名前が挙がるグティ、コンテ…レアル監督にソラーリ昇格の可能性も

名前が挙がるグティ、コンテ…レアル監督にソラーリ昇格の可能性も

 クラシコで5−1と大敗したレアル・マドリードでは、批判の集中砲火を浴びたフレン・ロペテギ監督が解任され、サンティアゴ・ソラーリ暫定監督が誕生した。

 ソラーリは、スペイン国王杯で3部のメリージャと戦って0−4の勝利で初陣を飾った。3連敗中だった国内リーグでも、バジャドリードを2−0で撃破。2連勝のスタートは、おおむね肯定的評価を受けている。

 では、ソラーリは欧州王者レアル・マドリードの指揮官としてふさわしいのか。

 ソラーリは2000年から5シーズン、レアル・マドリードの選手としてプレーしている。左利きのポリバレントな選手で、ゴールキーパー、センターバック以外はどのポジションもこなした。ロナウド、ジネディーヌ・ジダン、ロベルト・カルロス、デイビッド・ベッカムなどスター選手の陰で、チームのために献身的に働いた。

 引退後は指導者に転身し、2013年からレアル・マドリードの下部組織でジュニアユース、ユース、そしてカスティージャ(レアル・マドリードのBチーム)を、5シーズン半にわたって率いてきた。選手時代の経験をもとに、指導者としてのキャリアも積み上げている。ただ、トップチームを率いたことはない。チームは常勝を義務づけられ、スター選手をマネジメントせねばならず、骨の折れる仕事だろう。

 緊急で抜擢されたソラーリは、ロペテギ時代の戦いを基本にして戦っている。システムも、メンツもほとんど同じだ。

「デリケートな時期だけに、規律や秩序、さらに競争するスピリットを、まずは求めている」

 ソラーリがそう語っているように、短期間で戦い方をいじるのが得策ではない。士気を高め、戦う集団にする。それだけで、格下には負けないだけの戦力は備えているのだ。

 その点、バジャドリード戦で際だったのは、ロペテギ時代に冷や飯を食っていた選手たちの闘争心だった。その筆頭が、右サイドバックのアルバロ・オドリオソラだろう。ロシアW杯のスペイン代表メンバーでありながら、クラシコでは本職ではないナチョ・フェルナンデス、ルーカス・バスケスの控えに回っていた。バジャドリード戦では、その鬱憤を晴らすかのように、リーガ最速ともいわれる俊足で、何度も防御網を切り裂いた。

 0−0で迎えたバジャドリード戦の後半には、ソラーリが果敢な采配を見せている。

 守備的な能力が高くアンカーを務めるカゼミーロに代え、攻撃的MFのイスコをトップ下に投入。右のオドリオソラ、左のセルジオ・レグイロンがサイドアタッカーのように高い位置を取って、2−4−1−3のような超攻撃的な布陣にする。さらにマルコ・アセンシオを下げ、3トップの一角にヴィニシウス・ジュニオールを入れ、肉を切らせて骨を断つような戦い方をした。

 そして、ソラーリはこの博打に勝った。
 
 83分、ヴィニシウスが強引に左サイドからペナルティエリア内に切り込み、思い切り蹴ったシュートが僥倖(ぎょうこう)をもたらす。密集したディフェンスのひとりに当たって、オウンゴール。10代特有の怖いもの知らずが「吉」と出た。

 88分にも、ヴィニシウスが出したパスをカリム・ベンゼマがエリア内に持ち込み、足を引っ掛けられ、PKの笛が鳴った。セルヒオ・ラモスがこれを、「パネンカ」といわれる相手GKの逆をつくキックで決めた。

 攻めの姿勢を貫いたソラーリのチームは、2−0の勝利を飾った。オドリオソラだけでなく、左サイドバックのレグイロン、そしてヴィニシウスは及第点をつけられるだろう。ロペテギ時代はプレー時間が限られた3人が、最高の働きをした。

 一方で、ソラーリはノーゴールに終わり再び批判を浴びたベンゼマを擁護している。

「守備面の貢献は大きかったし、FWとしては規格外の洗練された技術を持つ」

 はたして、ソラーリにレアル・マドリードの指揮官としての資質はあるのか?

 筆者は現役時代のソラーリに、インタビューをしたことがある。

「レアル・マドリードで伝説を作ったアルゼンチン人、(アルフレッド・)ディ・ステファノに言われたんだよ。『マドリードで成功したかったら、強い魂を持ち続けろ。かたときも気を抜くな』ってね」

 当時、チームはスター選手と生え抜きの若手だけのチーム編成を打ち出していた。ソラーリはそのはざまの「中流階級」と言われ、立場が弱かった。クロード・マケレレやフェルナド・モリエンテスなど似た境遇の選手が次々に退団する一方、彼はかじりつくようにとどまっていた。

「レアル・マドリードは、チームとして勝つかどうかがすべて。それは選手が誰でも変わらない。自分はどう言われようとも、練習場でポジションをつかむために全力を尽くすだけさ。ネガティブになるときはあるけど、最後はいつもポジティブ。それが王者マドリードの精神だと思う」

 そう語っていたソラーリは、レアル・マドリードで戦い抜く意味を知っている。荒野を生き抜くパーソナリティは持っていた。それは指揮官としてのアドバンテージにもなるかもしれない。

 15日間。それがソラーリの”監督試用期間”だと言われている。暫定監督から監督に昇格できるのか。マドリディスタ(マドリーファン)が監督として待望するのはグティで、クラブはイタリア人監督アントニオ・コンテとの交渉も水面下で続けている。

 監督交代という”クスリ”が効くのは、3、4試合が限界だろう。7日にはチャンピオンズリーグのプルゼニ戦があり、11日の国内リーグ・セルタ戦あたりが正念場か。落第した場合、他の誰かに取って代わられるだけだ。

「自分は生来の楽観主義なんだよ」

 ソラーリは昔、自分の性格をそう語っている。

著者:小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images


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