし、だからこそ、選手個々の能力の高さを感じられる試合になったとも言える。

 守備では、高い位置から相手の攻撃を制限する連動したプレスが思いのほかハマっていたし、攻撃でも、”3人目”が絡むコンビネーションが何度か見られた。急造チームにして、これだけのことができるのは、選手それぞれが、個人戦術やグループ戦術を身につけていればこそ、だ。

 だからといって、連係ばかりを意識してプレーが窮屈になることはなく、中島翔哉、南野拓実、堂安律らは、積極的にドリブルで仕掛けることも忘れなかった。個で局面を打開するという点では、(たった1試合とはいえ)歴代の日本代表のなかでも屈指のチームだろう。

 また、ボールを奪い合う場面でもボディコンタクトを嫌がらず、強度の高いプレーを続けられたことも、試合全体の印象を締まったものにした。

「選手それぞれがコミュニケーションをとって、チームとしてやろうとすることを発揮してくれたし、積極的にプレーすることで、それぞれの(個人の)特長も発揮してくれた」

 森保監督もそんなことを話していたが、A代表での経験が豊富とは言えない選手たちが急に集められ、わずかな準備期間しかないなか、ある意味、”即興”でこれだけのことができたことは、新鮮な驚きだった。

 今回の招集メンバーには若い選手が多いとはいえ、そのほとんどは年代別代表として、U−17W杯、U−20W杯、五輪といった世界大会を経験している。また、若くしてすでに海を渡った選手も多く、A代表でこそ経験は浅いものの、十分な国際経験を重ねてきていることも、彼らがこうした舞台でいきなり結果を出せることにつながっているのだろう。

 若い選手たちはこれだけのポテンシャルを備えているのだから、本来ならもっと早くこうした機会が設けられるべきだったのにと、すでにクビになった元・日本代表監督に恨み言のひとつも言いたくなるが、とにもかくにも、今の日本代表は、いい流れで世代交代が進んでいきそうな雰囲気を漂わせている。

 所信表明演説の場とでも言うべき初陣で、新指揮官は自らの姿勢を示し、若い選手たちがそれに応えた。その意味において、新生・日本代表は絶好のスタートを切ったのではないかと思う。

著者:浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki


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